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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D5
管理番号 1301623 
審判番号 不服2014-26321
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-24 
確定日 2015-06-02 
意匠に係る物品 ミラーキャビネット 
事件の表示 意願2013- 26833「ミラーキャビネット」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,平成25年(2013年)11月15日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付された図面によれば,意匠に係る物品を「ミラーキャビネット」とし,その形状,模様,色彩又はそれらの結合(以下,「形態」という。)を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である」としたものである(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由及び引用相当部分

原査定における拒絶の理由の要旨は,本願意匠が本願出願の日前の他の意匠登録出願であってその出願後に意匠法第20条第3項の規定により意匠公報に掲載された意匠登録出願の願書の記載及び願書に添付した図面に記載された意匠の一部に類似するものと認められるので,意匠法第3条の2の規定により意匠登録を受けることができないとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁発行の意匠公報に記載された意匠登録第1499123号(意匠に係る物品:洗面化粧台)の意匠であり,引用意匠のその形態は,同意匠公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。なお,本願意匠が類似するとした引用意匠の一部は,洗面台の上部に取り付けられたミラーキャビネットのミラー間に設けられた照明具部分(以下,引用意匠における本願部分に相当する部分を,「引用相当部分」という。)である。


第3 当審の判断

1 意匠の認定
(1) 本願意匠
ア 意匠に係る物品,並びに本願部分の用途及び機能
本願意匠の意匠に係る物品は,「ミラーキャビネット」であり,洗面化粧台の上部に取り付けられて使用するものであり,本願部分は,位置不明の光源が発する光を透過させ,ミラーキャビネット前方を照射するための照明に用いられる照明カバーである。

イ 本願部分の位置,大きさ及び範囲
本願部分は,
(ア) 横幅の比を約4:5:4とした左,中央,右の鏡扉の間の2箇所に位置し,
(イ) 収納部の間仕切りの正面側に,
(ウ) 照明カバーの前面が鏡扉の前面と面一に構成され,照明カバーが収納部の間仕切りと接する位置が,鏡扉の裏面側の位置とほぼ一致するように取り付けられたものである。

ウ 形態の基本的構成態様
本願部分は,2本の平行な正面視細長帯状の棒状体である。

エ 形態の具体的態様
本願部分は,
(ア) 照明カバー全体が透光性を有する断面視長方形の棒状体であって,
(イ) 照明カバーの横幅を箱体内部に配された収納部の間仕切りの横幅より狭くした形態である。

(2) 引用相当部分
ア 意匠に係る物品,並びに引用相当部分の用途及び機能
意匠公報に記載された引用意匠の意匠に係る物品は「洗面化粧台」であり,引用相当部分は,意匠公報の記載には,鏡扉の間の2箇所に配置された平行な正面視細長帯状の棒状体が照明具であるとの明示的な説明は無いが,この種物品分野において,鏡扉の間に透光性を有する細幅帯状体を設けたものは,引用意匠の出願日前には照明機能を有するミラーキャビネットにしか見られず(参考意匠1:日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成16年(2004年)11月2日)に記載された意匠登録第1221640号(意匠に係る物品:洗面化粧鏡)の意匠(別紙第3参照),参考意匠2:日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成17年(2005年)9月26日)に記載された意匠登録第1251566号(意匠に係る物品:ミラーキャビネット)の意匠(別紙第4参照)),また,「E-E,G-G間の部分拡大図」及び「F-F,G-G間の部分拡大図」において引用相当部分の内部に別部材が認められることから,当該部材が照明機能を発揮するための光源をもつものであって,引用相当部分の用途及び機能は,光源が発する光を透過させ,ミラーキャビネット前方を照射するための照明カバーを正面側に設けた照明具であると推認することができる。

イ 引用相当部分の位置,大きさ及び範囲
引用相当部分は,
(ア) 横幅の比を約2:3:2とした左,中央,右の鏡扉の間の2箇所に位置し,
(イ) 収納部の間仕切りの正面側に,
(ウ) 照明具の前面が鏡扉の前面より僅かに奥に位置するよう構成され,照明具が収納部の間仕切りと接する位置が,鏡扉の裏面から相当に奥まった位置に,
(エ) 隣接する鏡扉から僅かに離して取り付けられたものである。

