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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服201422102 | 審決 | 意匠 |
不服201424574 | 審決 | 意匠 |
不服201421480 | 審決 | 意匠 |
不服201423233 | 審決 | 意匠 |
無効2014880019 | 審決 | 意匠 |
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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F5 |
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管理番号 | 1306422 |
審判番号 | 不服2015-3322 |
総通号数 | 191 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-02-23 |
確定日 | 2015-09-29 |
意匠に係る物品 | 列車用運行状況表示機 |
事件の表示 | 意願2013- 21379「列車用運行状況表示機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成22年(2010年)3月29日を出願日とする特許出願の特願2013?169338号を原出願として,意匠法第13条第1項の規定により,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成25年(2013年)9月17日に出願された意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「列車用運行状況表示機」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で示した部分が部分意匠として登録を受けようとする部分である」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由 原審は,拒絶理由通知書と同時に,本願については,平成25年8月19日出願の特願2013-169338号(以下「原特許出願」という。)までの出願日の遡及は認められないとする通知書を発送した。 具体的には,本願意匠部分は,列車の運行状況に関する画像中の矩形枠形状と接続列車の情報に関係する図形を表したものと認められるが,原特許出願の明細書及び図面中には,図2に示された列車運行状況に関する画像から,枠形状と接続列車の情報に関係する図形のみを残し,その他の図形と具体的な情報が除かれることに関する記載,すなわち,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分が明確に認識しうるような具体的な記載がなされていたと認められない。したがって,本願意匠と同一の意匠が原出願において開示されていたと認められないので,本願は原特許出願の時にしたものとはみなさず,変更のあったときにしたものとして扱う,と原審は通知した。 そして,原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとするものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の公開特許公報(公開日平成23年(2011年)10月20日)所載 特開2011-207294号(発明の名称「列車情報表示システム」。以下,「引用文献」という。)の図1におけるディスプレイ装置の意匠(対比の対象となる部分は,図2に表された画像中の,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に対応する部分(以下「引用意匠部分」という。)である。)であって,その形態は,引用文献の図及び関連する記載に表されたとおりのものである。(別紙第2参照) その後,出願人は,この拒絶理由通知書に対して意見書を提出し,本願意匠部分は,原特許出願において明確に認識しうるような具体的な記載がされているから,本願意匠は意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠には該当しない旨主張したが,原審は,出願日の遡及を認めない2回目の通知をすると同時に,次のように追記し拒絶査定をした。 