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審判番号(事件番号) データベース 権利
判定2015600016 審決 意匠

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審決分類 審判 判定  同一・類似 属さない(申立不成立) F3
管理番号 1309612 
判定請求番号 判定2015-600027
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2016-02-26 
種別 判定 
判定請求日 2015-09-08 
確定日 2016-01-15 
意匠に係る物品 クリアファイル 
事件の表示 上記当事者間の登録第1476262号の判定請求事件について,次のとおり判定する。 
結論 イ号図面代用写真及び説明書に示す意匠は,登録第1476262号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
理由 第1 請求の趣旨及び理由の要点
1 請求の趣旨
本件判定請求人(以下「請求人」という。)は,
「イ号意匠及びその説明書に示す意匠は,登録第1476262号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する,との判定を求める。」
と申し立て,その理由として,要旨以下のとおりの主張をした。
なお,判定請求書に添付された「イ号意匠」は,正しくは「イ号図面代用写真」であるので,「イ号図面代用写真及び説明書に示す意匠」がイ号意匠であると認定する。

2 判定請求の必要性
本件判定請求人(以下「請求人」という。)は本件判定請求に係る登録第1476262号意匠「クリアファイル」(以下「本件登録意匠」という。)の意匠権者である。
請求人は,イ号意匠の「クリアファイル」を製造しているが,イ号意匠の「クリアファイル」に本件登録意匠の登録意匠表示を表示して商品の模倣を未然に防止することを目的とし,特許庁に判定を求める。

3 本件登録意匠の説明
本件登録意匠は,意匠に係る物品を「クリアファイル」とし,その形態は次のとおりである(資料1参照)。
(1)基本的な構成態様
本件登録意匠では,横長長方形の透明な軟質シートを2つ折りに重ねて下端縁をヒートシール(熱圧着)などによって固着してポケット状とし,上辺と右辺を開口部としたもので,表裏二重シート部のうち,表側シート部の右縁上部に半円形状の切欠きを設け,表側シート部の右縁下端に三角形状の切欠きを形成している。
これは意匠に係る物品「クリアファイル」による書類などの収納機能を発揮するための基本的な構成態様であり,一般的な「クリアファイル」の形態である。
(2)特徴的な構成態様
本件登録意匠は前述の基本的な構成態様を前提とし,下記の構成態様を特徴としている。
ア 表裏二重シート部の,表側シート部及び裏側シート部に和紙を貼り付けている。
イ 表側シート部及び裏側シート部の和紙は原料の短繊維を分散させることによって不透明性が与えられ,この不透明な下地の中に原料の長繊維が雲が流れるように伸びあるいは湾曲しながら分散され,この長繊維によって雲龍模様が構成されている。

4 イ号意匠の説明
イ号意匠は,下記の構成態様を有している。
(1)横長長方形の透明な軟質シートを2つ折りに重ねて下端縁をシートシールなどによって固着してポケット状とし,上辺と右辺を開口部としたもので,表裏二重シート部のうち,表側シート部の右縁上側に半円形状の切欠きを設け,表側シート部の右縁下端に三角形状の切欠きを形成している。
(2)表裏二重シート部の,表側シート部及び裏側シート部に和紙を貼り付けている。
(3)表側シート部及び裏側シート部の和紙は原料の短繊維を分散させることによって不透明性が与えられ,この不透明な下地の中に原料の長繊維が雲が流れるように伸び,あるいは湾曲しながら分散され,この長繊維によって雲龍模様が構成されている。
(4)表側シート部の下半分には雲間から顔をだす冨士山の絵が配置されるとともに,内部に本件判定請求人の略称「アシヤ印刷」の文字を書した短冊が富士山にかかるように斜めに描かれ,又富士山の頂上には昇る太陽が描かれ,富士山の右側から上方にかけて桜の木が描かれている。
(5)裏側シート部の左下側1/3の領域には滝の流れ落ちる風景が描かれるとともに,滝の右側に蓮及び菖蒲の花と葉が描かれている。

