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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1305033 
審判番号 不服2015-3459
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-24 
確定日 2015-07-28 
意匠に係る物品 テーブルタップ 
事件の表示 意願2014- 9288「テーブルタップ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成26年(2014年)4月28日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「テーブルタップ」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁意匠課が2002年7月12日に受け入れた内国カタログ「PC NAVI 2002 Vol.15 アーベル総合カタログ(電波新聞 H14.4.9 P5 写真有)」第176頁に所載の「テーブルタップ」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC14030346号)(以下,「引用意匠」といい,本願意匠と引用意匠を併せて「両意匠」という。)であって,その形態は,同カタログに記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.当審の判断
(1)意匠に係る物品
両意匠を対比すると,意匠に係る物品は,「テーブルタップ」であって,一致する。
(2)形態
両意匠の形態を対比すると,以下に示す共通点と差異点が,主に認められる。
(2-1)共通点
(A)全体を扁平な縦長の箱状とした本体の,上面に複数口の,先端面に一口のコンセントを設け,後端側にコードを設けたものであって,
(B)本体形状を,先端面を横長長円形とした柱状とした点,
(C)上下面及び左右側面からなる周面から先端面への角は小角丸としている点,
において主に共通する。

(2-2)相違点
(ア)本体の後端側の態様につき,本願意匠は,先端面の小角丸よりも大きな半径の角丸である,本体厚さ寸法の約4分の1の半径の角丸で垂直な後端面につながっているのに対して,引用意匠は不明ではあるが,コード接続部の左右の両肩部分が,本体厚さとほぼ同じ寸法の直径による略球面状となっているように見える点,
(イ)本体の縦横厚さの寸法比率につき,本願意匠は,約4:2:1であるのに対して,引用意匠は,約6:2.5:1である点,
(ウ)本体上面のコンセントの数につき,本願意匠は,二口であるのに対して,引用意匠は三口である点,
(エ)本体上面の後端側余白部につき,本願意匠は,コンセントとコンセントの間隔の約2倍の,広い余白部としているのに対して,引用意匠は,先端側余白部と同等の狭い余白部としている点,
(オ)コンセントの輪郭形状につき,本願意匠は,隅丸略長方形としているのに対して,引用意匠は,略タル形状としている点,
(カ)コード接続部の形状につき,本願意匠は,略長円柱状としているのに対して,引用意匠は,略四角錐台状である点,
において主に相違点が認められる。

(3)類否判断
(3-1)共通点の評価
共通点(A)は,この種物品分野においてごく普通に見られる構成であり,類否判断に与える影響は無い。
共通点(B)は,本体形状を,先端面を横長長方形とした柱状のものが主流のこの種分野においては,一定程度の共通感を醸し出し,両意匠の類否判断においてある程度の影響を与えるが,少数ではあるが,先行意匠に見受けられる形態であるから,この点が,両意匠のみの共通する特徴とはいえず,これのみで類否判断を決することはできない。
共通点(C)は,この種物品分野においては,上下面及び左右側面から先端面にかかる角を小角丸とすることは,常とう手段であって,よく見られる態様であるから,類否判断における影響があるとしても,ごく小さいものである。

(3-2)相違点の評価
これに対して,相違点(ウ)は,この種物品分野においては,各種のものが用意されている現状があり,本願意匠の態様も,引用意匠の態様も,ごく普通に見られるものであって,何ら特徴は無く,この点において両意匠の類否判断に与える影響は皆無といっても過言ではないし,この相違点によって,テーブルタップ本体の長さが変更されることも,ごく普通の手段であるから,相違点(イ)も,両意匠の類否判断に与える影響はないといえる。
そして,相違点(エ)については,その部分に会社名や商品名等を入れるようにするために,本願意匠のように広い態様とすることは,本願出願前からよく見られるものであるから,この程度の寸法差であるならば,この相違点も両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
この種物品分野における,先行意匠によれば,左右側面を略垂直面としたものは,後端面も略垂直面とし,全体を略直方体としたものが通常であり,また,先端面を横長長円形とし,左右側面を凸曲面としたものは,後端面を大きな半径の略歪球面状としたものが通常であり,本願意匠のように,左右側面を曲面としつつ,比較的大きな半径による角丸としているとは言え,後端面を略垂直面としたものは,本願出願前には見られず,本願意匠のみの特徴といえるものであるから,相違点(ア)による,両意匠の類否判断に与える影響はとても大きい。そして,この相違点(ア)に加えて,小さな差ではあるが,その他の相違点(オ)及び相違点(カ)も併せ考えると,両意匠に対して別異の印象を与えるものである。

したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,その形態については,両意匠の共通点及び差異点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものと言える。

4.結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当すると言うことはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,本意匠と本願意匠との,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-07-13 
出願番号 意願2014-9288(D2014-9288) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 上島 靖範清野 貴雄 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 橘 崇生
宮田 莊平
登録日 2015-09-11 
登録番号 意匠登録第1535282号(D1535282) 
代理人 藤井 兼太郎 
代理人 鎌田 健司 
代理人 前田 浩夫 

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