すなわち,原特許出願の願書及び添付の明細書に記載された範囲から直接的に導かれる意匠は【図2】に表されたとおりの表示画面全体で1つとする部分意匠であり,強いて言えば段落【0031】に着目しその記載内容を拠り所として,表示画面の外形や各エリア及び各欄の区画分けを示す枠線のみで構成された部分意匠が導き出せるに過ぎない。 本願意匠は,原特許出願に添付されていた【図2】の表示画面から,各エリアと欄を示す枠線の一部と記号を取捨して再構成したものであって,当該部分に係る意匠は原特許出願において明確な開示がなされていたとは認められないので,本願について原特許出願までの出願日の遡及は認めることができず,本願意匠は意匠登録前に頒布された刊行物に記載された意匠と類似すると言わざるをえない。 第3 請求人の主張の要点 請求人は,本願意匠は,原特許出願において明確に開示されている旨主張した。 まず,実線で表された本願意匠部分と破線で表されたそれ以外の部分を含めた全体形態は,原特許出願の【図2】の意匠に表されており,その各部の構成要素は画像全体として一体を成している。 原特許出願の【図2】は,原特許出願の平常運転時の運行状況表示画面を説明する図であり,明細書の段落【0031】から【0047】等にこの説明が記載されている。 (イ)「接続マーク」の開示 「接続マーク」は,ある駅での列車間の乗り継ぎ(乗り換え)が可能であることを示すものである。そして,原特許出願の明細書段落【0043】において「同じ駅で当列車と接続列車との到着予定時間14d,15aが等しいときには,接続列車路線図15では,例えば,「AAA」駅のように,当列車路線図14aでの当列車到着予定時間表示マーク14dに接続された接続列車到着予定時間表示マーク15aのみが表示され,重複する接続列車到着予定時間は表示されない。」と,この技術的思想が明確に開示されており,この形状の美的な面に関しては【図2】に明確に開示されている。 (ロ)「接続列車情報表示欄」の開示 「接続列車情報表示欄」は,接続する列車の発車時刻,列車の種別や行先などの表示を行うものである。そして,原特許出願の明細書段落【0040】において,「乗換駅でのこの接続列車の発車時刻が表示される接続列車発車時刻表示欄16bと,この接続列車の種別(各駅停車や急行,特急など)が表示される接続列車表示欄16cと,この接続列車の行先が表示される接続列車行先表示欄16dとが設けられている。」と,この技術的思想が明確に開示されており,この形状の美的な面に関しては【図2】に明確に開示されている。 (ハ)「接続マーク」及び「接続列車情報表示欄」の技術的な効果の開示 原特許出願の明細書段落【0047】において,「乗客が現在乗車している当列車の停車駅や夫々の停車駅までの所要時間を確認することができるとともに,この当列車から乗り換えできる接続列車の乗り換えのための情報や運行状況を確認することができ,乗り換え駅に到着する前にこの接続列車に乗り換えるか否かの判断を容易にすることができる。」と「接続マーク」と「接続列車情報表示欄」とが両方表示されることによって,技術的な効果が明確に開示されている。そして,本願意匠は,その美的な面の意匠登録を受けようとするものである。 したがって,原特許出願の明細書及び図面に明確に開示された技術的な効果を有した新しい形状(「接続マーク」及び「接続列車情報表示欄」)であり,本願意匠は原特許出願から直接的に導かれる意匠である。 (なお,本願意匠と引用意匠との類否についての言及はない。) 第4 当審の判断 1.本願意匠について 本願意匠は,第1に述べたとおりのものである。 すなわち,本願意匠の意匠に係る物品は,「列車運転状況表示機」であり,列車の運行状況などの情報を表示する物品である。 本願意匠部分は,願書添付図面に実線で示した部分であるところ,願書添付図面において実線で表されているのは,以下の4箇所である。すなわち, (あ)本願意匠に係る列車運転状況表示機の表示画面の外形である横長長方形状。 (い)上方から約3分の1に位置し横幅全幅に及ぶ直線。この直線は,上記横長長方形状を上方区画1対下方区画2の割合で,上下に分割している。 (う)下方区画の下端付近右寄りに位置する略横長細帯状区画。その内部は横方向に3分割されており,略横長帯状区画の上辺左角付近から上方向に暗調子の略小正三角形状突出部が延伸している。 (え)下方区画の(う)の略小正三角形状突出部から僅かに間隔をおいた上方に位置する,大小2つの小円形を,極細幅の帯状部を介して上下に接続した図形。 