5 本件登録意匠とイ号意匠(以下「両意匠」という。)との比較説明
(1)両意匠の共通点
ア 両意匠は,意匠に係る物品が「クリアファイル」である点,
イ 基本的な構成態様において,横長長方形の透明な軟質シートを2つ折りに重ねて下端縁を固着してポケット状とし,上辺と右辺を開口部としたもので,表裏二重シート部のうち,表側シート部の右縁上側に半円形状の切欠きを設け,表側シート部の右縁下端に三角形状の切欠きを形成した点,
ウ 表側シート部及び裏側シート部に和紙を貼り付けた点,
エ 和紙の態様において,和紙原料の短繊維を分散させることによって下地の不透明性を与え,不透明な下地中に長繊維を雲が流れるように伸びあるいは湾曲させながら全体に分散させ,この長繊維によって雲龍模様を構成している点,
で共通している。
(2)両意匠の差異点
しかし,イ号意匠には表側シート部の下半分には雲間から顔をだす冨士山の絵が配置されるとともに,内部に本件判定請求人の略称「アシヤ印刷」の文字を書した短冊が富士山にかかるように斜めに描かれ,又富士山の頂上には昇る太陽が描かれ,富士山の右側から上方にかけて桜の木が描かれ,又裏側シート部の左下側1/3の領域には滝の流れ落ちる風景が描かれるときともに,滝の右側に蓮及び菖蒲の花と葉が描かれているのに対し,
本願意匠にはそのような富士山,太陽,桜の木,流れ落ちる滝,蓮と菖蒲の花と葉が描かれていない点で,相違している。

6 イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する理由の説明(当審注:明らかな誤記は訂正した。)
(1)本件登録意匠に関連する意匠
甲第1号証 不服2012-20611の審決
(2)本件登録意匠の要部
ア 本件登録意匠の要部は,ファイルの中に入れた書類の目隠し及び滑り止めの効果を発揮するように,クリアファイルの表側シート部及び裏側シート部に和紙を貼り付け,和紙による雲龍模様を構成している点にある。
イ すなわち,本件登録意匠は,平成22年12月28日に出願され,平成23年10月7日に「この意匠登録出願の意匠は,クリアファイルに係るものですが,この種物品分野において,書類を他人に除かれるおそれを少なくするために,クリアファイルに模様を表すことは,例えば下記意匠に見られるように,本願出願前から極普通に見られるところ,本願意匠は,単に,上記手法に基づいて,極普通のクリアファイルに,ありふれた雲龍模様を付した程度に過ぎませんので,当業者であれば容易に創作できたものと認められます。」との理由で拒絶理由通知を受けたので,意見書を提出したが,平成24年7月20日に拒絶査定を受けた。
ウ これに対し,平成24年10月19日に拒絶査定不服審判を請求したところ,「本願意匠の,略横長長方形の透明な軟質シートを2つに折り重ねて,下端縁をピートシールによって固着してポケット状とし,上辺と右辺を開口部とし,表側シート部右縁上側に半円形の切り欠きを設けた態様は,この種クリアファイルの分野において,ごく普通に見られる態様であり,和紙による雲龍模様がありふれたものであるとはいえ,ファイルの中に入れた書類の目隠し及び滑り止めの効果を求めて,表裏シート部の外側に和紙を貼る手法は,引用意匠のように本願の出願前より公然と知られた軟質シート表面に直接模様を印刷する,ごくありふれた手法とは異なり,その態様は,本願意匠の独自の態様と言えるから,本願意匠は,上記引用意匠に基づいて,直ちに容易に創作ができたものということはできない。」として登録すべき旨の審決を受けた。
エ つまり,本件登録意匠の要部は,ファイルの中に入れた書類の目隠し及び滑り止めの効果を発揮するように,クリアファイルの表側シート部及び裏側シート部に和紙を貼り付け,クリアファイルの表側シート部及び裏側シート部に和紙による雲龍模様を構成した点にあると認められる。
オ そこで,審決に示された観点から両意匠を比較すると,イ号意匠は表側シート部の下半分に雲間から顔をだす冨士山が配置され,富士山の頂上に丸く太陽が描かれ,富士山の右側から上方にかけて桜の木が描かれる一方,裏側シート部の下側1/3の領域に流れ滝,蓮及び菖蒲の花と葉が描かれているという構成態様で本件登録意匠と相違するものの,イ号意匠からは,「表側シート部及び裏側シート部には和紙を貼り付け,和紙の長繊維を雲が流れるように伸びあるいは湾曲させながら全体に分散させることによって雲龍模様を構成した」本件登録意匠の特徴的な構成態様を直ちに看取することができる。
カ ここで,和紙の特徴は,楮の樹皮や雁皮などの和紙原料の短繊維を分散させることによる不透明な下地中に長繊維が雲が流れるように伸びあるいは湾曲しながら全体に分散され,躍動感のある雲龍模様が視覚を通じて認識できる,という点にあり,又和紙が西洋紙と区別できるのは長繊維の長さが西洋紙の繊維に比較して遥かに長く,この長繊維がうねるように流れ湾曲している点にあり,一般的にはこの長繊維による雲龍模様によって西洋紙と区別されている。
キ つまり,本件登録意匠とイ号意匠とは「表側シート部及び裏側シート部に和紙を貼り付け,和紙の長繊維によって雲龍模様を構成した」という点で,視覚を通じて起こされる美感を共通にし,類似する意匠であるとされるべきである。
ク また,イ号意匠の表側シート部における「雲間から顔をだす冨士山」,「富士山の頂上に顔を出す丸い太陽」及び「富士山右側の桜の木」の中,裏側シート部の「流れる滝」,「蓮及び菖蒲の花と葉」の中にも,本件登録意匠の特徴的な構成態様である雲龍模様を認識することができる。
つまり,イ号意匠には本件登録意匠又は類似する意匠の全部を,その特徴を破壊することなく,他の構成要素と区別しうる態様において包含し,イ号意匠を実施すると必然的に本件登録意匠の全部を実施する関係にあると認められ,第三者は意匠法第26条の規定によって実施できないものである。

