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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L4 |
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管理番号 | 1318112 |
審判番号 | 不服2016-4917 |
総通号数 | 201 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-04-04 |
確定日 | 2016-08-02 |
意匠に係る物品 | デッキプレート用インサート |
事件の表示 | 意願2015-751「デッキプレート用インサート」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成27年(2015年)1月16日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「デッキプレート用インサート」とし,形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,特許庁意匠課が2001年8月24日に受け入れた,「2001-38 Pipe Hangers & Supports」第325ページ所載のデッキプレート用インサートの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HN13012519号,以下「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」という。)であって,その形態は,当該ページ所載の図版に表されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.両意匠の対比 (1)両意匠の意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「デッキプレート用インサート」であり,引用意匠の意匠に係る物品も「デッキプレート用インサート」であるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。 (2)両意匠の形態 両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。(以下,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。) <共通点> 両意匠の共通点は,以下のとおりである。 (A)全体は,環状フランジを境に,環状フランジより上方に位置する上部分と,下方に位置する下部分で構成される点。 (B)環状フランジの外周に,複数の略矩形状の突出片を設けた点。 (C)上部分は,環状フランジに接続する上円筒部と,上円筒部の上端に接続し,環状フランジよりやや大径の円盤部と,上円筒部の周囲に等間隔で放射状に接続する略直角三角形状の複数のリブで構成され,リブの縦辺の長さは上円筒部の高さとほぼ同じであり,リブの底辺の長さは環状フランジの径方向長さとほぼ同じである点。 (D)下部分は,環状フランジに接続する下円筒部と,下円筒部の正面側及び背面側に接続され,正面視及び背面視で左右対称な略逆直角三角形状の係止片で構成される点。 <相違点> 両意匠の相違点は,以下のとおりである。 (ア)下部分の高さが,本願意匠では,上部分と略同じ高さであるのに対して,引用意匠では,上部分よりも略3倍高い点。 (イ)突出片の個数が,本願意匠は6個であるのに対して,引用意匠は8個である点。 (ウ)リブの個数が,本願意匠は3個であるのに対して,引用意匠は4個である点。 (エ)円盤部の上面が,本願意匠は平たんであるのに対して,引用意匠は中心に円形状のくぼみが形成されている点。 2.両意匠の類否判断 以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価及び総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,形態については以下のとおりである。 (1)両意匠の形態についての相違点の評価 事案に鑑みて,まず相違点の評価を行うと,相違点(ア)は,下部分の高さが,本願意匠では上部分と略同じ高さであるのに対して,引用意匠では上部分よりも略3倍高いというものであり,一瞥しただけで両意匠が全く異なる高さであることを認識できる。また,デッキプレートの下面に耐火被覆材や断熱材の吹き付けが行われ,デッキプレートの下方が厚く被覆される場合には,デッキプレート用インサートの下端を被覆よりも下方に露出させるために,下部分が長いものを使用しなければならないことは,「デッキプレート用インサート」の物品分野(以下「この種物品分野」という。)の需要者にとって自明であるといわざるを得ない。そうすると,この種物品分野において,下部分の態様は需要者の注意を引くものといえ,下部分の高さが短い本願意匠と,下部分の高さが長い引用意匠とでは,需要者に与える視覚的印象は全く異なるというほかない。 そして,相違点(ア)ないし(エ)があいまった視覚的効果を考慮すると,相違点が両意匠の類否に与える影響は,支配的といえる程に大きい。 (2)両意匠の形態についての共通点の評価 これに対して,共通点(A)は,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであるから,共通点(A)が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。 また,共通点(B)ないし(D)に示す形態は,この種物品分野においてあまり見られる形態ではないが,いずれも,意匠全体に占める面積は小さくこれらの共通点は部分的な共通点にすぎないというべきである。したがって,共通点(B)ないし(D)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,それぞれ一定程度にとどまる。 そして,全ての共通点を合わせたとしても,共通点が,上記相違点がもたらす視覚的印象を凌駕するほどの印象をもたらすものとまではいえない。 (3)小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,形態においては,相違点が両意匠の類否判断に与える影響が,支配的といえる程に大きいものであるのに対して,共通点が両意匠の類否判断に与える影響は,相違点のそれを凌駕する程とまではいえず,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-07-20 |
出願番号 | 意願2015-751(D2015-751) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 恭子 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 渡邉 久美 |
登録日 | 2016-08-26 |
登録番号 | 意匠登録第1559621号(D1559621) |
代理人 | 山本 拓也 |