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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K3
管理番号 1298253 
審判番号 不服2014-9232
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-19 
確定日 2015-02-13 
意匠に係る物品 パワーショベル用走行機 
事件の表示 意願2012- 1308「パワーショベル用走行機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成24年(2012年)1月25日の意匠登録出願であって,出願当初は,意匠法第10条第1項の規定による関連意匠の意匠登録出願ではなかったが,その後,平成26年12月9日付けで手続補正書を提出し,意願2012-1307号を本意匠とする関連意匠の意匠登録出願としたもので,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,本願の願書の記載によれば,意匠に係る物品を「パワーショベル用走行機」とし,形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,本願の出願前に特許庁から発行された意匠公報に記載の意匠登録第1277707号(意匠に係る物品,パワーショベル用走行機)の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.当審の判断
[A]原査定の適否
まず,原査定における拒絶の理由と,その際に引用された意匠について検討し,原査定の適否を判断する。

(1)本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品については,共に「パワーショベル用走行機」であって,一致する。

(2)両意匠の形態について
(2-1)共通点
両意匠の形態を対比すると,基本的構成態様として,
(A)扁平(へんぺい)な略円柱状のボディと,その上部の左寄り部分にはまり込むように略縦長直方体状のキャビンを設け,それらの下方に左右一対の履帯(クローラ)及び前方のブレードを設けた態様とした点,

具体的構成態様として,
(B)ボディの態様として,全体を,平面視において,前側の1か所を直線で切り取ったような,円形状を基本とする,扁平な柱状体とし,周面と上面の接する角部に面取りを施し,ボディ後部エンジンカバー部にブランド表示用の凹面区画を設け,ボディ後方左側の左サイドカバーに給油口を設け,ボディ右側の右サイドカバーに四角形状の通気グリルを設けた点,

(C)キャビンの態様として,全体を,直方体を基本としつつ,左側面を,ボディ外形の円弧に一致させた湾曲面とし,キャビンの周側面のほぼ全面を窓部とし,屋根の前方に,長方形状の天窓を設けた点,において主な共通点が認められる。

(2-2)相違点
それに対して,具体的構成態様において,
(ア)ボディの周面と上面の接する角部に施した面取りの態様について,本願意匠は,上面の後から前にかけて水平に施した面取りが,そのまま連続して前端付近で垂直下方向に屈曲し,サイドカバーの前側下端にまで達する,ほぼ等幅な帯状に表れているのに対し,引用意匠の面取りは,上面において,ボディ後からほぼ水平のままボディ前面側にまで回り込んだもので,その幅も後側が狭く,前側にかけて次第に幅広となる態様である点,

(イ)ボディ後部エンジンカバー部のブランド表示用の凹面区画について,本願意匠は,逆台形状であり,エンジンカバーの上端に向けて解放した区画を形成しているのに対し,引用意匠は,横長長方形状で,エンジンカバーの上端より下方に位置する閉じられた区画を形成している点,

(ウ)右サイドカバーの通気グリルの形態について,本願意匠は,大小2つの長方形を上下に並べた態様であるのに対し,引用意匠は,大小3つの変形4角形を配した態様である点,

(エ)本願意匠は色彩を表したものではないのに対し,引用意匠は,黄色,暗灰色,赤色等を用いた色彩及び色分け模様を表したものであって,ボディ左側には短い,ボディ右側には,上側通気グリルを囲むようにして長い,くさび形の暗色模様を施している点,において主な相違点が認められる。

(3)類否判断
本願意匠と引用意匠を比較すると,基本的構成態様に係る,共通点(A)は,両意匠の態様を極めて概括的に捉えたに過ぎず,また,具体的共通点に係る共通点(B)及び(C)の各共通点は,この種の物品の通常有する形態であって,極めてありふれたものであるから,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さく,これらの共通性のみをもって両意匠の類否判断を決定するものとすることはできないのに対して,具体的構成態様に係る相違点(ア)は,看者の注意を引き易い部分であるボディの形態に係るものであり,その具体的な面取りの態様により,本願意匠の,ボディ後側から水平基調としてきた面取りが,前端付近において屈曲して垂直基調に連続的に変化する面構成の態様と,引用意匠の,水平基調の面取りによる面構成の態様とでは,看者に別異の印象を与えるものであるから,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえ,次いで,相違点(イ)及び(ウ)は,いずれもボディの部分的な形態に係るものであるが,上記相違点(ア)がもたらす別異の印象を更に強めるものといえ,これら相違点(ア)ないし(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく,これらが相まった効果も考慮すると,他の相違点を考慮するまでもなく,相違点は共通点を圧しているといえる。

したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,両意匠の形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響が小さいのに対して,相違点は総じて両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きいので,本願意匠は引用意匠に類似するということはできない。

(4)小括
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

[B]その他の審理
(1)審理結果
当合議体が,先行意匠調査等を行った結果を基に,当審が更に審理した結果,以下のとおり判断した。

本願意匠は,同一の出願人(審判請求人)により同日に出願された,
意願2012-1307号,
意願2012-1309号,
意願2012-1310号
の各意匠と類似すると認められる。
本願の意匠と上記各意匠を対比すると,いずれも,主に,キャビンの形態,ボディ後部上面から前方下部に達するほぼ均等幅の面取り形状,ボディ後部におけるエンジンカバーに設けられた,ブランド表示用の逆台形状凹面構成,並びに,右サイドカバーに配置された通気グリルの位置及び形状の点で共通し,これらにより,需要者に共通の美感を起こさせるものであると認められる。

(2)指令書
上記の審理結果を踏まえて,特許庁長官は,意匠法第9条第5項の規定に基づいて,平成26年10月30日付けで,意匠法第9条第2項に定められた協議をしてその結果を届け出るべき旨を命じる指令書を送付した(発送日:平成26年10月31日)。

(3)審判請求人の対応
これを受けて,審判請求人は,意願2012-1307号以外の協議対象の意匠登録出願である,意願2012-1309号及び意願2012-1310号並びに本願に対して,それぞれ,平成26年12月9日付けで手続補正書を提出し,願書に,【本意匠の表示】の欄を追加し,その欄に,協議対象の意匠登録出願の一つである「意願2012-1307」を追加する補正をした。

なおかつ,本願に対して,同日の平成26年12月9日に意見書を提出し,上記3件の補正により,上記3件の意匠登録出願は、意願2012-1307号を本意匠として,意匠法第10条第1項の規定の適用を受ける関連意匠に係る意匠登録出願となったので,第9条第2項の規定に基づく協議は不要となった旨を述べた。

(4)小括
以上のとおり,今現在,意匠法第9条第5項の規定に定められた協議の結果の届け出がないが,上記3件の補正により,実質的に協議が成立したものと認められる。

よって,本願意匠は,意願2012-1307号を本意匠とする関連意匠として,意匠登録を受けることができるものとなった。

4.結び
したがって,本願意匠については,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであり,同条の規定により拒絶すべきものとすることはできず,また,意匠法第9条第2項にも該当しないものであり,同条の規定により拒絶すべきものとすることもできず,かつ,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-01-30 
出願番号 意願2012-1308(D2012-1308) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (K3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 原田 雅美木村 恭子 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 清野 貴雄
橘 崇生
登録日 2015-03-20 
登録番号 意匠登録第1522262号(D1522262) 
代理人 伊藤 高英 
代理人 大倉 奈緒子 
代理人 中尾 俊輔 
代理人 玉利 房枝 
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