7 むすび
以上のとおりであるので,イ号意匠は本件登録意匠及びこれに類似する範囲に属すると判断されるので,請求の趣旨に記載したとおりの判定を求める。

8 証拠方法
(1)甲第1号証 不服2012-20611の審決


第2 当審の判断
1 本件登録意匠
本件登録意匠(意匠登録第1476262号)は,平成22年(2010年)12月28日に意匠登録出願され,平成25年(2013年)7月5日に意匠権の設定の登録がなされ,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「クリアファイル」とし,形態を,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである(判定請求書に添付された意匠登録第1476262号公報。別紙第1参照。)。
そして,願書の「意匠に係る物品の説明」の記載は次のとおりである。「本物品はクリアファイルであって,クリアファイルの本体は四角形状をなす透明な合成樹脂製の軟質シートを2つに折り重ねて下端縁をヒートシールなどによって固着して製作され,クリアファイルの本体の表側シート部及び裏側シート部には和紙が貼り付けられており,クリアファイルを手にもったときに汗で滑り落ち難く,又クリアファイルに挟み込んだ書類が他人に覗かれるおそれが少ない。」
本件登録意匠の形態には,基本的構成態様として,以下の点が認められる。
(1)基本的構成態様について
全体が,透明なシートを左側で2つに折り重ねて下端縁を固着してポケット状とし,上辺と右辺を開口部としたもので,正面から見て略縦長長方形状に現されている。
また,具体的態様として,以下の点が認められる。
(2)具体的態様について
ア 縦幅:横幅の比率は,約1.4:1である。
イ 外形状について
正面から見て,右上角が円弧状であって,前面シートの右端部には,中央より上の位置に略半円状の切り欠き部が形成されている。
ウ 模様について
正面及び背面から見て,ほぼ全面に,明調子で略筋状の模様が点在して現されており,正面からは背面の模様が透けて,背面からは正面の模様が透けて,両者の模様が互いに重合している。

