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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K9 |
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管理番号 | 1320254 |
審判番号 | 不服2016-6421 |
総通号数 | 203 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-04-28 |
確定日 | 2016-09-27 |
意匠に係る物品 | 粒子状物質除去フィルタ |
事件の表示 | 意願2015-3725「粒子状物質除去フィルタ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成27年(2015年)2月24日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「粒子状物質除去フィルタ」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す。」としたもの(以下,本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)である(別紙第1参照)。 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,本願の出願前に特許庁から発行された公開特許公報に記載の平成5年特許出願公開第005412号における図4に示されたフィルタトラップの意匠(のうち,中央の9つの目封じ部及びその周辺の開口部を含む部分,並びに(図示されていない)これらのフィルタ他端の部分)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.当審の判断 (1)意匠に係る物品について 意匠に係る物品については,本願意匠は「粒子状物質除去フィルタ」であり,引用意匠は「フィルタトラップ」であって,表記は異なるが,共に内燃機関用の排気フィルタであるので,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 (2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲 両部分は共に,円筒状の排気フィルタの端面中央に位置する,正面側では中央の施栓部及びその周辺の開口部を上下左右に3列3段並べた面積部分に当たる,隔壁によって仕切られた流路部分で,全ての流路につき,一端を開口し,他端を施栓したものであって,粒子状物質を残して排気ガスをろ過するものであるから,その用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲は一致する。 (3)形態について 両部分の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 なお,引用意匠の向きを,本願意匠の向きに合わせて認定する。 (3-1)共通点 1つのパターンは,正面側においては, ア.中央に大きな正方形の施栓部(以下「大閉部」という。)が1つあり,大閉部の四周に大閉部の約4分の1の面積の小さな正方形の開口部(以下「小開部」という。)が12個並んでいる(大閉部の上下左右辺に隣接して,それぞれに2個ずつ,大閉部の上下左右4つの角部に1個ずつで,計12個。)点, イ.上下または左右に隣り合うパターンは,小開部を共有している点, ウ.大閉部と小開部の大きさの関係を,構成する一辺の長さでいうと,小開部の一辺の長さの2倍(小開部2個分)に,(小開部と小開部の間に挟まれた)隔壁の厚さを足したものが,大閉部の一辺の長さとしている点,が共通する。 (3-2)相違点 それに対して,(a)正面側の大閉部につき,本願意匠は,大きな1つの流路を施栓したものであるのに対して,引用意匠は,小開部と同じ大きさの流路を4つ田の字に並べたものをそれぞれ施栓したものである点,(b)それに伴って,背面側の1パターンにつき,本願意匠は,中央に大きな正方形の大開部が1つあり,大開部の四周に小閉部が12個並んでいるのに対して,引用意匠は,中央に田の字に並んだ4つの小開部があり,その四周に小開部が12個並んでいる点,(c)パターンの並べ方につき,本願意匠は,段ごとに約4分の1ずつ(小開部1つ分ずつ)横にずれる態様であるのに対して,引用意匠は,ずれていない点,で相違する。 (4)類否判断 正面側における共通点は,パターン1つを取り上げて観察した場合,同一といってよいものである。しかし,両部分の正面側を対比観察した場合は,相違点(c)によって,本願意匠は,大閉部が段ごとにずれて表れるもので,引用意匠は,大閉部が上下左右に整然と並んで表れるものであるから,両者の間に共通感は生じない。なお,原査定の拒絶の理由には「本願意匠のようにずれたものも,引用意匠のようにずれていないものも存在することを考慮すると,当該相違が類否判断に及ぼす影響は限定的である」旨述べているが,両態様が出願前より公知であったとしても,視覚を通じて観察した場合,共通感が生じない事実を変えることはできない。 次に背面側の態様であるが,相違点(b)及び(c)によって,本願意匠が,中央に大きな正方形の大開部が1つあり,その四周に小閉部が12個並んでいるパターンが約4分の1ずつ(小閉部1つ分ずつ)横にずれている態様であるのに対して,引用意匠は,中央に田の字に並んだ4つの小開部があり,その四周に小閉部が12個並んでいるパターンがずれずに上下左右に3列3段並んでいる態様であるから,共通感が生じることはない。 そして,上記の正面側の態様及び背面側の態様は,需要者に対して,両意匠は異なる印象を与えるものであって,両意匠の類否判断に多大な影響を及ぼすものである。 そうすると,相違点(a)ないし(c)は,正面側の抽出した1つのパターンにおける態様,という共通点のみから醸し出される共通感を越える異なった印象を両意匠に与えるものであるから,需要者に両意匠が別異であると認識させるものといえる。 したがって,両意匠の意匠に係る物品は共通し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が一致しているが,両部分の形態は,上記検討のとおり,類似しないから,両意匠は,類似しているとはいえない。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-09-12 |
出願番号 | 意願2015-3725(D2015-3725) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(K9)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 大峰 勝士 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 橘 崇生 |
登録日 | 2016-10-14 |
登録番号 | 意匠登録第1562972号(D1562972) |
代理人 | 宗助 智左子 |
代理人 | 松井 宏記 |