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審決分類 |
審判 判定 同一・類似 属さない(申立不成立) L3 |
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管理番号 | 1325936 |
判定請求番号 | 判定2016-600040 |
総通号数 | 208 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠判定公報 |
発行日 | 2017-04-28 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2016-08-10 |
確定日 | 2017-03-21 |
意匠に係る物品 | 倉庫 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1381993号の判定請求事件について,次のとおり判定する。 |
結論 | イ号意匠の図面及びその説明により示された「倉庫」の意匠は,登録第1381993号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。 |
理由 |
第1 本件判定請求の趣旨及びその理由 1 請求の趣旨 本件判定請求人(以下,「請求人」という。)は,「イ号製品の意匠(以下,「イ号意匠」という。)は,登録第1381993号意匠(以下,「本件登録意匠」という。)及びこれに類似する意匠の範囲に属する,との判定を求める」と申立て,その理由として,要旨以下「2 請求理由」のとおりの主張をし,証拠方法として「3 添付物件」のとおり,甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。 2 請求の理由 (1)判定請求の必要性 ア イ号製品と被請求人との関係 被請求人のうち,株式会社北信越地域資源研究所は,イ号製品に示す構造物であるコンテナ様の資材を利用した飲食店・事務所を,一般の利用に供している者である。 また,中野一敏氏は,一級建築士であり,同建築物の設計を行った者である。 イ 請求人と被請求人の関係 請求人は,コンテナ型モジュール建築(コンテナハウス)のトータルサプライヤーであり,様々なタイプのコンテナ型モジュールを提供している者であり,物の保管の用途にとどまらず,例えば,住宅,店舗(飲食店,グッズショップ等)などを含むコンテナ型モジュール建築を提供している。 (甲第1号証から甲第4号証) 請求人は,被請求人のうち,中野一敏氏(以下,「被請求人(2)」という。)との間で,下記ウで述べるメールのやりとりを行っている。 また,請求人は,被請求人との間で,請求人の保有に係る別の登録意匠である登録第1381992号意匠とイ号意匠の関係に関して,書簡のやりとりを行っている(やりとりの詳細は登録第1381992号意匠に係る判定請求書の中で述べたとおりである)。 ウ 請求人と被請求人(2)のメールのやりとりの概要 請求人は,被請求人(2)から問い合わせを受けたことをきっかけに,メールや電話でのやりとりを開始した。 請求人は,被請求人(2)の求めに応じて,平成27年4月8日に被請求人(2)に対し,コンテナの図面を送付した。送付時のメールにて,請求人は,「高さがノーマルコンテナですので,ハイキューブコンテナの場合,外面を2896mmに合わせて下さい」などと被請求人(2)の設計に資するための記載を書き添えた。 これに対し,被請求人(2)は,返信メールにて,図面送付に対する謝辞を述べるとともに,「納品先は上越妙高駅西口である」旨を述べている。 その後,同年4月9日から4月21日までの間,両者は,コンテナの納品や見積もり等について,数回にわたり,メールでやりとりしている(甲第5号証)。 このような経緯から,請求人としては,被請求人(2)が,請求人から入手した図面を上越妙高駅西口に設置する施設の設計に利用する意図であると考えていたが,この図面を利用するのだとすれば,実際のイ号製品の製造に際しても請求人販売に係るコンテナモジュールを発注するものと考えていたが,請求人のコンテナモジュールの販売については,その後,実現せずに終わっている。 (2)本件登録意匠の手続の経緯 本件登録意匠の手続の経緯は,次のとおりである。 出願 平成21年7月9日(意願2009-015645号) 登録査定 平成21年12月28日(起案日),(平成22年1月7日発送) 設定登録 平成22年2月5日(登録第1381993号) (3)本件登録意匠の説明 ア 意匠に係る物品 組立て倉庫 (当審注:意匠登録1381993号の意匠に係る物品は「倉庫」である。) イ 基本的構成態様 柱および梁を含むフレームに屋根板,壁板,床板などを取り付けて構成される鋼製の組立て倉庫であって,以下の点を基本的構成態様とするものである。 なお,本件登録意匠において正面と背面は対象に現れるため,イ号意匠との比較の便宜上,以下では,本件登録意匠公報に現れている背面を正面として論じる。 (A)正面方向から見て右側の相当部分を占める左右方向に長手方向を有する室を備える。 (B)正面方向から見て左端部分に室外に張り出した屋根で覆われている空間が設けられている ウ 具体的構成態様 (C)屋根に細長い略長方形の補強用の窪みが施されている (D)屋根の形状が平板である (E)上記(B)の空間を覆う屋根の端部が柱で支えられている (F)上記(B)の空間を通じて正面側から背面側を見通せるようになっている エ 本件登録意匠の特徴 本件登録意匠は,上記イで挙げた(A)から(C)の基本的構成態様を有することを特徴とするが,後述(5)で述べるように,特に(B)「正面方向から見て左端部分に室外に張り出した屋根で覆われている空間が設けられている」という基本的構成態様の特徴が際立っており,本件登録意匠の支配的特徴を構成する。 (4)イ号意匠の説明 ア イ号製品 イ号意匠は,北陸新幹線上越妙高駅西口駅前広場の「フルサット」に所在するコンテナ様資材を利用した構造物(被請求人の提供するホームページに掲載されているもの)であって,上記設置場所において,店舗等として使用しているものである(甲第6号証)。 イ イ号意匠の構成態様 (ア)概要 イ号の構成態様は,本件登録意匠とイ号意匠の参考比較図に示すように,左右に本件登録意匠の全部に相当する構成部分(以下「本件登録意匠相当部分」という。)を配置するとともに,これらと連接して中央に登録第1381994号意匠の全部に相当する構成部分を配置した態様を有する(甲第8号証)。なお,登録第1381994号意匠も請求人の保有に係る登録意匠である。 以下の説明においては,便宜上,二個の本件登録意匠相当部分のうち,左側に配置されている構成部分を「左側部」,右側に配置されている構成部分を「右側部」と呼び,中央に配置されている登録第1381994号意匠の全部に相当する構成部分を「中央部」と呼ぶ。 (イ)イ号意匠と他の意匠を組み合わせることについて ところで,本件登録意匠は,意匠公報の意匠に係る物品の説明からも明らかなとおり20フィートタイプの海上コンテナ(外法寸法:長さ約6.1m×幅約2.4m×高さ約2.6m)を用いることを想定したものである。 海上コンテナにおいて20フィートタイプのものは40フィートタイプのものと並んで広く用いられ,その場合に,同タイプのものを横に並べるなどのありふれた手法により組み合わせて使用することも広く行われているものである。 またその際に,本件登録意匠と20フィートタイプの海上コンテナを用いることを想定した他の登録意匠を横に並べる形で組み合わせて使用することも,当業者が容易になし得ることである。 この点,登録第1381994号意匠も20フィートタイプの海上コンテナを用いることを想定したものである。つまり,本件登録意匠と登録第1381994号意匠とを組み合わせて用いることはこれらの意匠登録出願時から想定されていたものである。そして,請求人が様々なタイプのコンテナ型モジュール建築を提供してきたことなどにより,今や複数のコンテナを組み合わせて使用することはコンテナ型モジュール建築に係る業界においてふつうに行われるようになっているといえる。 したがって,本件登録意匠と登録第1381994号意匠と同様の意匠とをありふれた手法により組み合わせて使用することは当業者であれば容易になし得ることである。 以上より,イ号意匠の各構成部分のうち,左側部及び右側部がそれぞれ本件登録意匠に類似し,かつ,中央部が登録意匠第1381994号意匠に類似すれば,全体としてイ号意匠は本件登録意匠と登録意匠第1381994号意匠を組み合わせた意匠に類似するものであるといえる。 以下,イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部及び右側部と本件登録意匠との類否について検討する。なお,イ号意匠を構成する中央部と登録第1381994号意匠との類否については,別途判定請求を行っている。 (ウ)イ号意匠の本件登録意匠相当部分の基本的構成態様 イ号意匠の本件登録意匠相当部分である左側部及び右側部の構成態様を,本件登録意匠の各構成態様(A)から(F)に対応させて説明すれば,以下のとおりと特定することができる。なお,以下の説明は,特に断りのない限り左側部と右側部に共通するものである。 (a)正面方向から見て右側の相当部分を占める左右方向に長手方向を有する室を備える (b)正面方向から見て左端部分に室外に張り出した屋根で覆われている空間が設けられている (エ)イ号意匠の本件登録意匠相当部分の具体的構成態様 (c)屋根に細長い略長方形の補強用の窪みが施されている (d)屋根の形状が三角形状である (e)上記(b)の空間を覆う屋根の端部は,左側部については柱で支えられている(甲第6号証,特に第4ページの左側面図を参照)。 一方,右側部については,当該端部がその左側に連結する中央部の右端に接するように設けられているため,これを支える柱は設けられていない。 (f)右側部については,上記(b)に空間を通じて正面側から背面側を見通せるようになっているが,左側部については,当該空間の正面・左側面及び背面に複数枚の板を巡らせてなる板壁が形成され,当該空間を燃料容器等の収納スペースとして利用できるようにしており,このため正面側から背面側を見通すことができないようになっている。 (5)両意匠の比較検討 ア 本件登録意匠とイ号意匠の本件登録意匠相当部分の共通点と差異点 本件登録意匠とイ号意匠の本件登録意匠相当部分とを対比すると,本件登録意匠の基本的構成態様として,(A)(B)と(a)(b)のすべての点でイ号意匠の本件登録意匠相当部分の基本的構成態様と一致する。 他方,具体的構成態様においては,両意匠は(C)と(c)の点で一致する。 また,(D)と(d)の相違である屋根の形状については,平板な形状も三角形状も,いずれも一般的にありふれている形状である(甲第7号証)。 そうすると,一般的な屋根の形状を本件登録意匠に応用することで,イ号意匠に容易に辿り着くことができるものであり,改変容易なものである。 また,(E)と(e)の点に関する右側部の相違について,コンテナから張り出した屋根の端部を柱に代えて他の構造部分に接することで支えられるようにすることはありふれた改変にすぎない。 したがって,このような一般的な接続方法を本件登録意匠に応用することでイ号意匠に辿り着くことができるものであり,改変容易なものである。 さらに,(F)と(f)の点に関する右側部の相違については,このような室外の隣接空間を板などで囲んで燃料容器等の収納スペースとして利用することはごくふつうに行われていることであり,これによりこの空間から正面側から背面側を見通すことができないようになったとしても,本件登録意匠の基本的構成態様の際だった特徴である「正面方向から見て左端部分に室外に張り出した屋根で覆われている空間が設けられている」という形態が明瞭に現れていることに変わりはない。 したがって,このような改変も容易なものである。 以上より,具体的構成態様においても両者は実質的に一致しているといえる。 したがって,本件登録意匠とイ号意匠の本件登録意匠相当部分は,類似する。 (6)結論 よって,イ号意匠は,本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するものである。 3 証拠方法 甲第1号証 請求人のホームページの記事 甲第2号証 請求人が提供してきたコンテナ型構造物の一例写真 甲第3号証 「楽天koboスタジアム宮城 楽天イーグルスショップ」で検索した場合の画像一覧 甲第4号証 「新豊洲マジックビーチ」で検索した場合の画像一覧 甲第5号証 請求人と中野一敏氏とのメール 甲第6号証 イ号製品 甲第6号証の2 イ号製品(イ号製品部分を赤で囲んだもの) 甲第7号証 一般的な屋根の形状の画像 甲第8号証 本件登録意匠とイ号意匠の参考比較図 第2 被請求人の答弁 1 答弁の趣旨 イ号図面代用写真並びにその説明書に示すイ号製品の意匠(以下,「イ号意匠」という。)は,意匠登録第1381993号の意匠(以下,「本件登録意匠」という。)及びこれに類似する意匠の範囲に属しない,との判定を求める。 2 答弁の理由 (1)本件登録意匠について ア 意匠に係る物品 請求人は「組立て倉庫」と主張するが,誤りである。意匠登録原簿によれば,本件登録意匠の意匠に係る物品は,「倉庫」である。 イ 基本的構成態様 (ア)全体形状は,正面視において,縦横比率を約1対2.3,側方視の縦横比率を約1対1とする略横長直方体である。 (イ)請求人と同様に,意匠公報掲載の背面図を正面図として観察すれば,正面視,左側の略4分の1の容積部分を,空間部分とし,その余の容積部分を室としている。 ウ 具体的構成態様 (ウ)略横長直方体の上面部には,平面図及び参考斜視図によれば,前方から後方に向かう細幅の突条を,当該突条幅の略2倍の幅で等間隔に規則的に形成した,略平坦面状の屋根を形成している。 (エ)空部分は,左側面に,2枚の観音開きの扉が設けられている。 (オ)空間部分の左端前後の角部にそれぞれ断面L字状の細い柱が垂立している。 エ 本件登録意匠の特徴 本件登録意匠の基本的構成態様である, (ア)全体が,正面視縦横比率を約1対2.3,側方視の縦横比率を約1対1とする横長直方体形状とし, (イ)正面視,左側の略4分の1の容積部分を,空間部分とし,その余の容積部分を室とした態様は,従来の意匠に見られない斬新な態様であり,本件登録意匠の特徴である。 (2)イ号意匠について ア イ号意匠の特定について 請求人が主張する「フルサット」は,被請求人が,コンテナを利用して建設した商業施設であり,北陸新幹線上越妙高駅西口駅前広場に所在(〒943-0861新潟県上越市大和5丁目12 大和5-26-1)し,店舗等として使用しているものである(乙第1号証)。 