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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 E3 |
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管理番号 | 1299392 |
審判番号 | 不服2014-14005 |
総通号数 | 185 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-07-18 |
確定日 | 2015-02-27 |
意匠に係る物品 | 顔面筋鍛錬具 |
事件の表示 | 意願2013- 2158「顔面筋鍛錬具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)2月5日の出願で,本意匠を意願2012-026219号(意匠登録第1466175号)とする関連意匠の出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「顔面筋鍛錬具」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものであり,「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で,それ以外の部分を破線で表している。一点鎖線は,部分意匠として登録を受けようとする部分とそれ以外の部分の境界を表している。」としたもの(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)である。(別紙第1参照) 第2 原査定の拒絶の理由及び本意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないから,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。そして,本願意匠の本意匠である意願2012-026219号(意匠登録第1466175号)は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成24年(2012年)10月29日の出願であって,平成25年(2013年)2月25日の登録料納付時に,当初は5月分の秘密期間を請求し,平成25年(2013年)4月8日に意匠公報(秘密意匠)が発行され,その後,平成25年(2013年)7月30日に秘密期間を5月から15月へと変更し,平成26年(2014年)6月30日に意匠公報(秘密意匠解除)が発行されたものであり,その意匠は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「顔面筋鍛錬具」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものであり,「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で,それ以外の部分を破線で表している。一点鎖線は,部分意匠として登録を受けようとする部分とそれ以外の部分の境界を表している。」としたもの(以下,本意匠において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本意匠部分」という。)である。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 そこで当審において本願意匠の意匠法第10条第1項適用の可否,とりわけ,本願意匠が本意匠と類似するか否かについて検討する。 1.本願意匠と本意匠(以下,「両意匠」という。)の対比 (1)意匠に係る物品について 両意匠の意匠に係る物品はいずれも「顔面筋鍛錬具」であるので,両意匠の意匠に係る物品は一致する。 (2)本願部分と本意匠部分(以下,「両意匠部分」という。)の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 (2-1)両意匠部分の用途及び機能について 両意匠部分とも,顔面筋鍛錬具に取り付けて使用する「くわえ部」であり,唇をすぼめた状態でくわえ部を口にくわえて使用するものであるから,両意匠部分の用途及び機能は共通する。 (2-2)両意匠部分の位置,大きさ及び範囲について 両意匠部分であるくわえ部は,顔面筋鍛錬具の弾性板中央部の片側に突出するように設けられたものであるから,両意匠部分の位置,大きさ及び範囲は共通する。 (3)両意匠部分の形態について 両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (3-1)両意匠部分の共通点 両意匠部分は,平面視において縦横比が約2:3となる略逆Ω形状の凸状体であって,凸状体の長さ方向において約半分から接合部側までの後方部を,唇で挟み込むための略半円状からなる凹状裾野部とし,正面視において弾性板中央部との接合部を略隅丸長方形状とした点において共通している。 (3-2)両意匠部分の相違点 それに対して,両意匠部分は凸状体の長さ方向における約半分から先端側までの,前方部の形態について相違している。本願部分の前方部は,周側面に凸状部のない平面視略円弧状に形成しているのに対して,本意匠部分の前方部は,先端部に丸みを持たせた略扁平U字状からなり,周囲に略環状凹状部を備えることで,前方部の周側面に連続する凸凹凸の曲面が表れる点において,両意匠部分は相違している。 2.類否判断 両意匠は,顔面筋を鍛えるために使用する「顔面筋鍛錬具」であり,破線部分である両端に楕円部を有する略細長板状体からなる弾性板の側面中央部に,実線部分であるくわえ部を取り付けたものであって,くわえ部の接合部側に設けられた略半円状からなる凹状裾野部をすぼめた状態の唇のみで支え,弾性板を上下に動かすことによって弾性板全体がしなり,それによって発生する負荷で顔面筋を鍛える,というものである。 「顔面筋鍛錬具」において,両意匠のように唇のみで挟み込むくわえ部の態様は,本意匠の出願前には見られないものであって,両意匠部分においてはその態様が共通していることから,この共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。 これに対して,引用意匠の前方部の周側面に連続して表れる凸凹凸の曲面の凹部は,くわえ部を口内に正しい位置に装着するための印として前歯を添えるために設けられたものであるが,あくまでも装着時の正しい位置決めのために備わっているのであって,使用時にはくわえ部を歯で固定することはなく,唇のみで挟み込んで使用するものであるから,この連続する凸凹凸の曲面の有無によって「顔面筋鍛錬具」としての使用感には変わりがないものであり,その態様もわずかな違いであるから,両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は小さいものである。 よって,両意匠は意匠に係る物品が一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲においても共通し,形態についても,共通点は,看者に対して視覚を通じてまとまった一つの美感を与え,両意匠の類否判断に支配的な影響を及ぼすものと認められるのに対して,相違点は,いずれも両意匠の類否判断に及ぼす影響が小さく,これらが相俟って生じる視覚的効果を考慮しても,共通点が看者に与える美感を覆して,両意匠を別異のものと印象付けるほどのものとはいえないから,本願意匠は,本意匠である意願2012-026219号(意匠登録第1466175号)の意匠に類似するものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するから,原審の拒絶理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-02-12 |
出願番号 | 意願2013-2158(D2013-2158) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(E3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 平田 哲也、久保田 麻理 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
綿貫 浩一 江塚 尚弘 |
登録日 | 2015-04-10 |
登録番号 | 意匠登録第1523954号(D1523954) |
代理人 | 恩田 博宣 |
代理人 | 恩田 誠 |