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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 L4
管理番号 1320248 
審判番号 不服2016-8223
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-03 
確定日 2016-09-26 
意匠に係る物品 雪止め金具 
事件の表示 意願2015- 17845「雪止め金具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,平成27年(2015年)8月11日に出願された意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)を,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「雪止め金具」とし,その形態を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由及び本意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠は願書に記載した本意匠に類似する意匠とは認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しない,としたものであって,本意匠は平成27年(2015年)8月11日に出願され,平成28年(2016年)1月8日に意匠権の設定の登録がなされ,同年2月8日に意匠公報が発行された意願2015-17838号(意匠登録第1543265号)の意匠であり,意匠に係る物品を「雪止め金具」とし,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第2参照)


第3 手続の経緯

原査定の拒絶の理由に対して,請求人は意見書を提出し,本願意匠は本意匠に類似する意匠であって,意匠法第10条第1項の規定に該当する旨主張したが,平成28年4月14日に拒絶の査定がなされたため,同査定を不服として平成28年6月3日に審判を請求するとともに手続補正書を提出して,本願の願書に記載していた「本意匠の表示」の欄を削除した。


第4 当審の判断

以下,本願意匠が意匠法第10条第1項の規定に該当するものであるか否かを,主に,本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が本意匠に類似するか否かについて検討し,判断する。

1.共通点及び相違点の認定
意匠に係る物品は,両意匠ともに屋根に取り付けて落雪を防止するための「雪止め金具」であるから一致する。
そして,両意匠の形態については,共に雪を受けるための「雪止め板部」とその雪止め板を屋根に取り付ける「取り付け部」から成るもので,主に,左側面視で幅の広い略逆V字形の板状部に,それよりも一回り小さく略逆V字形の凸部を上部にやや余地部を残して,段差状に設け,略逆V字形の板状部の上辺と屋根に接地する側の底辺それぞれを相互に逆に折り曲げて正面視で略クランク状に形成した雪止め板部の態様が共通する。
一方,取り付け部は,本願意匠が雪止め板部から後方に略L字状に伸びた2つの板状部の端部を折り曲げてクリップ状の形状とし,その折り曲げた両端部で屋根材を挟み,上下に貫通させたボルトとナットで締め付けて係止する態様としているのに対し,本意匠は,雪止め板部から後方に略L字状に正面視で左右に長い,途中に略Z字状の折り返しを有する板状とし,横葺屋根材に深く差し込んで釘等で野地板に固定するための3つの孔を設けた態様としている点が相違するものである。

2.共通点及び相違点の評価
以下,共通点及び相違点の評価を行う。
(1)共通点についての評価
両意匠における屋根に積もった雪を受け止める雪止め板部の態様の共通点は,使用時においても露出する見えやすい部分の共通点ではあるが,雪止め金具全体から見た場合,未だ一部分の共通点に留まるものであり,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。

(2)相違点についての評価
両意匠における取り付け部の形態の相違は,この種の雪止め金具の分野において,屋根材の形状や屋根に留める方法によって,取り付け部の形態は変わるものであることから,需要者の注意を引く部分であり,明らかに需要者に与える印象を異ならせるものであって,類否判断に大きな影響を与えるものといえる。

そうすると,両意匠は,意匠に係る物品については一致するが,形態において,その相違点が共通点を凌駕し,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。
したがって,本願意匠は,本意匠に類似しないものと認められる。


第5.むすび

以上のとおり,本願意匠は,本意匠に類似するものとは認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないものであるから,本意匠の関連意匠として意匠登録を受けることができないものではあるが,前記第3に記載のとおり,平成28年6月3日に提出した手続補正書によって,本願の願書に記載していた「本意匠の表示」の欄を削除する補正がなされていることから,原査定の拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-09-07 
出願番号 意願2015-17845(D2015-17845) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (L4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 樫本 光司 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 山田 繁和
正田 毅
登録日 2016-10-14 
登録番号 意匠登録第1563213号(D1563213) 
代理人 吉井 雅栄 
代理人 吉井 剛 

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