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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5
管理番号 1311900 
審判番号 不服2015-16512
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-08 
確定日 2016-03-04 
意匠に係る物品 電気フライヤー 
事件の表示 意願2014-3123「電気フライヤー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,2013年9月27日の域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)の出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成26年(2014年)2月17日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「電気フライヤー」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2010年 4月19日
受入日 特許庁意匠課受入2010年 4月30日
掲載者 ハンマッチャーシュレマー
表題 The Healthiest Deep Fryer.
掲載ページのアドレス http://www.hammacher.com/PopWindows/ProductImageViewer.html?ProductAssetUrlName=http://a248.e.akamai.net/f/248/9086/1h/s7diod-isorigin.scene7.com/is/image/Hammacher/78600&ProductName=The+Healthiest+De
に掲載された「電気調理器」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ22000964号)

3.当審の判断
(1)意匠に係る物品について
両意匠を対比すると,意匠に係る物品は,本願意匠は「電気フライヤー」であり,引用意匠は「電気調理器」であって,表記は異なるが,共に電気により,食材を加熱調理するものであるから,共通していると認められる。

(2)形態について
両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。

(2-1)共通点
基本的構成態様において,(ア)円形の容器本体と,その背面側の箱状機構部から成り,(イ)その上に載るフタは,機構部の上部を覆う部分と,容器本体にかぶさる部分が一体となって,全体で手鏡状となっており,(ウ)手鏡状のフタは,機構部で軸支されており,手鏡状フタ全体が後端より大きく開く構造となっているもので,(エ)そのフタは,手前側の大部分が透明で,(オ)フタの機構部を覆う部分の上面は,手前から見えやすいように傾斜させてあって,そこに操作部を設けており,(カ)正面側に,フタから容器本体にかけて,縦に大きなハンドルを設けている点で,共通する。

(2-2)相違点
それに対して,具体的構成態様において,
(a)本願意匠は,フタ対容器本体の高さの比率が,約1:2であり,容器本体の高さが高い(容器が深い)のに対して,引用意匠は,中央に水平帯部(容器本体上端の灰色部分)が設けられており,その帯部を除いた容器本体の高さとフタの高さがほぼ同じで,帯部を中心に略上下対称である点,
(b)容器本体の奥行き長さと機構部の奥行き長さの比率が,本願意匠が,約3:2であるのに対して,引用意匠が,おおむね4:1である点,
(c)容器本体の横幅(外径)に対する機構部の横幅が,本願意匠が,約4:3であるのに対して,引用意匠が,おおむね2:1である点,
(d)フタの手前側の形状につき,本願意匠は,肩部が丸く,全体にドーム状であるのに対して,引用意匠は,肩部がやや角張っており,略へんぺい円すい台形状である点,
(e)フタの態様につき,本願意匠は,ドーム状部が全て透明であるのに対して,引用意匠は,背面側約3分の1の扇面状部分と機構部の上部を覆う部分が銀色である点,
(f)機構部の平面視形状につき,本願意匠は,後半が台形状であるのに対して,引用意匠は,後半が半円形である点,
(g)機構部上面の操作部の態様につき,本願意匠は,台形の区画があり,その下底近くに横長長方形の区画が4つ並んでいるのに対して,引用意匠は,後端中央に横長長方形の区画があり,その手前左右両側に円形ボタンが付いている点,
(h)ハンドル周りの態様につき,本願意匠は,フタには正面視略半円状の突出部があり,容器本体にはハンドルの左右に正面視扇形の突出部があり,これら突出部とハンドルは,面一状で,一体化して見えるようになっており,容器本体にある2か所の扇形突出部には,それぞれ扇形のボタンを設け,それらのボタンと並ぶようにして,ハンドルには縦長長円形ボタンを設けているのに対して,引用意匠は,フタには,ハンドルの上に縦溝があり,その上端に半円形の鍔部が設けてあり,容器本体の水平帯部の下には,ハンドルの左右に四角いボタンを設け,ハンドル上端側に縦長ボタンを設けている点,で相違する。

(3)類否判断
両意匠の形態を比較した場合,あまた有る電気調理器の内にあっては,両意匠における共通点は,若干の共通感を醸し出しているといえるが,この種物品において,既にいくつか見られる態様であるから,これらの共通性のみをもって両意匠の類否判断を決することはできない。
それに対して,相違点(b),(c)及び(f)によって,本願意匠は,容器本体に対して大きな,角張った四角柱状の機構部と認識するのに対し,引用意匠は,容器本体に対して比較的小さな,円柱状の機構部と認識するものであって,相違点(g)の態様も合わさって,両意匠の類否判断に影響を与えるものと認められる。
相違点(d)及び(e)は,手前上面の目に付き易い部分の相違であって,大きな面積を占める部分の相違であり,調理の際は,内部を見ることから,その態様の差は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものと認められる。
相違点(h)は,調理前後に操作する操作部であるから,その操作時には特に注目する部分であって,引用意匠では,ハンドルとボタンがそれぞれ単独で,バラバラに備え付けられているのに対して,本願意匠では,ハンドルと面一になるまで突出させた突出部によって,1つにまとまって,当該部分全体でうちわ形状となっているから,この態様の相違は,両意匠の類否判断に影響を与えるものと認められる。
そうすると,容器本体に関わる相違点(a)を加えて,総合して評価すると,全ての共通点から醸し出される共通感を越える異なった印象を与えるものであるから,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は共通しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧しているから,両意匠は,類似しないものといえる。

4.結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-02-18 
出願番号 意願2014-3123(D2014-3123) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C5)
最終処分 成立  
前審関与審査官 内藤 弘樹 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 橘 崇生
刈間 宏信
登録日 2016-03-18 
登録番号 意匠登録第1547950号(D1547950) 
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 

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