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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C3
管理番号 1297204 
審判番号 不服2014-15610
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-08-07 
確定日 2015-01-26 
意匠に係る物品 洗濯機用かさ上げ台 
事件の表示 意願2013-17228「洗濯機用かさ上げ台」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成25年(2013年)7月29日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「洗濯機用かさ上げ台」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁から発行された意匠公報に記載の,意匠登録第1417822号(意匠に係る物品、洗濯機用台座)の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.当審の判断
(1)意匠に係る物品について
本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比すると,意匠に係る物品は,「洗濯機用かさ上げ台」と「洗濯機用台座」であって,表記は異なるが,洗濯機を載置するための台座として用いられるものであるので,共通する。

(2)両意匠の形態について
両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
(2-1)両意匠の共通点
内部に支持体を備えた,へんぺいな変形角丸四角柱状のものであって,その上面(載置面)には,外壁面(周面上側を延長した上端部であって,上面より上の部分)が帯状に僅かに突出し,該外壁面には2か所の水切り用切り欠き部(以下,単に「切り欠き部」という。)を設けている態様となっている。

(2-2)両意匠の相違点
それに対して,基本的構成態様において,(ア)本願意匠は,四角柱の一つの角を半径の大きな曲面による角丸としたことによって,中心角度を直角とした扇形を想起する柱状とした態様であるのに対し,引用意匠は,平面視で,正方形の隣り合う2辺の中央同士を結んだ形で一つの角を大きく45度で切り落としてできた,五角柱を基本とした柱状で,五つの角を全て曲面で角丸とした態様である。
具体的構成態様において,(イ)上面の態様について,本願意匠は,外壁面内側に沿って,載置面周囲に溝を設けてあり,切り欠き部と溝底面は,高さ水準を同一としているのに対して,引用意匠は,そのような溝を設けず,載置面は一水平面である点,(ウ)切り欠き部の位置について,本願意匠は,長寸法側の対角(洗濯機用防水パンの四隅に配置した場合,防水パンの対角線と直交する方向)に形成されているのに対して,引用意匠は,短寸法側の対角(洗濯機用防水パンの四隅に配置した場合,防水パンの対角線の方向)に形成されている点,(エ)周面の角度について,本願意匠は,僅かに角度を持たせ,全体が,錐台状(すいだいじょう)としているのに対して,引用意匠は,ほぼ直角で,全体が略五角柱状である点,(オ)周面下端の態様について,本願意匠は,はかま様に突出段部を設けているのに対して,引用意匠は,突出段部を設けていない点,(カ)支持体について,本願意匠は,格子状に形成しているのに対して,引用意匠は,円筒状の支持柱を多数設けてなる点,で主な相違が認められる。

(3)類否判断
両意匠を比較した場合,洗濯機をかさ上げする台としては,水平断面形状が何らかの形の柱状にすること,その角部を曲面で構成して,角丸状とすることは,極普通の態様であると考えられ,また,構造上内部に支持体を設けること,及び,使用状態から,上面周囲に外壁面を設けること,その上,水切り用として切り欠き部が必要なことも,極普通の態様であるから,これらの共通性のみをもって両意匠の類否判断を決することはできない。
しかし,これに対して,基本的構成態様における相違点(ア)は,元となる形状が,扇形と,五角柱の違いであって,これのみで全体形状に係る視覚的な印象が異なり,この点のみをもってしても,両意匠の類否判断に与える影響は大きいと言える。具体的構成態様の相違点(イ)は,極部分的な相違であり,外壁面に沿っているところから,埋もれて,余り目立たなく,その溝の深さも僅かではあるが,溝が設けてあること及びその溝底に高さを合わせた切り欠き部を設けていることから,おのずと水切り効果に対する期待感を持って着目することから,当該溝の有無が,両意匠の類否判断に与える影響は一定程度認められる。相違点(ウ)は,両意匠を単独にそれぞれで観察した場合は,その相違が分かりづらく,類否判断に与える影響は,極微弱とも言えるが,使用状態に合わせて設置した場合に,その方向の違いが見て取れ,両意匠の類否判断に僅かであっても一定程度の影響を与えると言える。
そうして,基本的構成態様における相違点(ア)と,具体的構成態様における相違点ではあるが,この種物品において意匠的要部と考えられる上面における相違点(イ)を評価すると,その他の相違点を挙げるまでもなく,これらの相違が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点がもたらす印象は,共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。

したがって,両意匠は,意匠に係る物品は共通しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものと言える。

4.結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当すると言うことはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-01-09 
出願番号 意願2013-17228(D2013-17228) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 平田 哲也伊藤 宏幸 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 橘 崇生
清野 貴雄
登録日 2015-02-13 
登録番号 意匠登録第1519514号(D1519514) 
代理人 佐野 弘 
代理人 佐野 弘 

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