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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C1 |
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管理番号 | 1308366 |
審判番号 | 不服2015-11484 |
総通号数 | 193 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-06-17 |
確定日 | 2015-12-15 |
意匠に係る物品 | 自動車用フロアマット |
事件の表示 | 意願2014-9923「自動車用フロアマット」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成26年(2014年)5月8日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用フロアマット」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁から発行された意匠公報に記載の,意匠登録第1272492号(意匠に係る物品,一組の自動車用フロアマットセット)の意匠中,平面図において右上に表れる「自動車用フロアマット」の意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.当審の判断 (1)意匠に係る物品について 両意匠を対比すると,意匠に係る物品は,共に「自動車用フロアマット」であって,一致する。 (2)形態について 両意匠を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (2-1)共通点 (A)基本的構成態様において,全体が薄板状で,(B)平面視によると,本体部形状を略四角形状として,その本体部における上辺の中央やや左に略正方形状の突出部を一つ設けたものであり,具体的な構成態様としては,(C)右辺につき,下端角部を残して略下半分に略長方形状の切欠き部を設け,その上側が僅かに上すぼまりに傾斜している点,(D)左辺につき,中央部分に対して下側が突出している点,(E)円形の取付け部を,下辺に沿って2つ設けている点,において共通している。 (2-2)相違点 それに対して,具体的構成態様において, (a)(上辺中央やや左に設けた突出部を除いた)本体部の縦横の寸法比につき,本願意匠は,約1:1であるのに対して,引用意匠は,約1.2:1である点, (b)左辺の態様につき,本願意匠は,上端から約5分の3の位置まで略垂直に下り,そこから扁平(へんぺい)な倒台形状に突出しているのに対して,引用意匠は,正確には下側が僅かに張り出しているが,おおむね全体が垂直辺で,その中央に3分の1弱の斜め台形状に扁平切欠き部を設けている点, (c)(上側の傾斜部,切欠き部及び下端角部から成る)右辺の態様につき,(c-1)本願意匠は,上側の傾斜部が約2分の1の位置まであるのに対して,引用意匠は,2分の1の位置まで至らない点,(c-2)上側の傾斜部につき,本願意匠は,へこみ円弧と膨らみ円弧から成る緩やかでごく細長いS字状の傾斜角度が大きいものであるのに対して,引用意匠は,略中央で本の僅か屈曲させて垂下した,ほとんど垂直に近い傾斜角度である点,(c-3)切欠き部につき,本願意匠は,短く深いのに対して,引用意匠は,長く浅い点,(d)下辺につき,本願意匠は,略中央に右肩上がりの傾斜部を形成しているのに対して,引用意匠は,やや右寄りに小さな切欠き部を設けている点,(e)円形の取付け部の配置につき,本願意匠は,左右角部近傍であるのに対して,引用意匠は,やや中央寄りである点, で主な相違が認められる。 (3)類否判断 両意匠の形態を比較した場合,両意匠における共通点は,この種物品においては,既にごく普通に見られる態様であるから,これらの共通性のみをもって両意匠の類否判断を決することはできない。 そして,相違点(d)については,注視しなければ気付かないほどの小さな高低差における傾斜角度のほとんど無い傾斜部の有無,及びごく僅かな切欠き部の有無の相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は僅少であると考えられ,相違点(e)については,付加的要素と考えられる取付け部の配置の相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は僅少であると考えられる。 しかし,相違点(a)ないし(c),特に,相違点(b)及び同(c-2)から醸成される印象は,本体部の外形状において,本願意匠は,相対的にずんぐりとした略台形状の右辺に切欠き部を設けたものであるのに対して,引用意匠は,略縦長長方形状の左右辺に切欠き部を設けたもの,であるから両意匠の類否判断に与える影響は大きい。そして,同時に,各部の形状を評価してゆくと,それぞれは細々とした相違であっても,総合したときに,全ての共通点から醸し出される共通感を越える異なった印象を与えるものであるから,これらの相違点がもたらす印象は,共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである,と認められる。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものと言える。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当すると言うことはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-11-30 |
出願番号 | 意願2014-9923(D2014-9923) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 刈間 宏信 |
登録日 | 2015-12-25 |
登録番号 | 意匠登録第1542821号(D1542821) |
代理人 | 牛木 護 |