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審決分類 審判 査定不服  意7条一意匠一出願 取り消して登録 C5
管理番号 1324926 
審判番号 不服2016-13853
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-15 
確定日 2017-02-03 
意匠に係る物品 飲用グラス 
事件の表示 意願2015- 10118「飲用グラス」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする,平成27年(2015年)5月8日に出願された意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品は,「飲用グラス」であり,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」ともいう。)は,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであって,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。「A-A断面図」を含めて部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)(別紙参照)。

第2 原査定における拒絶の理由
平成28年1月28日付けの原査定における拒絶の理由の要旨は,本願は一意匠ごとにされた意匠登録出願とは認められず,意匠法第7条に規定する要件を満たしていないとするものであり,具体的には,
「この意匠登録出願の意匠は,意匠に係る物品を飲用グラスとし,意匠登録を受けようとする部分を実線で表されたものですが,願書及び添付図面の記載によりますと,飲用グラスの本体容器部を実線で表した部分と,本体容器部の底部に取り付けられた台座部の凹状底面を実線で表した部分との2つの部分が表され,この両部分は,飲用グラスの上下に物理的に分離して表されたものであり,形態としての一体性または機能的一体性が認められず,飲用グラスの二つの部分意匠に係るものであり,一意匠とは認められません。(なお,上記2つの部分意匠を,何れか一つに補正,あるいはこの意匠登録出願を,意匠法第10条の2の規定により分割した場合には,この拒絶理由は解消します。)」というものである。

第3 本願意匠の経緯
出願人(請求人)は上記の拒絶理由に対し,平成28年3月8日の意見書で本願意匠は,願書の記載及び添付図面で明らかなように,透明なガラス容器部の下面縁部と台座部の上面縁部を接着して,物理的に分離不可能に一体に形成した飲用グラスに係るもので,台座部の上面凹部及び外周側面の表面に模様等を施すことを想定した意匠であり,本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は,上記の台座部の上面凹部及び外周側面の模様等を施す表面部分を除いた部分であって,言い換えれば,全体の意匠から模様等を除いた形状に関するものであるといえ,本願意匠部分は,飲用グラスの本体容器部を実線で表した部分と,本体容器部の底部に取り付けられた台座部の凹状底面を実線で表した部分との2つの部分が表されたものではなく,本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は,部分意匠としての一定のまとまりを有し,且つ,視覚を通じて美観を起こさせるものであって,一意匠として認められるべきものである旨意見を述べた。
しかし,原審において,添付図面からは,破線で表した部分が,模様等を表す表面部分(表層部分)を示すものであると解することは困難であり,本願意匠は,未だグラス本体容器部と台座部の上端寄り区画と,台座部の下端寄りの区画を(破線により)物理的に分離した2つの部分を表したものと認められるから意見書の主張は採用することができないとされ,平成28年7月8日付けの拒絶の査定を受けたものである。
そこで,請求人(出願人)は,平成28年9月15日に査定不服の審判を請求し,審判請求書において,審判請求書と同日に手続補正書を提出し,本願意匠を一つの部分意匠に補正したので,原査定の理由は解消し,本願意匠は,登録されるべきものである旨,申し述べるとともに,当該手続補正により,添付図面の全図面を変更する補正を行った。

第4 当審の判断
本願が,意匠法第7条の要件を満たす意匠ごとの出願であるか否かについて,以下検討する。
(1)本願意匠の形態
添付図面において,本願意匠部分を含む全体形状は,中空の略逆円錐台形状のグラス部の底面側に縁部を接合して成る中空の略円錐台形状の台部からなり,グラス部底面と台部上面との接合部近縁は接合された縁部を除いてグラス部底面と台部上面の間に扁平な空間が設けられている。そして,上記手続補正書により補正された結果,本願意匠部分は,台部の上辺部の僅かに下方の周面を一点鎖線で一周し,扁平空間内の台部上面部分を略円形状に一点鎖線で区画して下方を全て除いた台部の一部と上方のグラス部とから成る範囲であって,台部の上辺付近の部分を僅かに含んだ略グラス部分として,実線と一点鎖線で囲まれた1つの部分となった。
よって,本願は,上記手続補正により,物品に表された一の意匠登録を受けようとする部分の意匠のみについて意匠登録を受けようとする出願となった。
(2)意匠法第7条の要件を満たすか否かの判断
したがって,本願は,一の意匠のみについて意匠登録を受けようとする出願であって,本願は一意匠ごとにされた意匠登録出願とは認められるから,意匠法第7条に規定する要件を満たしているものである。

第5 むすび
以上のとおりであって,原査定における拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることができない。

また,本願について,他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2017-01-18 
出願番号 意願2015-10118(D2015-10118) 
審決分類 D 1 8・ 52- WY (C5)
最終処分 成立  
前審関与審査官 内藤 弘樹 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 渡邉 久美
刈間 宏信
登録日 2017-02-17 
登録番号 意匠登録第1571895号(D1571895) 
代理人 日高 一樹 

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