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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1300597 
審判番号 不服2014-22501
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-05 
確定日 2015-04-24 
意匠に係る物品 発光ダイオードランプ 
事件の表示 意願2013- 8746「発光ダイオードランプ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする,平成25年(2013年)4月18日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「発光ダイオードランプ」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付された図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由および引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2008年8月18日
特許庁意匠課受入日 2008年9月5日
掲載者 東芝ライテック株式会社
表題 東芝ライテック(株)|プレスリリース|2008年7月17日
掲載ページのアドレス http://www.tlt.co.jp/tlt/topix/press/p080717/p080717.htm
に掲載された「電球」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ20022081号)であって,
その形態は,同ページに掲載された写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)
なお,同ページには,「高出力LED電球”E-COREシリーズ”の発売について」との記載がある。

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「発光ダイオードランプ」で,引用意匠は,「電球」であるが,両意匠は,いずれも発光ダイオードを光源とする電球であり,両意匠の意匠に係る物品は共通する。
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
(1)共通点
(A)全体を,上面の平面視円形状のカバー部(以下,「カバー部」という。),中央の側面視ラッパ状の本体部(以下,「本体部」という。)及び下方の周側面にらせん状のねじ切り部のある口金部(以下,「口金部」という。)とから構成している点,
(B)本体部は,上から約1/2の位置まで緩やかに縮径している略逆円錐台形状の本体上部(以下,「本体上部」という。)を形成し,その下方に段状に縮径した略逆円錐台形状の縮径部(以下,「縮径部」という。)と,さらにその下方に略短円筒形状の円筒状部(以下,「円筒状部」という。)を形成し,上方のカバー部寄りから下方の口金部寄りに向かって漸次縮径しつつ,本体上部と縮径部の周側面を緩やかな凸円弧状とし,円筒状部の口金部寄りの部分を傾斜面としている点,
(C)カバー部は,透光性を有する部材で全体を形成し,上面の外縁部を傾斜面とし,正面視すると本体部よりわずかに横幅が広く周側面が上下幅の狭い横長帯状の垂直面部となっている点,
(D)口金部は,本体部の円筒状部より小径の略短円筒形状とし,ねじ切り部を設け,周側面下端から下端先端部にかけて径を縮小して傾斜面を設け,下端先端部を円弧状に突出して形成している点,
において主に共通する。
(2)差異点
(ア)正面視した全体の縦横比について,本願意匠は,約1:0.9で,わずかに縦長であるのに対して,引用意匠は,約1:1.1でわずかに横長である点,
(イ)平面視したカバー部の態様について,本願意匠は,外縁部が広く,透光性が高く,カバー部を通して,外縁部を除いたカバー部の径と同じ径で,下面に凹凸のある内部中央のレンズの態様が視認できるのに対して,引用意匠は,外縁部が狭く,透光性が低く,内部が視認できない点,
(ウ)本体部を正面視した態様について,本願意匠は,縮径部が1段で円筒状部寄りに細幅のリング状部分があるのに対して,引用意匠は,縮径部が2段で,上段がやや暗調子で上下幅が狭く,下段の上下幅の方がそれより広い点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成であるが,全体を,上面のカバー部,中央の本体部,及び下方の口金部とから構成した態様は,この種の物品分野においては両意匠以外にも既に見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
次に,共通点(B)についても,本体部において,上から約1/2の位置まで緩やかに縮径している略逆円錐台形状の本体上部を形成し,その下方に縮径部と,さらにその下方に円筒状部を形成し,上方のカバー部寄りから下方の口金部寄りに向かって漸次縮径しつつ,本体上部と縮径部の周側面を緩やかな凸円弧状とし,円筒状部の口金部寄りの部分を傾斜面としたものは,発光ダイオードを用いた電球の態様として,従来から見られるありふれた態様といえるもので,さほど特徴のない態様といえるものであり,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
また,共通点(C)及び共通点(D)についても,カバー部や口金部の態様が共通しているが,この種の物品分野においては,普通に見られるありふれた態様であって,特徴のないものといえ,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そして,共通点全体として両意匠の類否判断に及ぼす影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。

これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,まず,差異点(ア)の全体の縦横比について,この種のランプにおいては,ある程度のサイズの種類が存在するが,縦長の本願意匠と横長の引用意匠とでは,明らかにその印象が異なるもので,その差異は,無視することができず,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)については,平面視したカバー部の態様について,透光性が高く,カバー部を通して内部中央のレンズの態様が視認できる本願意匠の態様は,特徴的なものであって,内部が視認できない引用意匠の態様とは,明らかに異なり,需要者に別異な印象を与えるものであり,その差異は,この種の物品分野において需要者の注意を惹く部分といえることから,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
また,差異点(ウ)の本体部を正面視した態様についても,共通する態様における縮径部の具体的な態様の差異であるが,縮径部が1段で円筒状部寄りに細幅のリング状部分がある本願意匠と縮径部が2段で上段がやや暗調子で上下幅が狭く,下段の上下幅の方がそれより広い引用意匠とでは,本体部の印象が異なるもので,その差異は,無視することができず,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。

以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-04-10 
出願番号 意願2013-8746(D2013-8746) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 清水 玲香 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 斉藤 孝恵
江塚 尚弘
登録日 2015-05-15 
登録番号 意匠登録第1526205号(D1526205) 
代理人 中村 信彦 
代理人 桑原 稔 

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