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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 L2 |
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管理番号 | 1320243 |
審判番号 | 不服2015-18434 |
総通号数 | 203 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-10-09 |
確定日 | 2016-09-09 |
意匠に係る物品 | グレーチング用連結固定金具 |
事件の表示 | 意願2014-19530「グレーチング用連結固定金具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,2014年(平成26年)9月4日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「グレーチング用連結固定金具」とし,形態を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 当審の拒絶の理由 当審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであり,その理由の概要は以下のとおりである。 「本願意匠の形態は,グレーチングの上方に位置する上金具,グレーチングの下方に位置する下金具,及び両金具を上下に結合する2本のボルトから構成され,上金具は,帯状の略横長長方形板の長手方向両端が水平なフランジとなり,長手方向中央が上方へ突出して正面視略倒コ字状となるように,アールを付けて折り曲げて形成したものであり,下金具は,上金具の横長さ及び縦幅とほぼ同じ長さ及び幅の略長方形板状としたものであり,2本のボルトは,ボルトの頭部が略6角形状であり,上金具のフランジの略中心位置を両金具の上方から貫通して下金具と螺合し,頭部を含めた軸方向長さが上金具の内側面側の高さとほぼ同じとしたものであるところ,本願意匠は,意匠1に示す形態に基づいて,上金具の長手方向両端を,意匠2及び意匠3に示すような公知の水平なフランジとし,ボルトが貫通する位置を,意匠2に示すような特段特徴のないフランジの略中心位置とし,意匠3に示すように,上金具の内側面側の高さをボルトの軸方向長さとほぼ同じとして,上金具の折曲げを単にアールの付いたものとし,下金具の形状を,意匠4に示すような上金具の横長さ及び縦幅とほぼ同じ長さ及び幅の略長方形板状とし,ボルトの頭部をありふれた略6角形状としたまでのものであるから,本願意匠の創作については,当業者がごく普通に想到することができるものと認められる。」 また,拒絶の理由で引用した意匠は,以下のとおりである。 意匠1(別紙第2参照) 日本国特許庁発行の公開実用新案公報 実開昭58-85691号の第3図に記載された「グレーチングの連結止金具」の意匠 意匠2(別紙第3参照) 日本国特許庁発行の公開実用新案公報 実開昭55-126393号の第2図及び第3図に記載された「溝蓋の跳ね上がり防止装置」の意匠 意匠3(別紙第4参照) 日本国特許庁発行の公開実用新案公報 実開昭52-121158号の第3図に記載された「溝蓋」の意匠 意匠4(別紙第2参照) 日本国特許庁発行の公開実用新案公報 実開昭58-85691号の第1図及び第2図に記載された「グレーチングの連結止金具」の意匠 第3 当審の判断 本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち,本願意匠が容易に創作することができたか否かについて検討し,判断する。 1.本願意匠の形態 本願意匠の形態について,主に以下の点を認めることができる。 (A)グレーチングの上方に位置する上金具,グレーチングの下方に位置する下金具,及び両金具を上下に結合する2本のボルトから構成される点。 (B)上金具は,帯状の略横長長方形板の長手方向両端が水平なフランジとなり,長手方向中央が上方へ突出して正面視略倒コ字状となるように,アールを付けて折り曲げて形成したものである点。 (C)上金具の長手方向中央の突出高さ(フランジからの高さ)は,一方のフランジの横長さの約3倍である点。 (D)下金具は,底面から見て上金具の横長さ及び縦幅とほぼ同じ長さ及び幅の略長方形板状としたものである点。 (E)2本のボルトは,ボルトの頭部が略6角形状であり,上金具のフランジの略中心位置を両金具の上方から貫通して下金具と螺合し,頭部を含めた軸方向長さが上金具の内側面側の高さとほぼ同じとした点。 2.創作非容易性の判断 本願意匠における(C)点に示す形態は,意匠1ないし意匠4には見られない,本願意匠独自の創作であり,当業者が容易に創作することができたということはできない。 具体的には,意匠1及び意匠2では,上金具の長手方向中央の突出高さは,一方のフランジの横長さの約1倍であり,同様に,意匠3では約1.5倍であり,意匠4では約0.8倍である。 そうすると,本願意匠における(C)点に示す形態は,意匠1ないし意匠4から導き出せるものとはいえず,本願意匠について,意匠1ないし意匠4に基づいて容易に意匠の創作をすることができたということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので,当審の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-08-30 |
出願番号 | 意願2014-19530(D2014-19530) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(L2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 樫本 光司 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 江塚 尚弘 |
登録日 | 2016-10-21 |
登録番号 | 意匠登録第1563458号(D1563458) |
代理人 | 岩田 敏 |