2 イ号意匠
請求人は,イ号意匠の形態を特定するにあたり,判定請求書に「イ号意匠」(当審注:正しくは「イ号図面代用写真」である。)と「イ号意匠説明書」を添付した。
なお,判定請求書には,イ号意匠のひな形も添付されているが,『特許庁の判定制度について(平成27年10月,特許庁審判部)』第28頁の記載「イ号意匠の内容については,それが被請求人が実施している場合には,出願の際の図面代用写真の作成要領に従い,写真を別紙として添付してください。」に基づき,判定請求書に添付された「イ号意匠」によりイ号意匠を認定する。
判定請求書によれば,イ号意匠の意匠に係る物品は「クリアファイル」であり,判定請求書に添付された「イ号意匠」及び「イ号意匠説明書」によれば,イ号意匠の形態には,基本的構成態様として,以下の点が認められる。
(1)基本的構成態様について
全体が,透明なシートを左側で2つに折り重ねて下端縁を固着してポケット状とし,上辺と右辺を開口部としたもので,正面から見て略縦長長方形状に現されている。
また,具体的態様として,以下の点が認められる。
(2)具体的態様について
ア 縦幅:横幅の比率は,約1.4:1である。
イ 外形状について
正面から見て,右上角が円弧状であって,前面シートの右端部には,中央より上の位置に略半円状の切り欠き部が形成されている。
ウ 模様について
ウ-1 正面及び背面から見て,ほぼ全面に,明調子で略筋状の模様が点在して現されており,正面からは背面の模様が透けて,背面からは正面の模様が透けて,両者の模様が互いに重合している。
ウ-2 正面の下部には,雲海にそびえる冨士山と太陽が描かれており,その右上には樹木が描かれている。また,背面の右下には,滝の流れ落ちる風景が描かれており,その右側には菖蒲と蓮が描かれている。

3 本件登録意匠とイ号意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本件登録意匠は「クリアファイル」であり,イ号意匠も「クリアファイル」であるので,本件登録意匠とイ号意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は同一である。
(2)形態の共通点
両意匠の形態には,以下の基本的構成態様の共通点が認められる。
(A)基本的構成態様の共通点
全体が,透明なシートを左側で2つに折り重ねて下端縁を固着してポケット状とし,上辺と右辺を開口部としたもので,正面から見て略縦長長方形状に現されている。
また,以下の具体的態様の共通点が認められる。
(B)縦幅:横幅の比率についての共通点
縦幅:横幅の比率は,約1.4:1である。
(C)外形状についての共通点
正面から見て,右上角が円弧状であって,前面シートの右端部には,中央より上の位置に略半円状の切り欠き部が形成されている。
(D)模様についての共通点
正面及び背面から見て,ほぼ全面に,明調子で略筋状の模様が点在して現されており,正面からは背面の模様が透けて,背面からは正面の模様が透けて,両者の模様が互いに重合している。
(3)形態の差異点
一方,両意匠の形態には,以下の具体的構成態様の差異点が認められる。
(a)模様についての差異点
イ号意匠には,正面の下部に雲海にそびえる冨士山と太陽が描かれており,その右上に樹木が描かれており,背面の右下に滝の流れ落ちる風景が描かれて,その右側に菖蒲と蓮が描かれている。これに対して,本件登録意匠には,それらは描かれていない。