また,願書の「意匠に係る物品の説明」には,画像の用途及び機能について列車情報(列車種別/行先,次到着駅や車両番号など),列車運行状況情報(列車路線図,停車駅の駅名や列車マークなど),そして接続列車情報(この列車と接続する接続列車の路線図など)の表示を行うものであること,また,接続マーク(ある駅での列車間の乗り継ぎ(乗り換え)が可能であることを示すマーク)と接続列車情報表示欄(接続する列車の発車時刻,列車の種別や行先など)の表示を行うものであることが記述されており,【使用状態及び各部の名称を示す参考図】には,引き出し線で「列車情報表示エリア」「接続マーク」「接続列車情報表示エリア」「接続列車情報表示欄」と記載されている。 以上の願書及び添付図面の記載全体を総合すると,本願意匠部分は,横長長方形状の表示画面であり,この横長長方形内に,以下の3つの領域が含まれていると認められる。 (A)「列車情報表示エリア(乗客が乗車している列車種別/行先,次到着駅や車両番号などを表示するエリア)」,すなわち,上方約3分の1の横長細幅帯状区画領域(上記(あ)と(い)により囲まれた領域)。 (B)「接続マーク」,すなわち,大小2つの小円形を極細幅の帯状部を介して上下に接続した形状の領域(上記(え))。 (C)「接続列車情報表示欄」,すなわち,上辺左角付近に略小正三角形状突出部を延伸させてなる略横長細帯状区画領域(上記(う))。 そして,これら3つの領域は,現在乗客が乗車している列車から,ある駅で乗り継ぎ(乗り換え)を行うための乗り継ぎ(乗り換え)情報表示機能を,それぞれが分担して行う3つの表示領域である。したがって,3つの表示領域全体で,乗り継ぎ(乗り換え)を行うための表示機能が成立しているものであるから,用途及び機能において密接な関係があり,3つの領域を含む部分全体として一意匠であると認められる。 なお,請求人は,本願意匠は,上記(B)及び(C)からなる意匠である旨主張するが,仮にそうであるなら,意匠全体における上記(い)の直線部分の用途及び機能が不明確であると言わざるをえない。 2.本願意匠が,原特許出願に開示されていたか否かについて 特許出願から部分意匠の意匠登録出願への出願の変更に際しては,原特許出願の最初の明細書及び図面に,変更による新たな意匠登録出願の部分意匠が明確に認識しうるような具体的な記載があり,出願の変更の前後の内容が同一と認められる場合に,変更による部分意匠の意匠登録出願は,原特許出願の時にしたものとみなされる。 そこで,本願意匠の上記(A),(B)及び(C)の3つの領域を含む部分がひとつの技術的思想として,原特許出願に開示されていたかどうかについて考察する。 原特許出願は,その原出願を平成22年(2010年)3月29日出願の特願2010-75614号(以下「もとの特許出願」という。)とする,特許法第44条第1項の規定による特許出願であり,発明の名称を「列車情報表示システム」とするものである。原特許出願の【請求項1】には「当列車(当審注:「当列車」とは,「乗客が乗車している列車のことをいう」旨の記述が原特許出願の明細書段落【0009】に記載されており,段落【0033】では,そこで着目している1つの列車を「当列車」といい,この当列車と同じ路線の少なくとも一部でも運行し,この当列車から最初に乗り継ぎ(乗り換え)できる列車を「接続列車」という旨記載されている。以下,当審も,同様に「当列車」「接続列車」と言う。)の各車両のディスプレイ装置に,外部サーバからの運行関連情報に応じた該当列車の運行状況表示画面を表示させる列車情報表示システムであって,該当列車が平常運行状況にあるときには,該当列車が運行される路線の路線図と,該路線での該当列車が停車する駅の駅名を該路線図に沿って表わした平常運行状況の該運行状況表示画面を該ディスプレイ装置に表示し,」と記載されている。 【図1】には,本発明による列車情報表示システムの一実施形態を示す構成図,【図2】には,図1におけるディスプレイ装置で表示される平常運行時の運行状況表示画面の一具体例を示す図が表されている。 【図2】に表された図は,本願の願書添付図面の【使用状態及び各部の名称を示す参考図】と,接続列車情報表示欄の略横長細帯状区画の左辺の線の太さを除き,同一である。(【図2】は,左辺の直線のみ他の3辺の直線より太いが,本願の願書添付図面の【使用状態及び各部の名称を示す参考図】はすべて同じ太さである。) 明細書段落【0031】には,「図2は平常運行時の運転状況表示画面Pの一具体例を示す図であって,10は運行状況表示画面」「13は当列車情報表示エリア,13aは列車種別/行先表示欄,13bは次到着駅表示欄,13cは車両番号表示欄」「14dは当列車到着予定時間表示マーク」「15aは接続列車到着予定時間表示マーク」「16bは接続列車発車時刻表示欄,16cは接続列車種別表示欄,16dは接続列車行先表示欄である。」