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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1314363 |
審判番号 | 不服2015-20229 |
総通号数 | 198 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-11-11 |
確定日 | 2016-04-05 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 意願2014- 29078「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成26年(2014年)12月25日に意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「無彩色であらわした部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は,本願の出願前に特許庁が発行した意匠公報に記載の意匠登録第1364486号(意匠に係る物品は「包装用容器」)の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを検討し,判断する。 なお,両意匠の対比にあたっては,意匠に係る物品はもとより,本願が物品の部分について意匠登録を受けようとするものであるから,本願部分と引用意匠のそれに相当する部分(以下「引用部分」という。)について,その用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲を対比し,それらを踏まえて,本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の形態を対比する。 1.共通点及び相違点の認定 (1)共通点の認定 意匠に係る物品については,両意匠ともに「包装用容器」であるから一致し,また,部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲については,両部分が,ともに販売等において液体を入れて使用する容器のうち,周側面の下端部及び底面の全部であるから,共通する。 そして,形態については,ともに円筒状の周側面の下端部から底面にかけて切り込まれた5つの凹状部によって,底面視花弁状の突出脚部が形成されている点が,共通する。 (2)相違点の認定 形態について,主に,以下の(a)ないし(d)の点が相違する。 (a)両部分の構成について,本願部分は周側面,及び中央部分を除いた底面を被覆材が容器の外形状の凹凸形状に沿って密着し,一体的に覆っているものであるのに対して,引用部分は被覆材によって覆われていないものである。 (b)両部分の周側面について,本願部分は緑色(被覆材の色)が施されたものであるのに対して,引用部分は色彩が施されていないものである。 (c)両部分の底面について,本願部分は被覆材によって覆われている部分が緑色の底面視円環状部として表れ,被覆材によって覆われていない中央部分が底面略円形状の無色の透明部(容器本体の露出部分)として表れているものであるのに対して,引用部分は色彩が施されていないものである。 (d)両部分の底面中央について,本願部分は五角形状部と,その内側中央に小円形状部が表れているものであるのに対して,引用部分は円形状部が表れているものである。 2.共通点及び相違点の評価 以下,共通点及び相違点が存在する形態について,その共通点及び相違点の評価を行う。 (1)共通点についての評価 共通点は,両部分の形状の全体に係るものであるが,その態様は当該物品分野の意匠としてありふれたものであるから,当該共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響を大きく評価することはできない。 (2)相違点についての評価 相違点(a)は,被覆材の有無という基本的な構成の相違であるが,本願部分の底面中央部を残して被覆材が覆う態様に,一定の特徴が認められ,相違点として軽視することができないから,相違点(a)が両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。 相違点(b)は,周側面における被覆材の有無による色彩の相違であるが,本願部分には色彩が施されているものの,その全域が緑一色であって,その態様に特段の特徴は認められず,軽微な相違に止まるから,相違点(b)が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。 相違点(c)は,底面における被覆材の有無による色彩等の相違であるが,本願部分は中央部分の底面視略円形状の透明部とその周囲に表れている緑色の底面視円環状部との組合せによって,色分け模様としての効果が生じており,両部分全体に占める底面の割合を考慮すれば,大きな相違と認められるから,相違点(c)が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。 相違点(d)は,底面中央部における相違であるが,どちらの態様も当該物品分野の意匠において格別特徴のあるものとはいえないものの,両部分の類否判断においては目に付きやすい部位に係る相違であるから,相違点(d)が両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。 そうすると,相違点(a),(c)及び(d)が相俟って,更に,その他の相違点も総合すると,相違点は,両部分の形態に異なる視覚的印象を看者に与えるものであり,両部分の類否判断を決するものである,といえる。 3.類否判断 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については一致し,両部分の用途及び機能,並びに位置等についても共通するものであるが,両部分の形態の相違点が相俟って生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕するものであって,看者に異なる美感を起こさせるものである。 したがって,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおり,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-03-24 |
出願番号 | 意願2014-29078(D2014-29078) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鶴田 愛、山永 滋 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
正田 毅 江塚 尚弘 |
登録日 | 2016-05-13 |
登録番号 | 意匠登録第1551700号(D1551700) |
代理人 | 朝倉 悟 |
代理人 | 矢崎 和彦 |
代理人 | 勝沼 宏仁 |