4 本件登録意匠とイ号意匠の類否判断
(1)クリアファイルの物品分野の意匠の類否判断
書類を中に入れるクリアファイルの通常の使用状態において,看者がクリアファイル観察するに当たっては,そのクリアファイルの全体,すなわち,正面方向及び背面方向から眺めることとなり,本体の外形状や模様に特に注意を払うこととなる。したがって,クリアファイルの物品分野の意匠の類否判断においては,上記の項目を特に評価し,かつそれ以外の項目も併せて,各項目を総合して意匠全体として形態を評価する。
(2)形態の共通点の評価
本件登録意匠とイ号意匠の基本的構成態様の共通点(A),すなわち,「全体が,透明なシートを左側で2つに折り重ねて下端縁を固着してポケット状とし,上辺と右辺を開口部としたもので,正面から見て略縦長長方形状に現されている」態様については,クリアファイルが一般的に備えている態様であり,また,縦幅:横幅の比率が約1.4:1である共通点(B)についても,A4の用紙の縦幅:横幅の比率が約1.4:1であることを踏まえると,ありふれた縦横比であるというべきであるから,共通点(A)及び(B)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
また,正面から見て右上角が円弧状であり,前面シートの右端部中央より上の位置に略半円状の切り欠き部が形成されている共通点(C)も,クリアファイルの物品分野の意匠においては,本件登録意匠の出願前に広くありふれた態様であるので,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
正面及び背面のほぼ全面に明調子で略筋状の模様が現されている共通点(C)については,前記「2(2)ウ-2」で認定した富士山や滝などの模様と比較するために,次項で評価する。
(3)形態の差異点の評価
これに対し,両意匠の模様についての差異点(a),すなわち,イ号意匠の正面には冨士山,太陽及び樹木が描かれて,背面には滝の流れ落ちる風景が描かれているのに対して本件登録意匠には描かれていない点は,一見して把握できる両意匠の差異であって,イ号意匠に見られるそれらの模様が意匠全体に占める面積も大きいこととあいまって,看者に異なる印象を与えるものであるというべきであるから,差異点(a)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
富士山や滝などの模様を共通点(C)で指摘した略筋状の模様と比較すると,前者は具象模様であるから看者に与える印象が強く,後者はその具象模様を現す下地の役割を担うにとどまっているというべきであり,両意匠を意匠全体で比較した場合,看者がイ号意匠の具象模様を捨象して下地である略筋状の模様のみに着目するとはいい難いから,略筋状の模様が現されている共通点は両意匠の類否判断を決定付けるものであり得ず,具象模様の有無の差異点(a)が両意匠の類否判断を左右するというほかない。
この略筋状の模様について,請求人は,「本件登録意匠の要部は,ファイルの中に入れた書類の目隠し及び滑り止めの効果を発揮するように,クリアファイルの表側シート部及び裏側シート部に和紙を貼り付け,和紙による雲龍模様を構成している点にある。」と指摘した上で,「本件登録意匠とイ号意匠とは『表側シート部及び裏側シート部に和紙を貼り付け,和紙の長繊維によって雲龍模様を構成した』という点で,視覚を通じて起こされる美感を共通にし,類似する意匠であるとされるべきである。」と主張している。
しかし,略筋状の模様は点在しており,不規則な模様であるというべきであって,その模様が群を成して特定の複雑な模様を呈しているということはできず,また,両意匠の略筋状の模様が仮に和紙調の模様として美感を共通にしているとしても,上述したとおり富士山や滝などの具象模様に比べて看者に与える印象は弱いので,両意匠の模様の差異点を圧して両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすほどのものではない。したがって,請求人の主張を採用することはできない。
(4)小括
したがって,これらの共通点と差異点を総合して判断すれば,本件登録意匠とイ号意匠とは,意匠に係る物品は同一であるが,形態については,共通点が類否判断に与える影響が限定的であるのに対して,差異点(a)は両意匠を別異なものと印象付けるような大きな影響を及ぼすものであるから,両意匠は類似するとはいえない。


第3 むすび
以上のとおりであって,イ号意匠は,本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。

よって,結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2016-01-04 
出願番号 意願2010-31325(D2010-31325) 
審決分類 D 1 2・ 1- ZB (F3)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清水 玲香 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 小林 裕和
渡邉 久美
登録日 2013-07-05 
登録番号 意匠登録第1476262号(D1476262) 
代理人 石井 久夫 
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