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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5 |
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管理番号 | 1322347 |
審判番号 | 不服2016-6235 |
総通号数 | 205 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2017-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-04-26 |
確定日 | 2016-11-09 |
意匠に係る物品 | タンブラー |
事件の表示 | 意願2015- 1323「タンブラー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成27年(2015年)1月26日に意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「タンブラー」とし,その形態を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(本願の出願前発行の刊行物に掲載された意匠に類似するため,同条同項の規定により意匠登録を受けることができない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願の出願前に特許庁発行の意匠公報に掲載された意匠登録第1426375号の意匠(以下,「引用意匠」という。)であり,その形態は,同公報に掲載されたとおりとしたものである。(別紙第2参照)。 第3 当審の判断 以下,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比することにより,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行い,本願意匠が,引用意匠に類似するか否かについて判断する。 1.両意匠の共通点及び相違点の認定 (1)両意匠の共通点の認定 意匠に係る物品は,両意匠ともに飲用食器の「タンブラー」であるから一致する。 形態については,主に,以下の(A)ないし(D)の点が共通する。 (A)全体を縦長で下方が窄まった有底略円筒形状とし,(B)外周面は底部から上方へ向けて垂直部を経て広がり,側面視凹弧状になるように形成し,途中から曲面が緩やかに反転して外側に向けて側面視凸弧状に膨らんだ形態としたものであって,(C)内周面の口部寄りの厚みを薄く形成し,(D)底部に平面視円形状の浅い凹部を設けたものである。 (2)両意匠の相違点の認定 形態について,主に,以下の(ア)ないし(エ)の点が相違する。 (ア)全体の構成比率について,本願意匠は,全体の高さと口部の直径の比率を約5対2,口部の直径と底部の径の比率を約4対3としたものであるのに対して,引用意匠は,それぞれを約2対1,約5対4としたものである。 (イ)外周面の具体的な態様について,本願意匠は,外周面の側面視凹弧状部から側面視凸弧状部に反転する位置を,底部から全体の高さの約30%上がったところとし,当該位置から上方を,口部の上端部の直径が最も大きくなるように緩やかに膨らんだ側面視凸弧状部としたものであるのに対して,引用意匠は,外周面の側面視凹弧状部から側面視凸弧状部に反転する位置を,底部から全体の高さの約50%上がったところとし,当該位置から上方を,底部から全体の高さの約85%上がった位置において直径が最も大きくなるように膨らんだ側面視凸弧状部とし,徐々に直径を狭めた口部寄りの上端付近を垂直状に形成したものである。 (ウ)内周面の口部寄りの具体的な態様について,本願意匠は,底部から全体の高さの約85%上がった位置に全周にわたり僅かに段部を設けて,飲料水等を入れる目安としたものであり,口部の上端から前記段差部までを傾斜状としたものであるのに対して,引用意匠は,本願意匠に見られるような段部を形成せず,口部上端から,短い垂直部を経て,底部から全体の高さの約90%上がった位置までを短い傾斜部としたものである。 (エ)底部の具体的な態様について,本願意匠は,平面視円形の浅い凹部を2段形成し,中央に略半球状の凹部を設けたものであるのに対して,引用意匠は,平面視円形の浅い凹部を1段形成したものである。 2.両意匠の共通点及び相違点の評価 (1)両意匠の共通点の評価 共通点(A)ないし(D)からなる態様は,意匠全体を大まかに捉えたものであり,また,本願意匠の属する物品分野において,目新しい態様といえる程のものでもないから,共通点(A)ないし(D)のみでもって両意匠の類否判断を決するまでには至らない。 (2)両意匠の相違点の評価 相違点(ア)は,全体の構成比率についての相違であるが,本願意匠が引用意匠よりも全体として細身の形状であることを印象づけるものであり,一見してすぐ気付く態様における相違であるから,相違点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。 相違点(イ)は,外周面の具体的な態様についての相違であるが,外周面の広い範囲に及ぶものであって,目につきやすく,シルエットが大きく相違するものであるから,看者に異なる印象与え,相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 相違点(ウ)は,内周面の口部寄りの具体的な態様についての相違であるが,特に段部の有無は,段部が内周面に設けられた僅かなものであるとしても,使用時に上から見た場合においては目につく部分に係るものであり,奥まで肉厚が薄い印象の本願意匠と口部のみ肉厚が薄い印象の引用意匠とは,看者に与える印象が異なるから,相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響を軽視することはできない。 相違点(エ)は,底部の具体的な態様についての相違であるが,通常目に触れにくい部分に係る僅かな相違であるから,相違点(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。 そうすると,両意匠の相違点は,特に相違点(イ)の与える印象に加えて,その余の相違点(ア)及び(ウ)が相俟って,両意匠に視覚的に異なる印象を与えるものといえる。 3.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品について共通するものの,その形態において,相違点が相俟って生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕するものであって,意匠全体として異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するものではない。 第4 むすび 以上のとおりであり,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-10-28 |
出願番号 | 意願2015-1323(D2015-1323) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
山田 繁和 |
特許庁審判官 |
正田 毅 江塚 尚弘 |
登録日 | 2016-12-09 |
登録番号 | 意匠登録第1567109号(D1567109) |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 大槻 真紀子 |
代理人 | 棚井 澄雄 |
代理人 | 大槻 真紀子 |
代理人 | 安部 聡 |
代理人 | 大槻 真紀子 |
代理人 | 安部 聡 |
代理人 | 棚井 澄雄 |
代理人 | 久我 貴洋 |
代理人 | 安部 聡 |
代理人 | 棚井 澄雄 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 久我 貴洋 |
代理人 | 久我 貴洋 |