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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L4
管理番号 1304021 
審判番号 不服2015-2014
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-02 
確定日 2015-07-14 
意匠に係る物品 太陽電池モジュール用取付金具 
事件の表示 意願2014- 1739「太陽電池モジュール用取付金具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,平成26年(2014年)1月10日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付された図面によれば,意匠に係る物品を「太陽電池モジュール用取付金具」とし,その形状,模様,色彩又はそれらの結合(以下,「形態」という。)を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由の要旨は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁発行の公開特許公報記載の特開2013-177778【図9】(b),及び(c)においてクランプ部材20として表された意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第3 当審の判断

1 意匠の認定
(1) 本願意匠
ア 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「太陽電池モジュール用取付金具」である。

イ 形態の基本的構成態様
全体を,略板状とし,基板部底面には正面端部から背面端部にかけて2本の直線状リブ部が形成されている。

ウ 形態の具体的態様
(ア-1) 金具のリブ部以外の部分(以下,「基板部」という。)は,平板体であって,平面視形状が縦横比を約17:7とする縦長矩形状であり,正面視形状が上辺:底辺:高さの長さ比を約7:10:1とする略偏平台形状であって,
(ア-2) その左右縁部はやや丸みを帯びているものである。
(イ) 基板部の平面視中央にはボルトを貫通するための円形孔部が設けられている。
(ウ-1) 2本のリブ部は,それぞれ正面視縦幅を基板部横幅の約1/7,基板部厚みの約3/2倍の長さとし,
(ウ-2) 基板部底面の左右端部から基板部横幅の約1/4の位置であって,基板部中央の円形孔部から離れた位置に設けられており,
(ウ-3) リブ部の内側付け根部分を盛り上げて正面視略円弧状に膨らませ,2本のリブ部の内側を,正面視略偏平逆U字状となるよう形成している。

(2) 引用意匠
ア 意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は,公開特許公報には「クランプ部材」と記載されているが,同公報記載の図9の記載から,左右に太陽光パネルを並べて,その端部を上方から押し留めて取り付けるための「クランプ」であると認められる。

以下,本願意匠の向きに合わせて,引用意匠の形態について認定する。

イ 形態の基本的構成態様
全体を,略板状とし,基板部底面には正面端部から背面端部にかけて2本の直線状リブ部が形成されている。

ウ 形態の具体的態様
(ア-1) 基板部は,正面視形状が上辺:底辺:高さの長さ比を約2:5:1とする略偏平台形状である。なお,平面視形状については,同公報掲載の図9(b)及び(c)の記載から,縦横比を約8:5とする縦長矩形状であると推認できる。
(ア-2) 基板部の正面視左右縁部を鋭角状に形成している。
(イ) 基板部の平面視中央にはボルトを貫通するための円形孔部が設けられている。
(ウ-1) 2本のリブ部は,それぞれ正面視縦幅を僅かな長さとし,
(ウ-2) 基板部底面の左右端部から基板部横幅の約1/3の位置であって,基板部中央の円形孔部と隣接した位置に設けられており,
(ウ-3) リブ部の内側付け根部分を正面視略直角状とし,2本のリブの内側を正面視略偏平倒コ字状となるように形成している。

2 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の対比
(1) 両意匠の共通点
上記両意匠の認定に基づき,両意匠の共通点を以下に列挙する。
(A) 本願意匠の意匠に係る物品は「太陽電池モジュール取付用金具」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「クランプ」であるが,引用意匠は左右に太陽光パネルを並べて,その端部を上方から押し留めて取り付けるためのクランプであるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。
(B) 全体を略板状とし,基板部底面には正面端部から背面端部までにかけて2本の直線状リブ部が形成されている基本的構成態様が共通する。
(C) 基板部の平面視中央にボルトを貫通するための円形孔部が設けられている具体的態様が共通する。

