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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 M1 |
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管理番号 | 1320253 |
審判番号 | 不服2016-6379 |
総通号数 | 203 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-04-28 |
確定日 | 2016-09-24 |
意匠に係る物品 | 自動車用の内装材 |
事件の表示 | 意願2014-26026「自動車用の内装材」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成26年(2014年)11月21日に出願された意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真によれば,意匠に係る物品を「自動車用の内装材」とし,形態を願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたものであり,「この意匠は、平面図において四方に連続する。」としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,以下のとおりである。 「この意匠登録出願の意匠は,意匠に係る物品を『自動車用の内装材』とするものですが,この種物品分野においては,コア材の形状について,三角錐台状凸部と逆三角錐台状凹部を上下左右に交互に組み合わせて形成した意匠(参考意匠1)が本願の出願前に公然知られており, (1)コア材の片面に薄い平板を貼り合わせて一体として平面視四方に連続させること(例えば下記の参考意匠2,3), (2)板に接する突起の上面の面積を様々な大きさとすること(例えば下記の参考意匠4,5) は,本願出願前より何れもごく一般的に行われているところです。 そうすると,参考意匠1のコア材の形状に基づいて,単に片面に薄い平板を貼り合わせて一体として平面視四方に連続させて,平板に接するコア材の凸部頂面と凹部底面の三角形の面積を単に大きくした程度にすぎない本願の意匠は,当業者であれば容易に創作することができたものといわざるを得ません。」 また,原査定における拒絶の理由で引用された参考意匠は,以下のとおりである。 参考意匠1(別紙第2参照) 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2000-153507号 【図6】及び【図10】並びにこれらに関係する説明に記載された,「連続した凹凸部をもつ薄板(7)」の意匠 参考意匠2(別紙第3参照) 特許庁発行の公開特許公報記載 平成8年特許出願公開第13685号 【図2】及びこれに関係する説明に記載された,「曲面パネル板(1)の片面に平板(3)を接合した構造の複合パネル板」の意匠 参考意匠3(別紙第4参照) 特許庁発行の公開実用新案公報記載 昭和60年実用新案出願公開第98637号 【第4図】及び【第5図】並びにこれらに関係する説明に記載された,「ディンプル鋼板(16)と平らな鋼板(18)を固着させた自動車の構造材」の意匠 参考意匠4(別紙第5参照) 特許庁発行の公開特許公報記載 昭和49年特許出願公開第114685号 【第6図】及び【第9図】並びにこれらに関係する説明に記載された,Bシートの「突起」の意匠 参考意匠5(別紙第6参照) 特許庁発行の公開特許公報記載 平成9年特許出願公開第85861号 【図5】及び【図8】並びにこれらに関係する説明に記載された,「突起(11)」を形成した「金属板(103)」及び「金属板(203)」の意匠 第3 当審の判断 本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち,本願意匠が容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。 1.本願意匠の形態 本願意匠の形態について,主に以下の点を認めることができる。 (A)コア材の片面に薄いシート材が貼り合わせられている点。 (B)コア材は,頂面が正三角形の三角錐台状凸部(以下「凸部」という。)と,底面が逆正三角形の逆三角錐台状凹部が,平面視上下左右に交互に隣接するように配置されて構成されている点。 (C)凸部の頂面の辺の長さと,凸部の底部の辺の長さの比が,略3:5である点。 (D)凸部の稜線(凸部の3つの側面が相互に接する線)が,下に向けてなだらかに広がるようにやや内方へ湾曲している点。 2.創作非容易性の判断 本願意匠における(D)点に示す形態は,参考意匠1ないし参考意匠5には見られない,本願意匠独自の創作であり,当業者が容易に創作することができたということはできない。 具体的には,参考意匠1には,三角錐台状凸部が示されているものの,その稜線は直線状であり,やや内方へ湾曲した稜線は示されていない。 また,参考意匠4には,四角錐台状凸部や円錐台状凸部が示されているものの,その稜線は直線状であり,やや内方へ湾曲した稜線は示されていない。 そして,参考意匠2,参考意匠3及び参考意匠5には,凸部の稜線が明確には示されていない。 そうすると,本願意匠について,参考意匠1のコア材の形状に基づいて,単に片面に薄い平板を貼り合わせて一体として平面視四方に連続させて,平板に接するコア材の凸部頂面と凹部底面の三角形の面積を単に大きくした程度にすぎないものということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-08-12 |
出願番号 | 意願2014-26026(D2014-26026) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(M1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 樫本 光司 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 刈間 宏信 |
登録日 | 2016-10-07 |
登録番号 | 意匠登録第1562525号(D1562525) |