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審決分類 審判 査定不服  意9条先願 取り消して登録 G2
管理番号 1297196 
審判番号 不服2014-10470
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-04 
確定日 2015-01-06 
意匠に係る物品 自動車用タイヤ 
事件の表示 意願2013- 7363「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)4月1日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠は意匠法第9条第1項に規定する最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないとしたもので,引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,平成22年(2010年)7月7日に出願され,その後平成23年(2011年)2月21日付けで意匠登録をすべき旨の査定がなされ,最初の登録料の納付と同時に,意匠を36月の期間秘密にすることを請求され,平成23年(2011年)4月15日に設定登録がなされ,平成26年(2014年)5月12日に願書及び願書に添付した図面についての意匠公報が発行された,物品の部分について意匠登録を受けようとする,意願2010-16649号(意匠登録第1413633号)の意匠であって,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形態を同公報に掲載されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として登録を受けようとする部分である。」(以下,本願実線部分に相当する引用意匠の実線部分を「引用実線部分」という。)としたものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,ともに自動車用タイヤであるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

2.本願実線部分と引用実線部分の対比
(1)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
本願実線部分と引用実線部分(以下,「両意匠部分」という。)は,いずれも全体が略短円筒形状をなす自動車用タイヤの,トレッド部左右端部側に形成されたストレートグルーブ(周方向に施した直線状の溝)より内側部分のリブ及びブロック列並びに溝部底面部中央部分に小突起部を配設した幅広で帯状の縦溝部(以下,「突起配設縦溝部」という。)の表面部分であるから,両意匠部分の用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲は,共通する。

(2)両意匠部分の具体的形態
両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。
なお,両意匠部分の形態を対比するにあたり,両意匠部分であるトレッド部中央部分を,2条の突起配設縦溝部で3つの区画に分割し,この分割された中央の区画を中央区画とし,その左右両側の区画を左右区画として以下表記する。

まず,共通点として,
(A)両意匠部分全体は,中央区画には,ブロック(以下,「中央ブロック部」という。)を僅かな隙間を空けてタイヤ周方向に上下に列設してブロックパターンを形成し,左右区画には,帯状のリブ(以下,左区画のリブを「左リブ部」,右区画のリブを「右リブ部」。という。)をタイヤ周方向に配設し,リブパターンを形成している点,
(B)中央区画は,上下方向に連続する中央ブロック部の間に,全体として右下がりとなる幅の狭い横溝(以下,「中央区画横細溝部」という。)を形成し,上側中央ブロック部右辺中央部から中央横溝部中間部分を通り下側中央ブロック部左辺中央部に向かって,右に傾斜した略S字状の横サイピング(以下,「略S字状横サイプ」という。)を形成している点,
(C)左区画部は,右下がりで下に凸の略円弧状の横サイピング(以下,「略円弧状横サイプ」という。)を,中央ブロックの縦幅とほぼ同じ間隔で形成し,この上下の略円弧状横サイプの中間部分に,左区画部右辺から左区画部の約3/4の位置まで,右下がりで下に凸の略円弧状の中央区画横細溝部とほぼ同じ溝幅の横溝部(以下,「略円弧状横細溝部」という。)を1つ形成している点,
(D)右区画部は,左区画部と点対称形の区画部としている点,
(E)突起配設縦溝部は,その縦溝部底面中央部分に,略直方体状の小突起部を,その縦溝に沿って縦一列に配設している点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)中央区画横細溝部の態様について,本願実線部分は,左側から右側に向かって右上がり,右下がり,右上がりの略クランク状とし,突起配設縦溝部を挟んで左右区画の略円弧状横サイプと連続する態様で形成しているのに対して,引用実線部分は,略S字状横サイプと上下対称形の略逆S字状とし,略円弧状横サイプとは連続しない態様で形成している点,
(イ)突起配設縦溝部の態様について,本願実線部分は,縦溝部全体を略ジグザグ状に形成し,それに合わせて略直方体状の小突起部も略ジグザグ状に配設しているのに対して,引用実線部分は,縦溝部全体を直線状に形成し,小突起部も縦一列に配設している点,
(ウ)左右区画の周方向の縦溝部の有無について,本願実線部分は,左右区画に縦溝を形成していないのに対して,引用実線部分は,左右区画の内側から約1/3の位置に,略円弧状横細溝部とほぼ同じ溝幅の直線状の縦溝部を周方向に各1条形成している点,
(エ)左右区画部の配置態様について,本願実線部分は,右区画部を左区画部の約1/2ピッチずらして配設しているのに対して,引用実線部分は,右区画部を左区画部の約1/4ピッチ下側にずらして配設している点,
が認められる。

3.両意匠部分の形態の評価
まず,共通点(A)の両意匠部分全体の態様及び共通点(C)ないし(E)の各部の態様は,自動車用タイヤの意匠の骨格的な構成態様にあたるものであり,また,この種物品分野において,本願意匠の出願前に既に見られるもの(参考意匠:日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成24年(2012年)8月27日)に掲載された,意匠登録第1379307号(意匠に係る物品,自動車用タイヤ)の意匠,別紙第3参照))でもあるので,これらの共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱であると言わざるを得ない。
また,共通点(B)の態様も,中央区画横細溝部の形態が相違する上,両意匠部分に共通する形態である略S字状横サイプは目立たない微細なものにすぎないものであるので,この共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も微弱なものである。
そして,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対し,相違点(ア)中央区画横細溝部の態様については,トレッド中央部分における特に目立つものであって,その態様も角張ったクランク状の本願実線部分の態様と,やわらかな曲線状の引用実線部分のものとは,左右区画の略円弧状横サイプとの連続性の違いも含め,看者に与える印象が全く異なるものであるから,この相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。
次に,相違点(イ)突起配設縦溝部の態様については,タイヤ周方向に施された幅広な縦溝部であって目に付くものであり,その形態も略ジグザグ状に表れる本願実線部分の態様と,単なる直線状に表れる引用実線部分のものとは,溝部底面部の小突起部の配置態様を含め,看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(イ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。
また,相違点(ウ)左右区画の周方向の縦溝の有無については,引用実線部分においては,当該縦溝と略円弧状横細溝部とが交差して,連続する略十字状の溝部が表れており,これらが存在しない本願実線部分の態様とは看者に与える印象が全く異なるものであるから,この相違点(ウ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。
さらに,相違点(エ)左右区画部の配置態様については,本願実線部分においては,左右の突起配設縦溝部を挟んで,中央区画横細溝部と略円弧状横サイプ及び略S字状横サイプと略円弧状横細溝部とが連続する態様となり,各横サイプ及び各横細溝部が全体として見た場合,右下がりに連続するような配置態様となっており,左右区画と中央区画の各横サイプ及び各横細溝部が連続して配置されていない引用実線部分のものとは,別異な印象を与えるものであるから,この相違点(エ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。
そして,これらの相違点(ア)ないし(エ)によって生じる視覚的効果はいずれも大きく,それらが相まって生じる視覚的効果は,両意匠部分の類否判断を左右するものであると言える。

4.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても一致しているが,両意匠部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,両意匠部分全体として別異の印象を与えるものである。
したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第4 結び

以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって意匠法第9条第1項の最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-12-15 
出願番号 意願2013-7363(D2013-7363) 
審決分類 D 1 8・ 4- WY (G2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加藤 真珠玉虫 伸聡 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
斉藤 孝恵
登録日 2015-02-13 
登録番号 意匠登録第1519340号(D1519340) 
代理人 村松 由布子 
代理人 杉村 憲司 

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