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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1317041 
審判番号 不服2016-48
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-04 
確定日 2016-06-21 
意匠に係る物品 携帯情報端末 
事件の表示 意願2014-26443「携帯情報端末」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとし,アメリカ合衆国への2014年8月8日(なお,全体意匠については,2014年7月23日の出願あり。)の出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成26年(2014年)11月27日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「携帯情報端末」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたもので,「実線で示した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁が平成25年(2013年)5月20日に発行した意匠公報掲載の意匠登録第1469318号「携帯端末機」の意匠(以下,「引用意匠」という。)の正面視右上のフレームの一部分である本願実線部分に相当する部分(以下,この部分を「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠は,「携帯情報端末」で,引用意匠は,「携帯端末機」であるが,いずれも,携帯して用いられる,小型の情報端末機器であるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。
(2)本願実線部分と引用相当部分(以下,「両部分」という。)の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
両部分は,いずれも携帯情報端末の周側面を覆うフレームの側面の右上隅寄りの,フレーム側面全長の約1/12に相当する部分であるから,フレームとして,その用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,共通する。
(3)形態
また,両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
(3-1)共通点
部分全体を,フレームの側面を,その中央の帯状部(以下,「帯状部」という。)と正面側及び背面側の傾斜面(以下,正面側を「正面側傾斜面」,背面側を「背面側傾斜面」という。)から成る断面略扁平台形状とし,その上方約1/4の帯状部を鉛直面状とし,上方約1/4から略中央付近にかけて正面視浅い凹湾曲状に抉るようにして,そのまま下方を鉛直面状に形成し,側面視した中央の帯状部の左右のラインが凸曲線の略台形状を呈し,なだらかな凹面状部分(以下,この部分を「凹面状部分」という。)を形成したものである点,において主に共通する。
(3-2)差異点
(ア)側面視した態様について,本願実線部分は,全体の幅が狭く,帯状部の幅が広く,正面側傾斜面の幅と背面側傾斜面の幅が同幅で左右対称であるのに対して,引用相当部分は,全体の幅が広く,帯状部の幅が狭く,背面側傾斜面の幅が正面側傾斜面の幅より幅が広く,左右非対称である点,
(イ)側面視した凹面状部分の輪郭形状について,本願実線部分は,上端の水平線の幅が広く,正面側傾斜面と背面側傾斜面に向かってごく僅かな短い凸曲線部が形成され,略長方形状に角張っているのに対して,引用相当部分は,上端の水平線の幅が狭く,正面側傾斜面と背面側傾斜面に向かって長い凸曲線部が形成され,略逆U字状である点,
(ウ)正面視した態様について,本願実線部分は,下方の凹面状部分の正面側傾斜面の厚みが正面から見え,凹面状部分の括れのカーブがごくゆるやかなものであるのに対して,引用相当部分は,下方の凹面状部分の正面側傾斜面の厚みが見えず,凹面状部分の括れのカーブが,やや急なものである点,
(エ)背面視した態様について,本願実線部分は,正面視した態様と同様であるのに対して,引用相当部分は,正面視した態様と異なり,背面側が大きく抉れた態様で,凹面状部分の括れ部分から下方寄りの鉛直面状の帯状部にかけて内側寄りに傾斜し,帯状部が背面から見える点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,共通する。
(2)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,共通する。
(3)形態
以下,両部分の形態について検討する。
共通点全体として両部分の意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両部分の意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両部分の意匠の類否判断を決定付けるものである。
(3-1)共通点
共通点については,部分全体として見た場合には,フレームの側面を,その中央の帯状部と正面側傾斜面及び背面側傾斜面から成る断面略扁平台形状とし,その上方約1/4の帯状部を鉛直面状とし,上方約1/4から略中央付近にかけて正面視浅い凹湾曲状に抉るようにして,そのまま下方を鉛直面状に形成し,側面視した中央の帯状部の左右のラインが凸曲線の略台形状を呈し,なだらかな凹面状部分を形成した態様は,この種の物品分野においては,ありふれた態様といえるもので,格別目立つ態様とはいえず,この点が両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
(3-2)差異点
一方,差異点(ア)の側面視した態様について,全体の幅が狭く,帯状部の幅が広く,正面側傾斜面の幅と背面側傾斜面の幅が同幅で左右対称である本願実線部分の態様と,全体の幅が広く,帯状部の幅が狭く,背面側傾斜面の幅が正面側傾斜面の幅より広く,左右非対称である引用相当部分の態様とでは,明らかに需要者に与える印象を異ならせるものであり,その差異は,両部分の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)の側面視した凹面状部分の輪郭形状について,上端の水平線の幅が広く,正面側傾斜面と背面側傾斜面に向かってごく僅かな短い凸曲線部が形成され,略長方形状に角張っている本願実線部分の態様と,上端の水平線の幅が狭く,正面側傾斜面と背面側傾斜面に向かって長い凸曲線部が形成され,略逆U字状である相当部分の態様とでは,この種の物品分野においては,手で持って操作する際に,需要者が注目する部分であり,両部分を側面から見た印象に影響を与えるものであるから,その差異は,両部分の類否判断に影響を与えるものといえる。
また,差異点(ウ)の正面視した態様について,下方の凹面状部分の縦の直線が正面から見え,凹面状部分の括れのカーブがごくゆるやかなものである本願実線部分と,下方の凹面状部分の直線部が見えず,凹面状部分の括れのカーブが,やや急なものである引用相当部分とでは,正面視した場合の印象が異なるもので,その差異は無視することができず,両部分の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。
さらに,差異点(エ)の背面視した態様について,正面視した態様と同様である本願実線部分の態様と,正面視した態様と異なり,背面側が大きく抉れた態様で,凹面状部分の括れ部分から下方寄りの鉛直面状の帯状部にかけて内側寄りに傾斜し,帯状部が背面から見える引用相当部分の態様とでは,両部分を背面から見た印象に影響を与えるものであるから,その差異は,両部分の類否判断に僅かではあるが影響を与えるものといえる。
(4)小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の意匠の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が共通するものであるが,両部分の意匠の形態において,差異点が共通点を凌駕し,それらが両部分の意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできな
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-06-08 
出願番号 意願2014-26443(D2014-26443) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 智加 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 斉藤 孝恵
正田 毅
登録日 2016-07-22 
登録番号 意匠登録第1556794号(D1556794) 
代理人 アイ・ピー・ディー国際特許業務法人 

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