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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1313092 |
審判番号 | 不服2015-16171 |
総通号数 | 197 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-09-02 |
確定日 | 2016-03-22 |
意匠に係る物品 | 画像表示機 |
事件の表示 | 意願2014-19341「画像表示機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,本意匠に係る出願を意願2014-19340号(意匠登録第1531081号)とする関連意匠について意匠登録を受けようとする平成26年(2014年)9月2日の意匠登録出願である。 また,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,本願の意匠(以下,「本願意匠」という。)の意匠に係る物品は,「画像表示機」であり,本願意匠の形態は,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものであって,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び本意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないから,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。 また,本意匠に係る出願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,本願と同日に出願され,その後,平成27年(2015年)7月17日に意匠権の設定登録がされ,同年8月17日に意匠公報が発行されたものである。 そして,本意匠に係る出願の願書及び願書に添付した図面の記載によれば,本意匠の意匠に係る物品は,「デジタルコンテンツ再生機」であり,本意匠の形態は,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものであって,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下,本意匠に係る出願について意匠登録を受けようとする部分を「本意匠部分」といい,本願実線部分と合わせて「両意匠部分」という。)。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 そこで当審において,本願意匠の意匠法第10条第1項適用の可否,とりわけ,本願意匠が本意匠と類似するか否かについて検討する。 1.本願意匠と本意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「画像表示機」であり,本意匠の意匠に係る物品は,「デジタルコンテンツ再生機」であるものの,本願と本意匠に係る出願の願書及び願書に添付した図面の記載,とりわけ【意匠に係る物品の説明】の欄の記載を参照すると,本願意匠と本意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれもデジタルコンテンツを表示ないし再生する頭部装着型の機器であるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 (2)両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 両意匠部分は,機器を眼鏡のように装着させるための耳掛け部と,機器のレンズを固定するフレームとを接続する用途及び機能を有し,フレームの上部と耳掛け部との間に設けられる部分であるから,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,いずれも一致する。 (3)両意匠部分の形態 両意匠部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 <共通点> 基本的態様として, (A)全体は,フレーム上端に設けた板状部と,左右の耳掛け部につながるツル部と,板状部の左右端部とツル部を接続して正面側から背面側に延びるツル基部で構成されている点, 具体的態様として, (B)板状部は,略水平面状で,ツル基部は,平面側から側面側にかけて屈曲し,側面側が略垂直面状に表されている点, (C)板状部とツル基部の接続部は,平面視で,内側稜線が滑らかな曲線で表されており,外側稜線が角張って表されている点, (D)ツル部の背面側端部は,上方が背面側となるように傾斜している点, (E)ツル基部の背面側端部とツル部の接続部は,側面視略鉛直な直線状に表されている点, (F)板状部の正面視の縦幅がごく短い点, において,両意匠部分は共通する。 <相違点> 具体的態様として, (ア)板状部の正面視の形態が,本願実線部分はフレーム中央を含めて水平状であるのに対して,本意匠部分はフレーム中央がごく浅い谷となるように左右が偏平な円弧状となっている点, (イ)板状部の平面視の形態が,本願実線部分はフレーム中央を含めて略直線状であるのに対して,本意匠部分はフレーム中央が正面側に突出するように,略倒く字状である点, において,両意匠部分は相違する。 2.両意匠の類否について 以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価及び総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 (1)意匠に係る物品の評価 両意匠は,意匠に係る物品が共通するところ,デジタルコンテンツを表示ないし再生する頭部装着型の機器はありふれているから,意匠に係る物品が共通する点だけでは,両意匠部分の類否判断を決定付けるとまではいえない。 (2)両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲の評価 両意匠部分は,機器を眼鏡のように装着させるための耳掛け部と,機器のレンズを固定するフレームとを接続する用途及び機能を有するところ,デジタルコンテンツを表示ないし再生する頭部装着型の機器において,そのような用途及び機能を有する部分はありふれているから,この用途及び機能が共通する点だけでは,両意匠部分の類否判断を決定付けるとまではいえない。 しかし,頭部装着型の機器においては,フレームから延びるように耳掛け部と接続させる形態が一般的であるから,両意匠部分が,フレームの上部と耳掛け部との間に設けられる部分という点で,その位置,大きさ及び範囲が共通することは,両意匠部分の類否判断に一定程度の影響を与えるといえる。 (3)両意匠部分の形態についての共通点の評価 具体的態様として示す共通点(B),すなわち板状部が略水平面状で,ツル基部が,平面側から側面側にかけて屈曲し,側面側が略垂直面状に表されている点は,両意匠部分だけに見られる特徴であり,正面視において容易に認識できる部位における形態であるから,両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,非常に大きいといわざるを得ない。 また,頭部装着型の機器においては,フレームから延びるように耳掛け部と接続させる形態が一般的であり,板状部に係る形態,すなわち共通点(A),共通点(C)及び共通点(F)も,いずれも両意匠部分のみに見られる特徴であって,両意匠部分の類否判断に大きな影響を与えるといえる。 そして,具体的態様として示す共通点(D)及び(E)は,側面視において目に付きやすいものであるから,両意匠部分の類否判断に一定程度の影響を与えるといえる。 (4)両意匠部分の形態についての相違点の評価 これに対して,具体的態様として示す相違点(ア)及び(イ)は,板状部の正面視又は平面視の形態の相違に関するものであるところ,本願実線部分の板状部の形態は,単純な直線状のものであって目立たず,むしろありふれた形状であるから,本願実線部分の本意匠部分に対する相違としては特に評価することはできないので,これらの相違点が両意匠部分の類否判断に与える影響は,それほど大きなものとはいえない。 (5)小括 本願意匠と本意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠部分の用途,機能,並びに位置,大きさ及び範囲が一致するところ,位置,大きさ及び範囲が一致することは,両意匠部分の類否判断に一定程度の影響を与えている。 そして,形態においては,両意匠部分の共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,いずれも大きいものであり,需要者に両意匠部分が共通するという印象を強く与えるのに対して,両意匠部分の相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,それほど大きいものではないから,相違点の印象は,共通点の印象を覆すには至らないものである。 したがって,本願意匠部分は本意匠部分と類似し,よって,本願意匠は,本意匠に類似する。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願は,本意匠に係る出願である意願2014-19340号(意匠登録第1531081号)の出願日以降であって,本意匠に係る出願が掲載された意匠公報の発行日前に出願されたから,出願日に関して,意匠法第10条第1項の要件を充足するものである上に,本願意匠は本意匠に類似し,意匠法第10条第1項に規定する関連意匠に該当するから,原審の拒絶理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-03-08 |
出願番号 | 意願2014-19341(D2014-19341) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 兼安 あい |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 江塚 尚弘 |
登録日 | 2016-04-15 |
登録番号 | 意匠登録第1550111号(D1550111) |
代理人 | 西川 孝 |
代理人 | 稲本 義雄 |
代理人 | 三浦 勇介 |
代理人 | 荒谷 聡 |