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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1314375 |
審判番号 | 不服2016-657 |
総通号数 | 198 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-01-15 |
確定日 | 2016-05-10 |
意匠に係る物品 | 交直流変換器用リモートコントローラー |
事件の表示 | 意願2014-17848「交直流変換器用リモートコントローラー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成26年(2014年)8月18日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「交直流変換器用リモートコントローラー」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,意匠登録第1529986号の意匠(出願番号 意願2014-16138)に類似するものであり,最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないため,意匠法第9条第1項の規定により意匠登録を受けることができないというものであって,その意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」という。)は,その出願の願書及び願書に添付された図面の記載によれば,意匠に係る物品が「情報表示器」であり,形態は,その出願の願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)両意匠の意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「交直流変換器用リモートコントローラー」であり,本願の願書及び願書に添付した図面の記載によれば,太陽光発電設備の発電状況や電力の売買状況の確認,設備の設定等の操作を行うものと推認できる。 また,引用意匠の意匠に係る物品は,「情報表示器」であり,引用意匠に係る出願の願書及び願書に添付された図面の記載によれば,熱交換気形換気システムの運転状況の確認や運転切り替え等の操作を行うものである。 そうすると,両意匠の意匠に係る物品は,共に電気的設備の状況を確認し,設備の設定等の操作を行う機器という点で共通する。 (2)両意匠の形態 両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 <共通点> 両意匠は,基本的態様として, (A)本体は,正面視略正方形の板状で,上側略3/5の範囲に,周囲に余地部を残して横長矩形状の表示部を設け,表示部の下方に,4つの正面視横長長方形の操作ボタンを横に並べて設け,操作ボタンの下方に円形ボタンを設け,操作ボタン及び円形ボタンを除く正面の全面を一枚の透明部材で覆った点, で共通する。 <相違点> 両意匠は,具体的態様として, (ア)円形ボタンが,本願意匠は右に寄せて配置され,全面を覆う透明部材と同様の透明部材で覆われているのに対して,引用意匠は中央に配置され,透明部材で覆われていない点, (イ)操作ボタンが,本願意匠は一定の間隔を開けて並べられているのに対して,引用意匠は間隔を開けずに接して並べられている点, (ウ)本願意匠は,操作ボタン下方の左寄りに,略「>>」記号状及び略「<<」記号状のLED表示部を,上下に設けているのに対して,引用意匠は,そのような表示部を設けていない点, (エ)本願意匠は,本体下端中央にSDカードスロット用のスリット部を設けているのに対して,引用意匠はそのようなスリット部を設けていない点, で相違する。 2.両意匠の類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価及び総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 両意匠は,意匠に係る物品が共通するところ,形態については,以下のとおりである。 (1)両意匠の形態についての共通点の評価 共通点(A)は,両意匠における本体,表示部,操作ボタン及び円形ボタンといった主な要素の形状や配置がおおむね一致するというものではあるが,これらの要素の形状や配置が,両意匠のみに見られるものとまではいえないから,共通点(A)が両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度にとどまり,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 (2)両意匠の形態についての相違点の評価 これに対して,相違点(ア)は,本願意匠は円形ボタンが右に寄せて配置されているのに対して,引用意匠は中央に配置されているというものであり,これにより,引用意匠は全体として左右対称な印象を与えるのに対して,本願意匠は左右非対称な印象を与えるから,需要者に与える印象の差異は大きく,相違点(ア)が両意匠の類否判断に与える影響も大きいというほかない。 また,相違点(イ)は,操作ボタンが,本願意匠は一定の間隔を開けて並べられているのに対して,引用意匠は間隔を開けずに接して並べられているというものであり,これにより,引用意匠の4つの操作ボタンは一体的な印象を与えるのに対して,本願意匠の4つの操作ボタンは各々が独立した印象を与えるといえるから,相違点(イ)は両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるといえる。 そして,相違点(ウ)は,本願意匠は,操作ボタン下方の左寄りに略「>>」及び「<<」記号状のLED表示部を上下に設けているというものであるところ,家庭用の太陽光発電設備は,太陽電池で生じた電力に余剰がある場合は電力会社に売電し,そうでない場合は電力会社から買電するものであ って,その売買電の状況を上下の「>>」及び「<<」記号状のLED表示部により表示すること等を考慮すると,需要者は高い関心をもって本願意匠のLED表示部を観察するといえるから,相違点(ウ)は,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるといえる。 さらに,相違点(エ)は,本体下端中央のスリット部の有無に関する相違であり,「交直流変換器用リモートコントローラー」という物品の機能に関わる相違であるから,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるといえる。 そして,相違点(ア)から(エ)までが相乗した視覚的効果を考慮すると,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕して,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきである。 (3)小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は共通するが,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって意匠法第9条第1項の最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないとすることはできないものであり,その拒絶の理由によって本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-04-18 |
出願番号 | 意願2014-17848(D2014-17848) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 上島 靖範 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 刈間 宏信 |
登録日 | 2016-05-20 |
登録番号 | 意匠登録第1552457号(D1552457) |
代理人 | 稲葉 忠彦 |
代理人 | 村上 加奈子 |
代理人 | 倉谷 泰孝 |
代理人 | 松井 重明 |