(2) 両意匠の相違点
次に,両意匠の相違点を以下に列挙する。
(a-1) 本願意匠は,基板部平面視形状が縦横比を約17:7とする縦長矩形状であるのに対し,引用意匠は,基板部平面視形状が縦横比を約8:5とする縦長矩形状である点が相違する。
(a-2) 本願意匠は,基板部正面視形状が上辺:底辺:高さの長さ比を約7:10:1とする略偏平台形状であるのに対し,引用意匠は,正面視形状が上辺:底辺:高さの長さ比を約2:5:1とする略偏平台形状である点が相違する。
(a-3) 本願意匠は,正面視左右縁部をやや丸みを帯びたもとしているのに対し,引用意匠は,正面視左右縁部を鋭角状に形成したものである点が相違する。
(b-1) 本願意匠のリブ部の縦幅は,それぞれ正面視縦幅を基板部横幅の約1/7,基板部厚みの約3/2倍の長さであるのに対し,引用意匠のリブ部は,正面視縦幅を僅かな長さでしかない点が相違する。
(b-2) 本願意匠は,2本のリブ部を,基板部底面の左右端部から基板部横幅の約1/4の位置であって,基板部中央の円形孔部から離れた位置に設けているのに対し,引用意匠は,2本のリブ部を,基板部底面の左右端部から基板部横幅の約1/3の位置であって,基板部中央の円形孔部に隣接する位置に設けている点が相違する。
(b-3) 本願意匠は,リブ部の内側付け根部分を盛り上げて正面視略円弧状に膨らませ,2本のリブ部の内側を,正面視略偏平逆U字状となるよう形成しているのに対し,引用意匠は,リブ部内の内側付け根部分を正面視略直角状とし,2本のリブの内側を正面視略偏平倒コ字状となるように形成している点が相違する。

3 類否判断
両意匠の意匠に係る物品は共通しているから,以下,両意匠の形態の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響を評価し,判断する。

(1) 共通点の評価
共通点(B)の,全体を略板状とし,基板部底面に正面端部から背面端部までにかけて2本の直線状リブ部を形成した基本的構成態様は,太陽電池モジュール用取付金具の物品分野において,引用意匠の公開前に既に普通に見られることから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
共通点(C)の,基板部の平面視中央にボルトを貫通するために設けられた円形孔部は,太陽電池モジュール取付用金具の機能を果たすために当然に設けられる孔部であって,両意匠にのみ共通する態様ではないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

(2) 相違点の評価
相違点(a-1)の平面視形状の相違については,略板状金具の平面視縦横比は従来から様々存在しており,看者は両意匠の平面視縦横比の相違を特に着目しないから,両意匠の平面視縦横比の相違が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。また,相違点(a-3)の正面視左右縁部がやや丸みを帯びているか否かの相違は,左右端部の先端部分のみのごく小さな相違であって,意匠全体として見たときには,注視してはじめて認識できる程度の相違であり,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
しかし,相違点(a-2)の正面から見た基板部の厚みの相違については,本願意匠は一枚の平面的な金具の印象を看者に与えているのに対し,引用意匠は,厚みのある立体的な金具の印象を看者に与えているから,この相違点が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(b-1)のリブ部の縦幅の長さの相違については,本願意匠のリブ部の縦幅が基板部の厚みの約3/2倍の長さで形成されているために,基板部と2本のリブ部によって,看者に正面視π字状の金具であるとの印象を与えているのに対し,引用意匠は,リブ部が極めて短く,また,基板部が肉厚であるために,看者に正面視台形状の金具であるとの印象を与えており,リブ部の縦幅の長さの相違が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(b-2)の2本のリブ部の位置の相違は,意匠全体として見たときにはごく僅かな程度の相違であり,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
相違点(b-3)のリブ部の内側付け根部分の形態の相違については,本願意匠のリブ部の内側付け根部分を正面視円弧状とした形態は,底面の正面側端部から背面側端部まで広い範囲に表れる態様であること,及びこのような形態は太陽電池モジュール用取付金具の分野においてはこれまでに見られない形態であることから,この相違が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

(3) 小括
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,また,形態の共通点がいくつか認められるものの,それらの各共通点はいずれも類否判断に与える影響は小さく,他方で,形態の相違点には類否判断に大きな影響を与えるものがあり,形態の共通点及び相違点を総合的に評価すると,形態の各相違点があいまって生じさせる視覚的効果が,共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせていることから,両意匠は類似しない。


第4 むすび

以上のとおりであるから,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができない意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

したがって,本願は登録すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

別掲
審決日 2015-07-02 
出願番号 意願2014-1739(D2014-1739) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 恭子 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 久保田 大輔
江塚 尚弘
登録日 2015-08-07 
登録番号 意匠登録第1532693号(D1532693) 
代理人 森下 夏樹 
代理人 石川 大輔 
代理人 山本 秀策 
代理人 山本 健策 
代理人 飯田 貴敏 
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