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審決分類 審判 査定不服  意9条先願 取り消して登録 H7
管理番号 1308360 
審判番号 不服2015-9079
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-15 
確定日 2015-10-28 
意匠に係る物品 コンピューター用モニターのスタンド 
事件の表示 意願2014- 12540「コンピューター用モニターのスタンド」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2014年(平成26年)1月2日の大韓民国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成26年(2014年)6月10日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,出願当初の願書の「意匠に係る物品」の欄の記載によれば,意匠に係る物品を「コンピューター用モニターのスタンド」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,形態という。)は,願書及び願書添付の図面に記載したとおりのものである。(別紙第1参照)

第2 原審における拒絶の理由及び協議対象意匠
本願意匠は,同一の出願人が同日(2014年(平成26年)1月2日の大韓民国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成26年(2014年)6月10日)に出願した意願2014-012541号の意匠(以下、「協議対象意匠」という。)(別紙第2参照)と類似するので,意匠法第9条第2項前段の規定に該当するが,意匠法第9条第4項の規定に基づく指令書の趣旨に添う届出がなく,意匠法第9条第5項の規定により協議が成立しなかったものとみなされたため,意匠法第9条第2項後段の規定により,意匠登録を受けることができないとしたものである。

第3 請求人の対応
請求人(出願人)は,それに対して,平成27年5月15日付けで拒絶査定不服審判の請求をするとともに,同日付けで協議の結果届及び手続補正書を提出し,本願の願書に「本意匠の表示」の欄を追加し,本願の協議対象である,意願2015-012541号を本願意匠の本意匠とする補正を行った。
また請求人(出願人)は,協議対象意匠の意匠登録出願(意願2015-012541号)についても,5月15日付けで拒絶査定不服審判を請求するとともに,同日付けで本願を,協議対象意匠を本意匠とする関連意匠の意匠登録出願とする旨の協議の結果届を提出した。

第4 当審の判断
意匠法第10条によれば,関連意匠は,意匠法第9条第2項の規定にかかわらず,意匠登録を受けることができることから,以下,本願意匠が協議対象意匠を本意匠とする関連意匠としての要件を満たしているか否かについて検討する。

本願意匠と協議対象意匠(以下,「両意匠」という。)は,意匠に係る物品は,ともに「コンピューター用モニターのスタンド」であって,両意匠の意匠に係る物品は一致し,両意匠の形態は,基本的構成態様としては,全体が略台形棒状の脚部の長手方向の中程で略帯板状支持体の端部と組み合わせて略逆T字状をなし,略帯板状支持体はその中間で深く屈曲し,略倒V字状としている点が共通し,具体的構成態様としては,略帯板状支持体の屈曲角度は,約50度であって,下方の水平面に接地する支持板部(以下,「支持板部」という。)と,斜め上方に立ち上がる支柱板部(以下,「支柱板部」という。)との厚み比は約1:2であり,略台形棒状の脚部の高さと支持板部の厚み比は約2:1であって,底部全面には薄板状体が設けられている点が主に共通しており,それらの共通点は,両意匠の全体形状及び大きな割合を占める略帯板状支持体のプロポーションに係り,両意匠に共通の特徴部分であって,全体として,細長い棒状の脚部と略V字状に屈曲した略帯板状支持体を略逆T字状に組み合わせた構成が両意匠の形態的なまとまりを形成し,全体の大きな割合を占める略帯板状支持体のプロポーションに係る具体的構成態様の共通点がそれと一体となって,看者に対して強い共通感を与えるものとなっているから,共通点全体で類否判断に大きな影響を及ぼすものである。
一方,両意匠の主な相違点として,略台形棒状の脚部の態様について,本願意匠は緩やかな弧を描いて湾曲したものであるのに対し、協議対象意匠は直線状のものである点と略帯板状支持体の左右幅と略台形棒状の脚部左右長さ比率において,本願意匠が約1:7.5であって,協議対象意匠が約1:6.5であり,本願意匠が協議対象意匠より長めのものである点があげられるが,脚部の態様については,この種「コンピューター用モニターのスタンド」の分野において,脚部が,直線状のものも弧状に湾曲したものも,それぞれ,よく見受けられるものであり,本願意匠の湾曲の度合いも緩やかであるから,上記共通点に埋没する程度の部分的な相違に止まり,また,略台形棒状の脚部において,本願意匠(約1:7.5)が協議対象意匠より(約1:6.5)やや長めのものである点は,両意匠ともこの種物品においては,ごく普通の長さ比率程度のものであって,共に細い台形棒状体である両意匠の脚部における多少の長さの相違に止まるものであって,それら相違点全体であいまって生じる効果を考慮したとしても両意匠の類否判断を決するまでには至らないものである。
したがって,両意匠の意匠に係る物品は一致し,形態においては,相違点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は相違点のそれを凌駕しており,両意匠は、意匠全体として観察した場合,類似するものと認められる。
次に,本願について,平成27年5月15日付けで手続補正書が提出されており,本願意匠は,同一の出願人が同日(2014年(平成26年)1月2日の大韓民国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成26年(2014年)6月10日)に出願した意願2014-12541号を本意匠とする関連意匠となった。そして,本意匠の意匠権について専用実施権の設定もない。
そうすると,本願意匠は,協議対象意匠を本意匠とする関連意匠として意匠法第10条第1項に規定する関連意匠の要件を満たすものである。

第5 むすび
以上のとおりであって,原査定の拒絶の理由は解消され,その理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2015-10-14 
出願番号 意願2014-12540(D2014-12540) 
審決分類 D 1 8・ 4- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 上島 靖範 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 清野 貴雄
渡邉 久美
登録日 2015-12-04 
登録番号 意匠登録第1541501号(D1541501) 
代理人 行田 朋弘 
代理人 久保 怜子 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 阿部 達彦 

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