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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1322343 
審判番号 不服2016-5573
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-15 
確定日 2016-11-01 
意匠に係る物品 発光ダイオードランプ 
事件の表示 意願2015- 575「発光ダイオードランプ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)1月15日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「発光ダイオードランプ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて,両意匠という。)は,
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2010年 8月 2日
受入日 特許庁意匠課受入2010年 8月 6日
掲載者 W.W. Grainger, Inc.
表題 LED Lamp, LED2/A15/C
掲載ページのアドレス http://www.grainger.com/Grainger/items/5WMG2?Pid=search
に掲載された「電球」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ22029657号)
であって,その形態は,同サイト掲載ページの写真版及びその関連する記載に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「発光ダイオードランプ」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「電球」であるが,掲載ページの表題から「LED Lamp」であり,発光ダイオードを用いた電球であると認められるので,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。
(2)形態
両意匠の形態を対比すると,主として,以下の共通点と差異点が認められる。
なお,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。
(2-1)共通点
基本的構成態様として,
(A)全体は,透光性部材からなる下端切削した略球状のランプカバー部(以下,「ランプカバー部」という。)と周側面がわずかに内方に湾曲した略逆円錐台形状の筐体部(以下,「筐体部」という。)及び略円柱形状の口金部(以下,「口金部」という。)からなる構成とした点,
具体的構成態様として,
(B)全体の縦横比率が約2:1である点,
(C)口金部の外周に螺合畝を施し,下端には下に向かって縮径する突出部を設けている点,
が共通している。
(2-2)相違点
具体的構成態様として,
(ア)ランプカバー部,筐体部及び口金部の縦の長さの比率が,本願意匠は,約6.5:3.5:3でありランプカバー部,筐体部,口金部の順に長いのに対し,引用意匠は,約6:3:4であって,ランプカバー部,口金部,筐体部の順であり,ランプカバー部,筐体部及び口金部のそれぞれの縦横比率が本願意匠は約7:7.5,2:3,1:1であるのに対し,引用意匠は3:3.5,3:5.5,1:1であって,各部位の縦横比率から,本願意匠はランプカバー部が横幅に対して長さはごくわずかに短めでほぼ等しく,筐体部は横幅に対して短めで口金部は横幅に対してほぼ等しいものであるのに対し,引用意匠はランプカバー部が横幅に対してやや短めで筐体部は横幅に対して短めで口金部は横幅に対してほぼ等しいものである点,
(イ)ランプカバー部の具体的形状について,本願意匠は,上方約7分の6はほぼ球状で,下方約7分の1を下に向かって縮径するごくわずかに内方に湾曲した傾斜周側面としたような略バルーン状の態様としたものであるのに対し,引用意匠は,ほぼ球状で下約6分の1を切削したような略バルーン状の態様である点,
(ウ)筐体部の具体的形状について,本願意匠は,筐体部を内方にわずかに湾曲した漸次縮径する周側面からなる略逆円錐台形状とし,筐体部の上端,ランプカバー部に接する箇所に鉛直面からなる細幅環状の帯状縁部(以下,「上部帯状部」という)を設け,筐体部周側面を経て,下端の口金部に接する箇所にも鉛直面からなる細幅環状の帯状縁部(以下,「下部帯状部」という)を設けているのに対し,引用意匠は,筐体部を内方にわずかに湾曲した漸次縮径する周側面からなる略逆円錐台形状とし,筐体部の上下端部に帯状縁部のないものである点,
(エ)筐体部の下部態様について,本願意匠は,筐体部の周側面を経て下部帯状部に至る箇所に鈍角の(約125度)角張った段部を設けその下に下部帯状部が設けられているのに対し,引用意匠は,筐体部の下部に段部は設けず,そのまま口金部に接合したものである点,
(オ)口金部の底部について,本願意匠は,底面に1段ずつ小径の略逆円錐台形状の突出部を2段,さらに略円板状の突出部を下方に設けて3段状のものとし,その中央先端部はやや丸みを帯びて突出しているのに対して,引用意匠は,底面に1段ずつわずかに小径の略逆円錐台形状の2段重ねた突出部を下方に設け,その中央先端部は2段目突出部と一体に緩やかな山状に突出したものである点,
で相違している。

