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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C1 |
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管理番号 | 1298277 |
審判番号 | 不服2014-17972 |
総通号数 | 184 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-09-09 |
確定日 | 2015-03-17 |
意匠に係る物品 | 一組の自動車用フロアマットセット |
事件の表示 | 意願2012-29766「一組の自動車用フロアマットセット」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成24年(2012年)12月5日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「一組の自動車用フロアマットセット」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁から発行された意匠公報に記載の,意匠登録第1335411号(意匠に係る物品,一組の自動車用フロアマットセット)の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.当審の判断 (1)意匠に係る物品について 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比すると,意匠に係る物品は,共に「一組の自動車用フロアマットセット」であって,一致する。 (2)両意匠の形態について 両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (2-1)両意匠の共通点 (A)基本的構成態様は,縦長の略凸の字状を成した運転席用マット及び略縦長長方形状の助手席用マット,並びに略凸の字状の左右対称形とした一対の後部座席用の左右マットと,それらの間に配設される略横長長方形状の後部座席用中央マットによって連結した後部座席用マットで構成された,一組のマットセットであり,(B)具体的な構成態様としては,(a)右上に来る運転席用マットが,本体部右辺の略下半分に下端の角部を残して,極浅い逆コ字状の凹部を設け,本体部下辺を,略中央において斜め段差を設けて,左側よりも右側を低くした点,(b)左上に来る助手席用マットが,左上角を欠いた状態にし,右辺上部にへんぺいな台形状の突出部を設け,下辺を,略中央において斜め段差を設けて,右側よりも左側を低くした点,(c)後部座席用マットは,後部座席用の左右マットにおいて,それぞれの上辺に突出片を後部座席の中央よりに寄せて設けている点,連結用の中央マットの上辺中央を少しへこませて,概略凹の字状としている点,において共通している。 (2-2)両意匠の相違点 それに対して,具体的構成態様において, (a)運転席用マットについては, (ア)突出片につき,本願意匠は,略縦長長方形状であるのに対して,引用意匠は,横長長方形状である点, (イ)突出片右側辺につき,本願意匠は,略下半分が傾斜しているのに対して,引用意匠は,傾斜部分が無い点, (ウ)本体部右上角につき,本願意匠は,傾斜辺としているのに対して,引用意匠は,直角としている点, (エ)本体部左辺につき,本願意匠は,垂直な直線状であるのに対して,引用意匠は,亀甲括弧状の縦長の凹部が形成されている点, (b)助手席用マットについては, (オ)右上角につき,本願意匠は,直角の角のすぐ下に台形突出部を設けているのに対し,引用意匠は,角に接して突出部を設けている点, (カ)右辺下端の態様につき,本願意匠は,直線であるのに対して,引用意匠は,下端角において斜状の突出部を設けている点, (キ)角を欠いた状態の左上角の態様につき,本願意匠は,傾斜辺としているのに対して,引用意匠は,入隅状としている点, (ク)左辺の態様につき,本願意匠は,左上角の傾斜辺から下端にかけて直線であるのに対して,引用意匠は,入隅状角の直下が外側にやや膨らんでいる点, (c)後部座席用マットについては, (ケ)中央マットの左右両辺につき,本願意匠は,上開きに傾斜しているのに対して,引用意匠は,垂直にしている(左右の両辺が平行となっている)点, (コ)中央マットの左右上角部の接続態様につき,本願意匠は,後部座席用の左右マットにおける肩部よりも下がった位置で接続しているのに対して,引用意匠は,段差なく接続している点, (サ)中央マットの上辺の態様につき,本願意匠は,上辺の約3分の1の長さで,中央に階段状の段部を設けているのに対して,引用意匠は,上辺全体をへんぺいな台形状の凹部としている点, で主な相違が認められる。 (3)類否判断 両意匠を比較した場合,基本的構成態様における相違点(ア)ないし(ウ)は,それぞれは,部分的な小さな相違でしかないが,これら三つの相違が合わさって,運転席用マット上半部において,引用意匠は,へんぺいな角張ったイメージを与えるのに対して,本願意匠は,斜めにつながる細長いイメージを醸し出し,相違点(ア)ないし(ウ)をもって,両意匠の類否判断に与える影響は一定程度認められる。相違点(エ)は,助手席用マットにおける相違点(オ)及び同(カ)と合わさって,引用意匠においては,運転席用マットと助手席用マットとの間が,亀甲括弧状の空隙となるのに対して,本願意匠は,単に直線状の平行線を生むだけのものであるから,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えると言える。相違点(ケ)によって,後部座席用の左右のマットが,本の僅か上開き状に接続されるが,これは,後部座席中央前方にある車体床の凸部に合わせてマットを敷いた際に左右のマットが平行になることを想像させ,僅かな角度ではあるが,両意匠の類否判断において若干の影響を与えると認められる。次に,相違点(コ)及び同(サ)によって,本願意匠は,河岸段丘様に三段の凹状に構成しているのに対して,引用意匠は,亀甲括弧状に大きな一つの凹状に構成しており,この目立った大きな相違が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 そうすると,その他の相違点を挙げるまでもなく,これら相違点がもたらす印象は,共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものと言える。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当すると言うことはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-03-02 |
出願番号 | 意願2012-29766(D2012-29766) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 恭子、小林 裕和 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
清野 貴雄 橘 崇生 |
登録日 | 2015-03-27 |
登録番号 | 意匠登録第1522658号(D1522658) |
代理人 | 牛木 護 |