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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 L2 |
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管理番号 | 1318113 |
審判番号 | 不服2016-5301 |
総通号数 | 201 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-04-11 |
確定日 | 2016-08-02 |
意匠に係る物品 | 水路管用管材 |
事件の表示 | 意願2014-24618「水路管用管材」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,本意匠を意願2014-24616号とする関連意匠の意匠登録出願であって,平成26年(2014年)11月5日に出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「水路管用管材」とし,形態を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,以下のとおりである。 「この意匠登録出願の意匠は,意匠に係る物品を「コルゲートパイプ構成部品」とするものですが,この種物品分野において,波形状の板材を丸めた円筒の内周面に,凹凸のない板材を内接させることはこの出願前より広く行われているところ(例えば下記の特許公報),全体の基本形状を公知の下記の参考意匠1とし,内周面に凹凸のない板材を内接させたにすぎない本願の意匠は,当業者であれば容易に創作することができたものといわざるを得ません。」 また,拒絶の理由で引用された意匠及び参考意匠は,以下のとおりである。 意匠1(別紙第2参照) 特許庁発行の公開特許公報記載 昭和61年特許出願公開第104831号 意匠2(別紙第3参照) 特許庁発行の公開特許公報記載 昭和62年特許出願公開第093585号 意匠3(別紙第4参照) 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2005-164031 参考意匠1(別紙第5参照) 特許庁総合情報館が1996年5月9日に受け入れた 大韓民国意匠公報 1996年3月29日 第206頁所載 水路用管の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH09002725号) 第3 当審の判断 本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち本願意匠が容易に創作することができたか否かについて検討し,判断する。 1.本願意匠 本願意匠の意匠に係る物品は「水路管用管材」であり,本願意匠の形態については,主に以下の点を認めることができる。 (A)全体は,外周の長手方向に波状の凹凸を施した円筒を,長手方向に半分に割ったような,略半円筒状の外殻と,外殻の内周面に接合され,表面が滑らかな略半円筒状の薄板で構成されている点。 (B)外殻の周方向の両端部は,それぞれ外側に水平方向に折り曲げられてフランジを構成し,正面視左側のフランジの波状凸部には,フランジの延びる方向に沿うような略長円状の孔が設けられ,正面視右側のフランジの波状凹部には,フランジの延びる方向に沿うような同形同大の略長円状の孔が設けられている点。 (C)薄板の周方向の両端部は,外殻のフランジよりもやや下にある点。 (D)薄板の長手方向の端部について,平面視上側の端部は,外殻の長手方向の端部と重なっており,平面視下側の端部は,外殻の長手方向の端部よりもやや内側にある点。 (E)外殻の長手方向の両端部近傍には,周方向に沿うような略長円状の端部孔が略等間隔に4個設けられ,薄板の平面視上側の端部には,外殻の端部孔が露出するように矩形状の切り欠きが4個設けられている点。 2.創作非容易性の判断 水路管用管材の物品分野において,(A),(C),(D)及び(E)の点に示す形態は,意匠1ないし意匠3及び参考意匠1のいずれにも見られない,本願意匠独自の創作であり,当業者が容易に創作することができたということはできない。 具体的には,意匠1ないし意匠3に示される形態は,いずれも外周に波状の凹凸を施した円筒状の外殻の内周面に内筒が接合されているというものであって,略半円筒状の外殻や略半円筒状の薄板で構成されていない。また,参考意匠1に示される形態は,略U字状の外殻の外周に波状の凹凸が施されているというものであって,外殻の内周面に略半円筒状の薄板を接合して構成するものではないから,(A),(C),(D)及び(E)の点に示す形態を,意匠1ないし意匠3及び参考意匠1の形態に基づいて,当業者が容易に創作することができたということはできない。 したがって,(A)ないし(E)の点に示す形態からなる本願意匠は,意匠1ないし意匠3及び参考意匠1の形態に基づいて,当業者が容易に創作することができたということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-07-20 |
出願番号 | 意願2014-24618(D2014-24618) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(L2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 樫本 光司 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 刈間 宏信 |
登録日 | 2016-08-12 |
登録番号 | 意匠登録第1558783号(D1558783) |
代理人 | 安彦 元 |