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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J1 |
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管理番号 | 1319232 |
審判番号 | 不服2015-19708 |
総通号数 | 202 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-11-02 |
確定日 | 2016-08-29 |
意匠に係る物品 | ウェアラブル端末 |
事件の表示 | 意願2014-9197「ウェアラブル端末」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,2013年(平成25年)10月25日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴い,物品の部分について意匠登録を受けようとする平成26年(2014年)4月25日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「ウェアラブル端末」とし,形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。各図中に表された細線はいずれも立体表面の形状を表す線であり,意匠の模様を構成するものではない。」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)。(別紙第1参照) 第2 当審で通知した拒絶の理由及び引用意匠 当審で通知した拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」という。)及び参考意匠は,以下のとおりである。 引用意匠(別紙第2参照) アメリカ合衆国(以下「米国」という。)非営利法人インターネット・アーカイブが運営するインターネット・アーカイブにより,2013年4月20日付けで保存及び保管されている記事「【レビューモード】発売直前! 『Jawbone UP』は本当に生活を変えるガジェットか」に掲載された「Jawbone UP」と示された「ウェアラブルガジェット」の意匠(「JAWBONE UP」は登録商標) (出力日:平成28年2月23日) URL: http://web.archive.org/web/20130420035257/http://www.gizmodo.jp/2013/04/jawbone_up_review_mode.html 参考意匠(別紙第3参照) 米国非営利法人インターネット・アーカイブが運営するインターネット・アーカイブにより,2013年5月9日付けで保存及び保管されている記事「UPを使うと何が分かるのか Jawbone UPがもたらす『ライフログ炎上』とは」の第1ページから第4ページまでに掲載された「Jawbone UP」と示された「ウェアラブルガジェット」の意匠(「JAWBONE UP」は登録商標) (出力日:平成28年2月23日) URL: (第1ページ) http://web.archive.org/web/20130509233357/http://ascii.jp/elem/000/000/784/784474 (第2ページ) http://web.archive.org/web/20130509233402/http://ascii.jp/elem/000/000/784/784474/index-2.html また,引用意匠の形態は,上記のインターネット・アーカイブに保管された記事に掲載された写真版に現されたとおりのものである(以下,本願実線部分に相当する部分を「引用相当部分」といい,本願実線部分と合わせて「両意匠部分」という。)。 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)両意匠の意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「ウェアラブル端末」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「ウェアラブルガジェット」であるところ,「ガジェット」は小型の電子機器を意味するから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 (2)両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 両意匠部分は,ウェアラブル端末の装着者の運動等を記録すると共に,装着者を装飾するという用途や機能を有するから,両意匠部分の用途及び機能は一致する。 また,両意匠部分は,略細長角棒状のウェアラブル端末における正面視手前側端部の底面文字部を除く,ほぼ全体の部分であるから,両意匠部分の位置,大きさ及び範囲も一致する。 (3)両意匠部分の形態 両意匠部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。(以下,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。) <共通点> 両意匠部分は,基本的態様として, (A)全体は,略細長角棒状の機器本体を,両端部が隣接するように略螺旋状に1回巻いたものであり,正面視手前側端部には,接続端子を覆う横長直方体状の端子キャップを設け,正面視奥側端部には,厚みの薄い略直方体状の入力部を設け,本体の外周面には,ごく浅い凹凸模様が施されている点, 具体的態様として, (B)本体の平面部の幅は,底面部における各端部の幅の約5/3倍であり,側面から見ると,上部から下部に向かって漸次幅が狭くなっている点, (C)本体及び端子キャップには,外周側よりも内周側が大きく面取りされている点, において共通する。 (なお,引用相当部分の接続端子については,参考意匠が掲載された記事の第2ページの写真(「ただプラグに被せるキャップの紛失だけが心配です」との注釈の付いた写真)を参照されたい。) <相違点> 両意匠部分は,具体的態様として, 本体外周面の凹凸模様が,本願実線部分は平行状に表れるものであり,その施された方向が,底面部及び側面部では長手方向に対して垂直に表れ,平面部では長手方向に沿うように表れ,側面部から平面部にかけて,平行状の凹凸模様が長手方向に対して垂直から徐々に傾斜し,長手方向に平行になるように形成されているのに対して,引用相当部分はペン先を,隣同士の向きが反対となるように側面を接して並べたように表れるものであり,底面部から平面部までの外周面全体に連続して施されている点, において相違する。 2.両意匠の類否判断 以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価及び総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲が一致するが,形態については,以下のとおりである。 (1)両意匠部分の形態についての共通点の評価 共通点(A)及び共通点(B)は,身体に装着可能でセンサーを内蔵して,装着者の運動等を記録する機器(以下「この種物品」という。)の分野において,両意匠部分のほかにも既に見られる形態であるから,これらの点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,極微弱である。 また,共通点(C)は,本体及び端子キャップには,外周側よりも内周側が大きく面取りされているというものであるところ,この種物品を身体に装着した際には見えにくい部位の形態であるし,本体の外周側と内周側とを子細に観察して初めて気付く程度のものであるから,共通点(C)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も微弱というほかない。 そして,共通点全体としても,両意匠部分の類否判断を決定付けるとは,到底いうことができない。 (2)両意匠部分の形態についての相違点の評価 この種物品は,比較的長期間にわたって,身体に装着させて,運動等を連続的に記録するものであるから,需要者は,身体に装着させた際の装飾性にも高い関心を示すといえる。 両意匠部分の相違点は,本体外周面の凹凸模様の相違に関するものであるところ,両意匠部分の凹凸模様は,本体外周面のほぼ全体という広い範囲で観察されるし,装飾性が決定付けられ,需要者の注意を強く引きつけるものであるから,両意匠部分の類否判断を決定付けるものである。 そして,本願実線部分の凹凸模様が平行状に表れるものであり,その施された方向が,底面部及び側面部では長手方向に対して垂直に表れ,平面部では長手方向に沿うように表れ,側面部から平面部にかけて,平行状の凹凸模様が長手方向に対して垂直から徐々に傾斜し,長手方向に平行になるように形成されているという態様は,この種物品の先行意匠に照らして,本願部分のみの特徴であるから,この相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は非常に大きく,相違点の印象は共通点の印象を凌駕して,両意匠部分は視覚的印象を異にするというべきである。 (3)小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は一致するが,形態においては,共通点が未だ両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,相違点の印象は共通点の印象を凌駕し,両意匠部分は視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,当審で通知した拒絶の理由の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,当審で通知した拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-08-17 |
出願番号 | 意願2014-9197(D2014-9197) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(J1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 北代 真一、温品 博康 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 江塚 尚弘 |
登録日 | 2016-09-16 |
登録番号 | 意匠登録第1561109号(D1561109) |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 森下 夏樹 |