ウ 形態の基本的構成態様
引用相当部分は,2本の平行な細長帯状の棒状体である。

エ 形態の具体的態様
引用相当部分は,
(ア) 断面視凸字状の棒状体であって,その凸形状の先端寄りの部分のみ透光性を有しており,
(イ)照明具の横幅を箱体内部に配された収納部の間仕切りの横幅より狭くした形態である。

なお,請求人は,引用意匠の図面について,六面図において記載が省略された箇所がある点が問題とし,引用意匠が掲載された意匠公報にない斜視図を作成して,引用意匠を「平面図」から見ると,収納部平面に表れる2つの略縦長矩形状のプレートは,照明部の頂面を覆っているはずである旨主張しているが,以下の理由によりこの主張は採用することはできない。

たしかに,意匠公報に掲載された引用意匠の各図を見てみると,照明具と収納部平面に表れる2つのプレートとが接する部分の形態について,平面図とその他の図は一致していない。仮に,平面図が正しい図面であるとするならば,照明具は収納部の頂面に達していなければならず,そうすると,正面図,右側面図,左側面図,A-A断面図の当該部分の記載に誤りがあるということになる。他方,平面図以外の図が正しい図面であると仮定するならば,照明具は収納部の頂面に達していない形態であり,そうすると平面図の当該部分の記載のみに誤りがあるということになる。
引用相当部分の形態を認定するにあたっては,一般的によく見られる態様に近しいものであれば,一般的知識をもって推認することが妥当であるが,引用相当部分のようにあまり一般的ではない新規な態様である場合には,一致している図面が多い方を採用する前提に基づいて認定を行うことが合理的であるといえることから,引用意匠の図面は,他の複数の図面と一致していない平面図のみが誤りであるとし,照明具は収納部の頂面に達していない形態であると考えるのが妥当である。
また,引用相当部分における透光性を有する部分は,意匠の説明,「E-E,G-G間の部分拡大図」,及び「 E-E,G-G間の部分拡大図」の記載によって明確化されているが,当該プレートが表れている「C-C間のD-D端面図」では2重ハッチングが表されておらず,また,当該プレートが透光性を有する旨の記載が意匠の説明の欄にないことからも,当該プレートが照明具と連続した部分ではないと推認できる。

2 本願部分と引用相当部分の対比
(1) 共通点
(A) 本願部分は,位置が不明である光源が発する光を透過させ,ミラーキャビネット前方を照射するための照明カバーであり,引用相当部分は,内部の光源が発する光を透過させ,ミラーキャビネット前方を照射するための照明カバーを正面側に設けた照明具であるが,いずれもミラーキャビネット前方を照射する照明のための照明カバーであることが共通しているから,本願部分と引用相当部分(以下,「両意匠部分」という。)の用途及び機能は共通する。
(B) 両意匠部分は,基本的構成態様が2本の平行な細長帯状の棒状体であって,照明カバー又は照明具の横幅を収納部の間仕切りの横幅より狭くした形態が共通する。
(C) 両意匠部分は,収納部の間仕切りの正面側に取り付けられた点が共通する。

(2) 相違点
(a) 本願部分は,横幅の比を約4:5:4とした左,中央,右の鏡扉の間の2箇所に位置しているのに対し,引用相当部分は,横幅の比を約2:3:2とした左,中央,右の鏡扉の間の2箇所に位置している点が相違する。
(b) 本願部分は,照明カバーの前面が鏡扉の前面と面一に構成され,照明カバーが収納部の間仕切りと接する位置が,鏡扉の裏面側の位置とほぼ一致するよう取り付けられているのに対し,引用相当部分は,照明具の前面が鏡扉の前面より僅かに奥に位置するよう構成され,照明具が収納部の間仕切りと接する位置が,鏡扉の裏面から相当に奥まって取り付けられている点が相違する。
(c) 本願部分は,全体が透光性を有する断面視長方形状の棒状体であるのに対し,引用相当部分は,断面視凸字状の棒状体であって,その凸形状の先端側の窄んだ部分のみ透光性を有している点が相違する。

