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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D3
管理番号 1307387 
審判番号 不服2015-5532
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-03-24 
確定日 2015-10-06 
意匠に係る物品 天井直付け灯 
事件の表示 意願2014- 245「天井直付け灯」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成26年(2014年)1月9日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「天井直付け灯」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2013年11月12日
受入日 特許庁意匠課受入2013年12月 6日
掲載者 パナソニック株式会社
表題 一体型LEDベースライト iD シリーズ」
に業界トップクラスの効率を達成した省エネタ
イプ新登場 | プレスリリース | ニュー
ス | パナソ

掲載ページのアドレス http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/2013/10/jn131031-1/jn131031-1.html
に掲載された「天井じか付け灯」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ25049661号)
であって,その形態は,同サイト掲載ページの写真版及びその関連する記載に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「天井直付け灯」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「天井じか付け灯」であって,一部が漢字かひらがなかの表記は異なるが,本願意匠の願書及び願書に添付した図面の記載並びに引用意匠に係る文献の記載等を総合すれば,両物品間に実質的な相違はなく,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。

(2)形態
本願意匠と引用意匠の形態を対比すると,主として,以下の共通点と差異点が認められる。
なお,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。
(2-1)共通点
基本的構成態様として,
(A)全体は,概ね,左右方向に長く,高さ(厚み)は僅かである略細長扁平直方体であり,その上面を取付け面とし,底面に照光部を設け,四囲を細長板状体で囲むように形成したもので,底面においては,前後方向中央部で底面よりも奥まった位置に長手方向全長ほぼ一杯に渡る細幅の略蒲鉾状の透光照明カバー部を配し,その透光照明カバー部を前後に挟むように隣接して,外側下方に傾斜する反射板を断面視ハの字状に両脇に配したものである点。
具体的構成態様として,
(B)長手方向ほぼ一杯に配した細幅の略蒲鉾状の透光照明カバー部について,両脇に配した一つの反射板の幅よりやや細幅のものとし,透光照明カバー部の円弧面の上下位置を四囲の細長板状体縁部の下端近くの内側の位置に納めている点。

(2-2)相違点
具体的構成態様として,
(ア)本願意匠は細幅の略蒲鉾状の透光照明カバー部側面において長手方向全長に渡る溝状の湾曲凹部を形成しているのに対して,引用意匠でははっきり看取できないが,そのような態様は現れていないものである点。
(イ)底面視の態様について,
本願意匠は,四囲を囲む細長板状体の下縁よりほぼ直ちに傾斜する反射板を形成しているのに対して,引用意匠は,該下縁部に細幅の水平縁枠面を形成し,該水平縁枠面の下端から折曲して傾斜する反射板を形成している点。
(ウ)平面視による全体の縦横高さ比について,
本願意匠は,約4:22:1であるのに対して,
引用意匠は,約4:26:1であり,本願意匠より引用意匠がやや長めのものである点。
(エ)上面(取付け側面)態様について,
本願意匠は,前後方向中央部,長手方向全長ほぼ一杯に渡る細幅直方体状の覆い部を,その下方に位置する透光照明カバー部の背面を覆う態様に配し,その両脇に僅かな平坦部を形成してから外下方に傾斜する反射板の背面側を配しているのに対して,引用意匠は斜め下方向からの画像1図のみのものであるので上面態様が不明である点。

2.類否判断
以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の意匠全体としての類否を検討し,判断する。

両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,形態については,以下のとおりである。
(1)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(A)は,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。また,具体的構成態様としてあげた共通点(B)も,この種天井直付け灯の分野においては,該カバー部が反射板の幅よりも細幅のものは本願出願前に見受けられることから,この点が,看者の注意を惹くものとはいえず,透光照明カバー部が四囲の細長板状体縁部の際近くの内側の位置に納められている点についても,天井直付け灯の分野において,よく見られる態様であって,この点も看者の注意を惹くものとはいえない。よって,共通点(A)及び(B)の両意匠の類否判断に及ぼす影響は共に小さく,共通点全体があいまって生ずる効果を考慮したとしても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

(2)相違点の評価
これに対して,両意匠の具体的構成態様に係る各相違点は,相違点(ア)については,細幅の略蒲鉾状の透光照明カバー部側面における態様であるが,照明具として最も目に付く照光部の透光照明カバー部の態様であり,側面は,設置時においては,取付け業者が間近に手にとって観察し得て,その具体的形態に注意を払う部位であり,使用時においても斜め下方向から看者が注視する部位であるから,該部位の長手方向に渡る溝状の湾曲凹部の形態が類否判断に及ぼす影響は大きい。相違点(イ)についても,取付け時にも使用時にも十分目に付く,照明具としての照光部周囲の態様であって,本願意匠の縁部は,下縁からほぼ直ちに傾斜する反射板が配されているため,角部を形成するのに対して,引用意匠の縁部は,細幅の水平縁枠面を形成しており,この水平縁枠面の有無は,目に付き易い照光部周囲における相違として看者が注目するから,類否判断に一定の影響を与えるものである。また,相違点(ウ)については,縦横高さ比率において,本願意匠より引用意匠がやや長めのものである点は,外観から十分観察できるものの,両意匠ともに,天井用直付け灯の分野おいてよく見られる程度の長さ比率であって,この点は,類否判断に大きな影響を与える差異とまではいえない。そして,相違点(エ)については,取付け面側の態様であり,取付け業者も含む看者から観察できないものではないが,取付け後には隠れてしまう箇所でもあって,特に大きな注意を惹く部分とはいえず,類否判断に与える影響は微弱である。
そして,(ウ)及び(エ)の相違点が類否判断に与える影響がさほどのものでないとしても相違点(ア)が類否判断に与える影響は大きく,相違点(イ)については類否判断に一定以上の影響を与えるものであって,それら相違点(ア)ないし(エ)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると,相違点は,共通点を凌駕して,両意匠を別異のものと印象づけるものであるから本願意匠が引用意匠に類似するということはできない。

(3)小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,一致するが,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,両意匠は,意匠全体として別異のものと印象づけるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-09-18 
出願番号 意願2014-245(D2014-245) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 朝康 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 渡邉 久美
清野 貴雄
登録日 2015-11-06 
登録番号 意匠登録第1539526号(D1539526) 
代理人 ポレール特許業務法人 

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