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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 E0
管理番号 1299407 
審判番号 不服2014-16677
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-08-22 
確定日 2015-03-24 
意匠に係る物品 ペットフード 
事件の表示 意願2012- 31932「ペットフード」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,2012年6月29日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成24年(2012年)12月27日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「ペットフード」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「各図に表された細線は,立体形状を表す線である。」としたものである。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとするものであり,本願意匠が類似するとして引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁意匠課が平成19年(2007年)8月31日に受け入れた,電気通信回線の種類:インターネット,掲載確認日(公知日):平成19年(2007年)8月27日,掲載者:株式会社セシール,表題:【ペット良品宅配便】ナチュラルハーベスト ミックスベジキューブ,掲載ページのアドレス:http://www.petoffice.co.jp/cargo/ipp/dir/dir.cgi?PH=40g1nh-mixvegcb&dire=food/nh_mixvegcube に掲載された「ペット用餌」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ19040848号)であって,その形態は,同インターネットに掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比

本願意匠の意匠に係る物品は「ペットフード」であり,一方の引用意匠は「ペット用餌」であるから,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通する。

次に,両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

まず,共通点としては,全体を略隅丸長方形板状体からなる立体形状をしている点が認められる。

他方,相違点として,

(ア)平面形状について,本願意匠は,平面視において全体の縦横比を約5:6とした,左右方向及び上下方向が非線対称で若干右上がりに形成された変形の略隅丸長方形状であって,平坦面を囲む周囲の四隅及び四辺が全て曲線状で構成され,各辺の態様は,下辺が最も湾曲し右辺が最も短い長さとなっており,また各角部の態様は,それぞれが円弧状であるがその中でも右下角部が最も緩やかに湾曲しているのに対して,引用意匠は斜視図のみであるため正確には特定できないものの,平面形状はやや横長の略隅丸長方形状と推定され,平面の略中央部にわずかな凹みを有している点,

(イ)周側面形状について,本願意匠の周側面は,正面視における縦横比が約1:5となっており,また,平面及び底面の平坦部と周側面とは直角を成しているため,水平方向に対して略帯状に形成されているのに対して,引用意匠の周側面は,やや横長の略隅丸長方形で構成する4側面を略円弧状の各辺でつなぎ合わせ,手前側の右角部に斜めの切り欠き部を設けている点,

(ウ)表面の態様について,本願意匠は平面,底面及び周側面の各表面を平坦面として表しているのに対して,引用意匠は原料の野菜やフルーツをフリーズドライにして固形化しているため,表面には野菜等の繊維質により細かな凹凸が表れている点,

が認められる。

2.両意匠の形態の評価

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。
まず,共通点としてあげた態様は,本願出願の出願前よりペットフードとして一般的に見られるものであるため,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものであるから,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
これに対して,相違点(ア)の平面形状の違い及び相違点(イ)の周側面形状の違いについては,ペットフードはペットが直接口にするものであるため,需要者である飼い主は食べやすい形状であるか等,全体形状について十分気を配るものであるから,各面が略隅丸長方形で構成する略ブロック形状とした引用意匠の形態に対して,クッキーのように平面形状に対して厚さが薄く,ペットが容易に口に入れ咀嚼することを可能とする本願意匠のものは,需要者にとってみれば大きな違いであると感じさせ,看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ア)及び相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
さらに,相違点(ウ)の表面の態様の違いについては,ひとつひとつのペットフードは小さいものの,時にはそれを飼い主から直接ペットに与えることもあり,需要者である飼い主は全体形状と共に表面の態様にも注視するものであるうえに,細かな凹凸を表面に有する引用意匠に対して,平面,底面及び周側面を平坦化した本願意匠とは,視覚的にも大きく異なっており,両意匠は看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きいものである。
そして,これらの相違点(ア)ないし(ウ)は,意匠全体として見た場合,上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであると言うことができる。

3.両意匠の類否判断

上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については共通するものの,形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,相違点(ア)及び相違点(イ)が類否判断に及ぼす影響は大きく,また相違点(ウ)と相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。


第4 むすび

以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。


よって,審決のとおり結審する。
別掲
審決日 2015-02-20 
出願番号 意願2012-31932(D2012-31932) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (E0)
最終処分 成立  
前審関与審査官 平田 哲也久保田 麻理 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 綿貫 浩一
江塚 尚弘
登録日 2015-04-24 
登録番号 意匠登録第1524732号(D1524732) 
代理人 大川 晃 
代理人 田邉 隆 

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