なお,引用相当部分は,意匠公報に掲載された「E-E,G-G間の部分拡大図」及び「F-F,G-G間の部分拡大図」によれば,照明具と鏡扉の間に僅かな隙間が認められ,請求人は,当該特徴は本願部分には認められず,この点は看過できない両意匠部分の相違点である旨主張するが,この主張は以下の理由により採用することができない。
引用相当部分は,前記部分拡大図があることによって当該隙間を認識することができるが,拡大していない「平面図」や「B-B断面図」においては,作図上表すことができず,よって,当該隙間を認識することができない。つまり,請求人が相違として主張するこの程度の隙間については,ミラーキャビネット全体を普通の大きさで図面に表したときには,その細部である隙間まで表さず,結果,認識することができない。そうすると,本願部分についても「平面図」や「内部構造を省略したA-A’断面図」からは鏡扉との間に隙間を認めることができないものの,それは当該部分が表れた拡大図がないためであって,引用相当部分と同程度の隙間がないとはいえない。

3 類否判断
両意匠部分の用途及び機能は共通しているから,以下,両意匠部分の位置,大きさ及び範囲,並びに形態の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響を評価する。

(1) 共通点
共通点(B)の,2本の平行な細長帯状の棒状体であって,照明カバー又は照明具の横幅を収納部の間仕切りの横幅より狭くした点については,このような態様は,引用意匠の出願前には見られない特徴的なものであるが,全体的な形態が略棒状体の単にシンプルな形状であり,また,収納部の間仕切りの横幅に関する共通点についても,その間仕切りを看者が常時観察するものではないから,看者に格別の印象を与えているものではく,共通点(B)が類否判断に与える影響は小さい。
共通点(C)の,照明カバー又は照明部が,収納部の間仕切りの正面側に取り付けられた点については,従来から間仕切りの正面の位置に照明カバーを設けることは普通に見られるものであるから,共通点(C)が類否判断に与える影響は小さい。

(2) 相違点
相違点(a)の,本願部分は,横幅の比を約4:5:4とした左,中央,右の鏡扉の間の2箇所に位置しているのに対し,引用相当部分は,横幅の比を約2:3:2とした左,中央,右の鏡扉の間の2箇所に位置している点は,両意匠部分の位置の僅かな相違であるから,相違点(a)が類否判断に与える影響は小さい。
相違点(b)の,本願部分は,照明カバーの前面が鏡扉の前面と面一に構成され,照明カバーが収納部の間仕切りと接する位置が,鏡扉の裏面側の位置とほぼ一致させる位置に取り付けられている位置,大きさ,及び範囲であるのに対し,引用相当部分は,照明具の前面が鏡扉の前面より僅かに奥に位置するよう構成され,照明具が収納部の間仕切りと接する位置が,鏡扉の裏面から相当に奥まった位置に取り付けられている点が相違することは,両意匠部分の位置,大きさ及び範囲における僅かな相違であるから,相違点(b)が類否判断に与える影響は小さい。
相違点(c)の,本願部分は,全体が透光性を有する断面視長方形状の棒状体であるのに対し,引用相当部分は,断面視凸字状の棒状体であって,その凸形状の先端側の窄んだ部分のみ透光性を有している点は,引用相当部分の非透光部分は,奥行きの2/3以上を占めており,開扉時にはこの特徴が看者の注意をよく惹くものとなることから,相違点(c)が類否判断に与える影響は大きい。

(3)総合評価
上記のとおり,両意匠部分には,その形態において両意匠部分の類否判断に大きな影響を与える相違点があり,両意匠部分の用途及び機能,位置,大きさ及び範囲,並びに形態の共通点をすべて考慮しても,その相違点の印象を覆すには至らないものであるから,意匠全体として見た場合,本願部分は引用相当部分に類似しない。


第4 むすび

以上のとおりであるから,本願意匠は,意匠法第3条の2の規定により意匠登録を受けることができない意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

したがって,本願は登録すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-05-21 
出願番号 意願2013-26833(D2013-26833) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D5)
最終処分 成立  
前審関与審査官 杉山 太一 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 久保田 大輔
江塚 尚弘
登録日 2015-06-12 
登録番号 意匠登録第1528694号(D1528694) 
代理人 岩池 満 
代理人 瓜本 忠夫 
代理人 正林 真之 
代理人 星野 寛明 
代理人 芝 哲央 
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