2.両意匠の類否
以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の意匠全体としての類否を検討し,判断する。

両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,形態については,以下のとおりである。
(1)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(A)は,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎず,周側面が内方にわずかに湾曲したものについても,発光ダイオードランプの分野では,ごく普通に見られるものであるから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。 また,具体的構成態様としてあげた共通点(B)も,この種発光ダイオードランプの分野においては,ごくありふれた縦横比率でよく見受けられることから,この点が,看者の注意を惹くものとはいえず,
また(C)の口金部の外周に螺合畝を施し,下端には下に向かって縮径する突出部を設けている点は,口金部の概括的態様に係る共通点でもあり,この種,発光ダイオードの分野おいて,ごく普通に見受けられる口金部の態様であって,この点が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
よって,共通点(A)ないし(C)の両意匠の類否判断に及ぼす影響は共に小さく,共通点全体があいまって生ずる効果を考慮したとしても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
(2)相違点の評価
これに対して,両意匠の具体的構成態様に係る各相違点は,相違点(ア)については,全体の中での各部の長さの比率が,本願意匠は,ランプカバー部,筐体部,口金部の順に長いのに対し,引用意匠は,筐体部の長さがもっとも短く,口金部と筐体部の長さ比率が本願意匠の長さ比率と逆転しており,各部位の縦横比についても,ランプカバー部における相違は,ほぼ縦横比率の等しい本願意匠に対しやや扁平な引用意匠の縦横比率の相違は顕著であって,それらの相違は,全体の具体的プロポーションにかかるものであるから,この点が類否判断に与える影響は大きい。
次に(イ)のランプカバー部の具体的形状について,筐体部に接する箇所の手前の部分的相違ではあるが,ランプカバー部の周側面の具体的な形状の相違であって,筐体部に接する箇所の手前は,全体の中で中央部に位置し,発光ダイオードランプのランプカバー部として,看者も一定の注意を払うところでもあって,両意匠の印象に関わり,一定程度の類否判断への影響を与えるものである。
また,相違点(ウ)及び(エ)については,筐体部の具体的形状に係り,上端部及び下縁部の帯状部の有無及び,下部の本願意匠における下部帯状部直上の位置の段部の有無についてであるが,上下に鉛直面からなる帯状部と段状に縮径してなる段部から形成される断続的変化のある側面態様に対して,ランプカバー部との接合部からそのまま口金部へとなだらかに連なる側面態様とする相違は,筐体部の形状の印象に大きく関わり,全体のプロポーションについても,段状の区切りをもって断続的な印象を与えるものか,連続的になだらかに連なって流れを意識させるものかにおいて,その印象を異にするものであって,これらの点が類否判断に与える影響は大きいといえる。
そして,(オ)の口金部先端部の形状の相違は,口金部先端部は,使用時にはあまり観察できない部位ではあるが,先端部は緩やかな山状に突出した2段構造からなるものと先端の突出した3段構造からなる形状のものとでは,視覚的に与える印象は異なり,本願意匠のように3段構造からなるものはそれほどありふれた口金の態様ともいえないから類否判断に与える影響は小さいとはいえない。
そうすると,(ア),(ウ)及び(エ)が類否判断に与える影響は大きく,相違点(イ)については類否判断に一定の影響を与えるものであって,(オ)についてもその影響は小さいものとはいえないから,それら相違点(ア)ないし(オ)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると,相違点は,共通点を凌駕して,両意匠を別異のものと印象づけるものであるから本願意匠が引用意匠に類似するということはできない。
(3)小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,共通するが,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,両意匠は,意匠全体として別異のものと印象付けるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-10-18 
出願番号 意願2015-575(D2015-575) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 清水 玲香 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 渡邉 久美
刈間 宏信
登録日 2016-12-16 
登録番号 意匠登録第1567436号(D1567436) 
代理人 鎌田 健司 
代理人 前田 浩夫 

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