と記載されている。 明細書段落【0034】には,「当列車表示エリア13には,鉄道名や当列車の種別(各駅停車や急行,特急など),当列車の行先(例えは,「ZZZ」駅)が表示される列車種別/行先表示欄13aと,次の停車駅(ここでは「AAA」駅)が表示される次到着駅表示欄13bと,車両番号表示欄13cとが設けられている。」と記載されている。 明細書段落【0040】には,接続列車についての説明があり,「(乗換番線表示欄16aと,)乗換駅でのこの接続列車の発車時刻が表示される接続列車発車時刻表示欄16bと,この接続列車の種別(各駅停車や急行,特急など)が表示される接続列車種別表示欄16cと,この接続列車の行先が表示される接続列車行先表示欄16dとが設けられている。」と記載されている。 明細書段落【0043】には,「同じ駅で当列車と接続列車との到着予定時間14d,15aが等しいときには,接続列車路線図15では,例えば,「AAA」駅のように,当列車路線図14aでの当列車到着予定時間表示マーク14dに接続された接続列車到着予定時間表示マーク15a(下線は当審が記載。)のみが表示され,重複する接続列車到着予定時間は表示されない。」と記載されている。 そして,明細書段落【0047】には,「このように,平常運行時の運行状況表示画面10では,乗客が現在乗車している当列車の停車駅や夫々の停車駅までの所要時間を確認することができるとともに,この当列車から乗り換えできる接続列車の乗り換えのための情報や運行状況を確認することができ,乗換駅に到着する前にこの接続列車に乗り換えるか否かの判断を容易にすることができる。」と記載されている。 原特許出願に開示されていた以上の記載内容を総合すると, 本願意匠全体の用途及び機能についての記載は,【請求項1】,【図2】並びに明細書段落【0031】及び【0047】に,本願意匠全体の形態は【図2】に記載されており, 本願意匠部分のうち(A)「(当)列車情報表示エリア」については,【図2】にその形状が,また,明細書段落【0034】にその用途及び機能についての記述があり, 本願意匠部分のうち(B)「接続マーク」については,「接続マーク」という用語での記述こそないものの,【図2】に大小2つの小円形を極細幅の帯状部を介して上下に接続した形状が,また,明細書段落【0043】に「当列車到着予定時間表示マーク14dに接続された接続列車到着予定時間表示マーク15a」と記述されていて,この記述内容は,本願意匠の「接続マーク」の用途及び機能の内容との間で齟齬はなく, 本願意匠部分のうち(C)「接続列車情報表示欄」については,【図2】に上辺左角付近に略小正三角形状突出部を延伸させてなる略横長細帯状区画形状が,また,明細書段落【0040】に,前記区画内の用途及び機能についての記述があるから, 本願意匠と略同一(同一でない理由は,前述のとおり)の意匠が,原特許出願において具体的に開示されていたと認められる。 3.小括 したがって,本願は,原特許出願の時に出願したものとみなされるから,その出願日は,平成22年(2010年)3月29日である。 一方,引用意匠は,原特許出願の分割前のもとの特許出願である特願2010-75614号が公開され,公開特許公報(特開2011-207294号)に記載された意匠であり,その公開日は,平成23年(2011年)10月20日である。 すると,引用意匠は,本願出願の後に公開され,刊行物に記載された意匠であるから,意匠法第3条第1項第2号に規定する「意匠登録出願前に」日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に該当しない。 第5 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであり,同条同項柱書の規定により拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-09-15 |
出願番号 | 意願2013-21379(D2013-21379) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木本 直美 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
本多 誠一 渡邉 久美 |
登録日 | 2015-10-30 |
登録番号 | 意匠登録第1539181号(D1539181) |
代理人 | 井上 学 |