• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1297206 
審判番号 不服2014-10611
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-04 
確定日 2015-01-20 
意匠に係る物品 自動車用タイヤ 
事件の表示 意願2013- 20462「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,2013年3月5日の域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)9月4日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成24年(2012年)8月27日)に掲載された,意匠登録第1379307号(意匠に係る物品,自動車用タイヤ)の意匠(破線部分を含む。以下,本願実線部分に相当する引用意匠の部分を「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,ともに自動車用タイヤであるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

2.本願実線部分と引用相当部分の対比
(1)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
本願実線部分と引用相当部分(以下,「両意匠部分」という。)は,いずれも略短円筒形状のタイヤのトレッド部の接地面部分,タイヤ周方向に形成された2本の直線状の縦溝部分,及び周方向に施された複数の略ジグザク状の縦溝部分であるから,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,共通するといえる。

(2)両意匠部分の具体的形態
両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。
なお,両意匠部分の形態を対比するにあたり,トレッド部を左右2本の直線状縦溝部(以下,「ストレートグルーブ」という。)によって3つの区画に分割し,この中央の区画を中央区画とし,左右両側の区画を左右区画として以下表記する。

まず,共通点として,
(A)両意匠部分全体は,タイヤトレッド面左右のやや端部寄りに2本のストレートグルーブを形成し,この2本のストレートグルーブそれぞれの内側に近接して設けられた周方向に連続する接地面からなるリグパターン部分(以下,「リグパターン部」という。),略平行四辺形状のブロック(以下,「ブロック部」という。)を上下に連続して配した構成のブロックパターン部分(以下,「ブロックパターン部」という。),及び略ジグザク形状の縦溝部(以下,「略ジグザグ状縦溝部」という。)からなる中央区画と,2本のストレートグルーブの外側に設けられた周方向に連続する接地面からなる左右区画部により構成している点,
(B)ブロック部は,その上下辺の形状を両端に水平部分を形成したやや右上がりの略倒S字状(以下,「略倒S字状」という。)とし,左辺の形状を略くの字状,右辺の形状を略逆くの字状とした外形状をなし,ブロック部の中間部分に略倒S字状のサイピングを1つ形成した構成であって,上下ブロック部間には略倒S字状の細溝を形成している点,
(C)リグパターン部は,左側リグパターン部においては,ブロック部左辺の略くの字状の突出部分と略ジグザグ状縦溝部を挟んで対向する部分を略くの字状に凹ませて形成し,右側リグパターン部においては,ブロック部左辺の略逆くの字状の突出部分と略ジグザグ状縦溝部を挟んで対向する部分を略逆くの字状に凹ませて形成し,凹ませた部分からタイヤ外側に向かってリグパターン部横幅の約5/8の位置までやや左上がりの僅かに湾曲した細溝部を形成し,その細溝部の中間部分にはやや左上がりの僅かに湾曲したサイピング部を形成している点,
(D)略ジグザグ状縦溝部の底面中央部分に,溝部の約1/4の高さの略直方体状の小突起部を,その縦溝に沿って縦一列に配設している点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)ブロックパターン部の態様について,本願実線部分は,ブロックパターン部を略ジグザグ状縦溝部を挟んで左右に2列配設しているのに対して,引用相当部分は,1列だけ配設している点,
(イ)左右区画部に形成された略円弧状の溝部の態様について,本願実線部分は,左区画部においては,左側リグパターン部のサイピング部を延長した左区画部右辺の位置からタイヤ外側に向かって左区画部横幅の約4/5の位置まで,上に凸の略円弧状細溝部を形成し,右区画部においては,右側リグパターン部のサイピング部を延長した右区画部左辺の位置からタイヤ外側に向かって右区画部横幅の約4/5の位置まで,下に凸の略円弧状細溝部を形成しているのに対して,引用相当部分は,左区画部においては上に凸の略円弧状サイピングを,右区画部においては下に凸の略円弧状サイピングを本願実線部分と同様な位置に形成している点,
(ウ)略ジグザグ状縦溝部の小突起部の態様について,本願実線部分は,ブロック部縦幅と同じ長さに小突起部を3つ配設しているのに対して,引用相当部分は,ブロック部縦幅と同じ長さに本願実線部分のものより小さな小突起部を4つ配設している点,
(エ)タイヤトレッド部の縦横比について,本願実線部分は,縦横の比を約4:1としているのに対して,引用相当部分は,同比を約3.6:1としている点,
が認められる。

3.両意匠部分の形態の評価
まず,共通点(A)及び共通点(B)の態様における共通点は,トレッド部及びストレートグルーブにおける各区画の態様を概略的に捉えたに過ぎないものであるから,この共通性のみをもって両意匠の実線部分の類否判断を決定することはできない。
また,共通点(C)及び共通点(D)の態様も,この種物品分野において,本願意匠の出願前に既に見られるもの(参考意匠:日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成24年(2012年)7月30日)に掲載された,意匠登録第1447192号(意匠に係る物品,自動車用タイヤ)の意匠,別紙第3参照))でもあるので,これらの共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱であると言わざるを得ない。
そして,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対し,相違点(ア)ブロックパターン部の態様については,トレッド中央部分における特に目立つものであって,その態様も,ブロックパターン部が2列であるために上下ブロック部間の略倒S字状の細溝が横方向に2つ連なり略N字状に表れる本願実線部分の態様と,1列であるために略倒S字状に表れる引用相当部分のものとは,その横幅の違いも含め,看者に与える印象が全く異なるものであるから,この相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。
次に,相違点(イ)左右区画部に形成された略円弧状の溝部の態様については,タイヤトレッド部の左右区画に周方向に等間隔に施されたものであって目に付くものであり,その態様も細溝である本願実線部分の態様と,サイピングである引用相当部分のものとは,看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(イ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。
また,相違点(ウ)略ジグザグ状縦溝部の小突起部の態様,及び相違点(エ)タイヤトレッド部の縦横比については,僅かな相違ではあるが,本願実線部分には幅広でしっかりした印象を与え,引用相当部分には幅の細い繊細な印象を与えており,看者に与える印象が異なるものであるから,この相違点(ウ)及び相違点(エ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も一定程度ある。
そして,これらの相違点(ア)ないし(エ)が相まって生じる視覚的効果は大きく,両意匠部分の類否判断を左右するものであると言える。

4.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても共通しているが,両意匠部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,両意匠部分を全体として見た場合,上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであると言うことができる。
したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第4 結び

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-01-07 
出願番号 意願2013-20462(D2013-20462) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 玉虫 伸聡加藤 真珠 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
斉藤 孝恵
登録日 2015-02-20 
登録番号 意匠登録第1519955号(D1519955) 
代理人 村松 由布子 
代理人 杉村 憲司 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