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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B3 |
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管理番号 | 1298246 |
審判番号 | 不服2014-9156 |
総通号数 | 184 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-05-16 |
確定日 | 2015-02-03 |
意匠に係る物品 | カツラ用ベース |
事件の表示 | 意願2013- 10802「カツラ用ベース」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成25年(2013年)年5月16日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「カツラ用ベース」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付された図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由および引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁が平成15年(2003年)1月27日に発行された意匠公報掲載の意匠登録第1164268号「かつら用植毛網」の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は「カツラ用ベース」であって,引用意匠は,「かつら用植毛網」であるが,両意匠は,いずれもかつら用の植毛のための基台となるベース部分であって,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。 なお,両意匠を同じ方向から対比するため,引用意匠の「見本の平面図」を180°回転させ,本願意匠の「平面図」の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定・対比する。 (1)共通点 (A)全体を,偏平な左右対称の略縦長環状体で,上方中央に向けて傾斜した基台部(以下,この部分を「基台部」という。)と,基台部の平面視において上下方向に設けられた紐状の細幅帯状部(以下,「帯状部」という。)とから構成したもので,基台部は全体が網目状に形成されている点, (B)帯状部は,基台部中央部分のものを一番長いものとし,左右にいくにしたがって短くなり,左右に間隔を設けて等間隔に数本配している点, において主に共通する。 (2)差異点 (ア)基台部の外形状について,本願意匠は,略縦長楕円形状であるのに対して,引用意匠は,略卵形状である点, (イ)基台部中央の環状体の内周部(以下,この部分を「内周部」という。)の平面形状について,本願意匠は,略縦長楕円形状であるのに対して,引用意匠は,上辺が円弧状に落ち込んだ略隅丸台形状である点, (ウ)基台部を平面視した幅について,本願意匠は,上下左右の幅がほぼ同幅であるのに対して,引用意匠は,左右の幅が狭く,上下が太幅で,下の幅は上の幅の約1.5倍程度更に太幅である点, (エ)帯状部について,本願意匠は,基台部の内周部の縁部のやや外側から5本の帯状部を設けているのに対して,引用意匠は,基台部の外縁部から6本の帯状部を設けている点, (オ)基台部の内周部の縁部について,本願意匠は,縁部が細幅であるのに対して,引用意匠は,縁部が帯状部と同じ程度の太幅で暗調子の別部材である点, において主な差異が認められる。 4.類否判断 そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成であるが,偏平な左右対称の略縦長環状体で,上方中央に向けて傾斜した基台部と,平面視において基台部の上下方向に帯状部を設けたカツラ用ベースは,この種の物品分野においては両意匠以外にも多数見られるもので,ありふれた態様といえるものであり,また,基台部全体が網目状のものも,従来よりごく普通に行われているところであって,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。 次に,共通点(B)についても,基台部中央部分のものを一番長いものとし,左右に行くにしたがって短くなる帯状部を,左右に間隔を設けて等間隔に数本配している態様が共通しているが,他の意匠にも見られる,さほど特徴のない,ありふれた態様であり,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 そして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。 すなわち,差異点(ア)の基台部の外形状については,本願意匠の外形状は,略縦長楕円形状で,さほど特徴的といえるものではないが,引用意匠の外形状は,下辺が大きい略卵形状で,特徴的なものであり,両意匠は明確に区別できるものであって,外形状の差異が両意匠の類否判断に与える影響は無視することができない。 次に,差異点(イ)については,基台部の内周部の平面形状については,本願意匠の態様は,内周部が略縦長楕円形状で,さほど特徴的といえるものではないが,引用意匠の態様は,内周部の上辺が円弧状に落ち込んだ略隅丸台形状で,特徴的なものであり,使用時に需要者の注意を強く惹く基台部の内周部の平面形状が明らかに異なるものであって,需要者に与える基台部全体の印象を異ならせるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。 次に,差異点(ウ)については,基台部を平面視した幅についても,その幅の違いがあるかどうかは,頭部に装着する場合には,使用者にとって使い勝手や見た目を左右する点で,需要者の注意を惹く部分といえ,本願意匠は,上下左右が同幅で,さほど特徴的なものとはいえないが,左右の幅が狭く,上下が太幅で,下の幅は上の幅の約1.5倍程度更に太幅である引用意匠の態様は,特徴的なもので,本願意匠とは明らかに基台部の印象が異なり,差異点(イ)の基台部の内周部の平面形状の差異と相俟って,需要者に別異な印象を与えるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。 また,差異点(エ)については,帯状部は,使用時に需要者が大きな関心を持つ部分といえるものであり,基台部の内周部の縁部の外側から5本の帯状部を設けている本願意匠の態様は,基台部の外縁部から6本の帯状部を設けている引用意匠とは,明らかに帯状部の態様が異なり,需要者に別異な印象を与えるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。 さらに,差異点(オ)については,基台部の内周部について,縁部が帯状部と同じ程度の太幅で暗調子の別部材である引用意匠の態様は,見る者の注意を惹く特徴的なものであって,細幅の本願意匠とは,需要者に与える印象が異なるもので,細部に係るものではあるが,両意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-01-16 |
出願番号 | 意願2013-10802(D2013-10802) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 市村 節子 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2015-03-13 |
登録番号 | 意匠登録第1521384号(D1521384) |
代理人 | 山崎 宏 |
代理人 | 西下 正石 |
代理人 | 鮫島 睦 |
代理人 | 大塚 雅晴 |