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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1306413 
審判番号 不服2015-3482
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-24 
確定日 2015-09-16 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2013- 28087「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成25年(2013年)11月29日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁普及支援課が2013年8月19日に受け入れた 大韓民国意匠商標公報 2013年7月15日13-21号 に掲載の「包装用容器(登録番号30-0701037)」の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH25427842号)であって,その形態は,同公報の図に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用容器」であり,引用意匠の意匠に係る物品も「包装用容器」であるから,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,一致する。
次に,両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下の共通点及び相違点がある。
まず,共通点として,
(A)全体形状は,正面視において,縦横比約13:6の略アーモンド形の瓶体であって,それは、上から順に,キャップ等を装着するための凸条部付きの短い略円筒形状の細口部(以下,単に「口部」という。),その直下の略円環状の鍔部を経て,下方に向かい略円筒形状から略長円筒状になだらかに左右に広がるように形成された,全体の上半分で口部を除く部分(以下,「首部」という。),全体の下半分で,首部からなだらかに連続した略長円筒状であって、正面視において,樽型に上下中間部が僅かに左右に膨らんだ形状をなす部分(以下,「胴部」という。),最下部の長円板状の底部で,4分の1円弧状に丸みを帯びた角部を含む部分(以下,「底部」という。)の各部からなる点,(B)首部下部及び胴部の前後には,上縁円弧状,下縁水平直線状の縦長平坦部を設けている点,が認められる。
他方,相違点として,
(ア)各部の構成比率として,(ア-1)胴部及び底部:首部:口部の高さ比率が,本願意匠は約1:0.8:0.2であるのに対し,引用意匠は1:0.9:0.1であり,また,(ア-2)胴部の左右幅:前後の厚み(いずれも最凸部)の比率が,本願意匠は約1:0.8であるのに対し,引用意匠は約1対0.6であって,(ア-3)正面から見て,樽型に膨らんだ最大幅に対する胴部下端の幅の比率が,本願意匠は約1:0.8であるのに対して, 引用意匠は約1:0.9であり,胴部下端のすぼまり幅が,本願意匠よりも引用意匠がごく僅かである点,(ア-4)全体として,本願意匠は口部が長めで,厚みのある正面視でやや下端がすぼまった構成比率となっているのに対し,引用意匠は口部が短く,厚みが薄く、正面視で下端のすぼまりがごく僅かな構成比率となっている点,
(イ)首部下部及び胴部前後に配した上縁円弧状で下縁水平方向に直線状の縦長平坦部について,本願意匠は,側面視においてやや末広がりに厚みを増したその下端が包装用容器底部まで達し,外方に丸みを帯びた角部に消えていくように形成されているのに対し,引用意匠は底部より少し上方で途切れ,その下端は底部と平行に内方に刳るような丸みを帯びた後,下方に折れ曲がる段差状の下辺部を形成した態様である点。
(ウ)口部の態様について,本願意匠は鍔部より上部を首部より一回り細い略円筒状の口部とし,その外周にキャップ開閉用にらせん状の凸部を設けているのに対して,引用意匠は,首部とほぼ同径で本願意匠に比べて高さ幅が短く,キャップ嵌め込み用の略斜面状の円環状凸部を上端部に設けている点。
が認められる。

2.類否判断
以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否かを判断する。
(1)両意匠の共通点の評価
まず,共通点(A)の全体形状については,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の基本的構成態様の共通点に過ぎないものであって,この種の包装用容器の需要者が意匠を観察する場合においては,より詳細な具体的形態や各部の構成比率にも相当の関心をいだくものであるから,この点のみをもって両意匠の類否判断を決するということはできない。また,共通点(B)の首部下部及び胴部前後に,上縁円弧状,下縁水平直線状の縦長平坦部を設けている点については,包装用容器としてこのような縦長平坦部を胴部に設けることは,本願意匠の出願前に数多く見られる態様であって,格別需要者の関心を引くものとはいえず,加えて,該部の形状について,より詳細には,上記の相違点(イ)に係る相違もあることから,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものである。そうして,これらの共通点(A)及び(B)は,全体としてみても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
(2)両意匠の相違点の評価
これに対し,相違点(ア-2)の胴部の厚みの構成比率については,本願意匠は胴部の厚みが顕著であるのに対して引用意匠は薄く形成されており,手にとって観察できる包装用容器の物品分野においては,この違いは全体的な構成からみても,需要者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ア-2)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
また,相違点(イ)の胴部前後の縦長平坦部については,本願意匠が,縦長平坦部の下辺部が底辺部まで達し,側外方に丸みを帯びた角部に消えていくように形成されているのに対し,引用意匠は底辺部より少し上方で底辺部と平行に内方に刳るような丸みを帯びた後,下方に折れ曲がる段差状の下辺部を形成している点について,特に,側面から観察すると,上記相違点(ア-2)の胴部の厚みの相違もあいまって,本願意匠の縦長平坦凹部の下辺部にほとんど刳れのない態様からくるやや末広がりの厚みのある形状によって,どっしりとした安定感のある印象を与えるものであるものと,引用意匠の前後に配された縦長平坦部下辺部のはっきりした刳れによって薄めの胴部となった下部形状からくるやや不安定な印象を与えるものとでは,それを観察する需要者に対し別異な印象を与えるものであるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
そして,これらの相違点(ア-2)及び相違点(イ)は,意匠全体として見た場合,これら2つの相違点のみによっても上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであると言うことができる。
他方,相違点(ア-3)の胴部下部のすぼまり幅が本願意匠よりも引用意匠がごく僅かである点は,その相違の程度の小ささから包装用容器のボディーラインの印象として需要者に与える差異感は僅かであって,さほど類否判断に大きな影響を与えるものとは,いえない。そして,相違点(ウ)の口部の態様の違いも,双方ともに一般的なキャップの種類によって生じる程度の僅かな相違にすぎないものであるから,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものである。

(3)小括
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については一致するものの,形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,相違点(ア-2)及び相違点(イ)が類否判断に及ぼす影響は大きく,これら2つの相違点のみによっても両意匠の類否判断を左右する程のものといえるのに加え,相違点(ア-1),相違点(ア-3),相違点(ア-4),及び相違点(ウ)が相違点(ア-2)及び相違点(イ)とあいまって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものである。
したがって,両意匠は類似しないものと認められる。

第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-09-03 
出願番号 意願2013-28087(D2013-28087) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木本 直美 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 清野 貴雄
渡邉 久美
登録日 2015-10-23 
登録番号 意匠登録第1538401号(D1538401) 
代理人 高柴 忠夫 
代理人 棚井 澄雄 
代理人 鈴木 三義 
代理人 志賀 正武 

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