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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K2
管理番号 1314366 
審判番号 不服2015-20797
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-24 
確定日 2016-04-13 
意匠に係る物品 釣用リール 
事件の表示 意願2015- 1597「釣用リール」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,意匠法第4条第2項の規定(新規性喪失の例外)の適用を受けようとする,平成27年(2015年)1月29日に出願された意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「釣用リール」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付された図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)


第2 手続の経緯

本願にかかる手続の経緯概要は以下のとおり。
平成27年 1月29日 意匠登録出願(意匠法第4条第2項の規定の適用申請の表示あり)
平成27年 2月 9日 新規性の喪失の例外証明書提出書の提出
平成27年 5月22日 拒絶理由通知書(意匠法第4条第2項の規定の適用を認めない旨のなお書きあり)
平成27年 8月24日 拒絶査定
平成27年11月24日 審判請求及び手続補足書の提出


第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定の拒絶の理由の要旨は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁意匠課が受け入れた,著者の氏名:グローブライド株式会社,表題:タイトルなし,掲載箇所:レブロス,媒体のタイプ:オンライン,掲載年月日(公知日):2015年1月27日,情報の情報元:インターネット,情報のアドレス:http://all.daiwa21.com/fishing/item/reel/spin_rl/15_revros/index.html,に掲載された釣用リールの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ26060605号)であって,その形態は,同ウェブページの写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

なお,本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする意匠登録出願であるが,意匠法第4条第3項に規定する「証明する書面」として,出願人自らが公開事実を証明する書面が提出されており,原審においては,この書面が同規定の「証明する書面」とは認められず,本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けられないものとして審査判断がなされている。


第4 当審の判断

1 本願が意匠法第4条第2項の規定の適用を受けることができるか否かについて

請求人(本願出願人)は,平成27年2月9日に提出した新規性の喪失の例外証明書提出書の添付資料として,「意匠の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書」(以下,「証明書1」という。)を提出した。その証明書1に記載された内容は,請求人(本願出願人)は2015年(平成27年)1月15日に発行した「DAIWA FISHING TACKLE CATALOG 2015」の第18頁に釣用リール(商品名:レブロス)の意匠(以下,「カタログ掲載意匠」という。)を掲載して公開した,というものである。
そして,請求人は,平成27年11月24日の審判請求書の提出と同時に手続補足書を提出し,その添付資料として「刊行物に関する証明書」(以下,「証明書2」という。)を提出した。この証明書2に記載された内容は,第三者である株式会社ワールドスポーツ代表取締役が,カタログ掲載意匠が掲載された「DAIWA FISHING TACKLE CATALOG 2015」を,2015年(平成27年)1月15日に入手していたことを証明する,としたものである。
よって,証明書1に記載された内容は,証明書2によって客観的に証明され,証拠能力を十分に備えているものであると認められる。

そうすると,カタログ掲載意匠は,請求人(本願出願人)の行為に起因して第3条第1項第2号に該当するに至った意匠(本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠)であって,本願は,その該当するに至った日から6月以内に請求人(本願出願人)がした意匠登録出願であるから,本願はカタログ掲載意匠について意匠法第4条第2項の規定の適用を受けることができる意匠登録出願である,と認められる。

2 本願意匠が引用意匠を理由とした意匠法第3条第1項第3号に該当する意匠であるか否かについて

引用意匠は,2015年1月27日にインターネット上に公開された意匠であるから,2015年1月15日に公開されたカタログ掲載意匠それ自体ではないが,引用意匠とカタログ掲載意匠は,いずれも意匠に係る物品が「釣用リール」であり,その形態も一致しているから,引用意匠は,請求人(本願出願人)によって,カタログ掲載意匠の公開の日以降に公開された,カタログ掲載意匠と同一の意匠と認められる。
ところで,意匠登録を受ける権利を有する者が,意匠登録出願前に意匠法第3条第1項第2号の規定に該当するに至った意匠を複数回に亘って公開した場合に,そのすべての公開した事実を証明しなければ意匠法第4条第2項の規定の適用を受けることができないとすると,意匠登録を受ける権利を有する者の意匠登録出願にかかる手続の負担が過度に大きくなることから,同人によって同一の意匠を複数回に亘って公開した場合には,最先の公開の事実の証明をもって,その証明された公開の日以降の公開によっても,意匠法第3条第1項第1号又は第2号に該当するに至らなかったものとみなすことが合理的である。
そうすると,前記のとおり,引用意匠は,カタログ掲載意匠が公開された日以降に請求人(本願出願人)本人によって公開された,カタログ掲載意匠と同一の意匠であるから,引用意匠についてもカタログ掲載意匠と同様に,意匠法第4条第2項の規定の適用により,本願の拒絶の理由として引用することは適切ではない。
よって,本願意匠は,引用意匠の存在を理由に意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当したものである,ということはできない。


第5 むすび

以上のとおりであるから,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができない意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

したがって,本願は登録すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-03-30 
出願番号 意願2015-1597(D2015-1597) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (K2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 坂田 麻智 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 久保田 大輔
渡邉 久美
登録日 2016-05-13 
登録番号 意匠登録第1551421号(D1551421) 
代理人 水野 浩司 

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