しかし,請求人が,甲第6号証及び甲第6号証の2により特定したイ号意匠は,甲第6号証の2の「正面」と手書きされた写真版から判断して,商業施設「フルサット」(以下,「本施設」という。)の一部分である,一番奥の建築物部分を指しているものと考えられる(乙第2号証)。 イ 物品性について (ア)不動産であること イ号意匠を含む,本施設は,不動産である。 なぜならば,本施設は,新潟県上越市大和5丁目12 大和5-26-1の北陸新幹線上越妙高駅西口駅前広場という特定の土地の形状に合わせて建設された一品製作の建築物(不動産)だからである(乙第1号証)。 本施設は,動産である複数のコンテナを利用して建設されたものではあるが,当該建設現場において,その場で,職人により,複数のコンテナに屋根など設置したものであって,「工業的に量産され,販売時に動産として取り扱われるもの,例えば,門,組立てバンガロー」(意匠審査基準21.1.1.1(2)丸1)には,該当しない。 (イ)物品の一部分であること イ号意匠は,全体が扇型を呈する,不動産である本施設の一部分である(乙第2号証)。 すなわち,イ号意匠と隣接する建築部分は,屋根で物理的に一体となっていることが,甲第6号証の2の「右側図」及び「背面」の写真版,及び,乙第2号証の「フルサット 平面図」から,明らかである。 以上のとおり,イ号意匠は,「その物品を破壊することなしには分離できないもの(途中,省略)は,それのみで通常の取引状態において独立の製品として取引されるものではないことから,物品とは認められない。」との,意匠審査基準21.1.1.1(2)丸4に該当するものである。 (ウ)小括 以上のとおり,イ号意匠は,意匠法の物品に該当しない不動産であり,しかも,これは,不動産の一部分である。 したがって,イ号意匠は,意匠法上の物品に該当しないものである。 ウ イ号意匠の形態の基本的構成態様 (ア)イ号意匠は,正面視において,左側店舗部分と右側店舗部分の2つの店舗部分から構成されている。左側店舗部分の縦横比率は約1対4であり,右側店舗部分の縦横比率は約1対2である。そして,左右の店舗部分は,右側店舗部分の左右幅と略同幅の通路が形成されている。 左右の店舗部分を含めた,イ号意匠の全体形状は,正面視において,縦横比率を約1対6とする横長長方形状を呈している。そして,左側店舗部分の左側方視の縦横比率は約1対1.5であり,右側店舗部分の右側方視の縦横比率は約1対0.85である。 エ具体的構成態様 (イ)左側店舗部分は,正面部の右端寄りに4枚のガラス引き戸が設置され,その余の部分には,やや幅広の垂直突条部が等間隔に形成されている。 (ウ)右側店舗部分は,正面全面に,やや幅広の垂直突条部が等間隔に形成されている。 (エ)左右の店舗部分及び通路の上部には,左右方向に切り妻屋根が形成されている。 (オ)通路の上部には,正面側から背面側方向に切り妻屋根が形成されており,平面視において,屋根部全体は,変形十文字条を呈している。(乙第2号証 「フルサット平面図」)。 (カ)通路内部の左右側面は,商業施設の出入口等が形成され,複雑な形状を呈している(乙第3号証)。 (キ)左右方向の切り妻屋根は,左右側面視において,左右の店舗部分の壁部上端から,やや突出して傾斜した庇を形成している。 (ク)イ号意匠の左右側面部は,いずれも全体が壁部を形成し,人間の出入りできる開口部は存在しない。また,上部に山形状の切り妻屋根が形成されている。 オ 本件登録意匠とイ号意匠の類否判断 (ア)意匠に係る物品 前述のとおり,本件登録意匠が「倉庫」であるのに対し,イ号意匠に係る物品は,不動産である本施設の一部分であって,意匠法上の物品に該当しない。 したがって,本件登録意匠とイ号意匠の意匠に係る物品は,意匠法上,同一または類似する物品とは,到底言うことができない。 (イ)形態の共通点 両意匠の全体形状が,略横長直方体状である。 (ウ)形態の相違点 1)全体構成について 本件登録意匠は,一つの横長直方体形状の,いわゆる,「20フィートタイプの海上コンテナ」(判定請求書6頁上から5行目)であるのに対して,イ号意匠は,左側店舗部分が,いわゆる,40フィートコンテナであり,右側店舗部分は,いわゆる,20フィートコンテナという大きさの異なる2つのコンテナから形成されている。そのため,正面視において,本件登録意匠は,非常にコンパクト感を醸し出しているのに対して,イ号意匠は,左右非対称形状を呈する,非常に大きなダイナミック感を醸し出している。 2)屋根について 本件登録意匠の屋根は,全体が略平坦面状を呈しているのに対し,イ号意匠は,大小2つの切り妻屋根で形成され,平面視すると変形十文字状を呈している。 3)空間部分について 本件登録意匠の空間部分は,正面視,左側の略4分の1の容積部分であるのに対して,本件登録意匠には,当該空間部分に相当する空間部分は存在しない。 (エ)形態の共通点の評価 共通点は,概念的なものであって,類否判断には,全く影響を及ぼさない。 (オ)形態の相違点の評価 1)ないし3)の相違点は,両者を全体観察した場合,需要者に対し,全く異なる美感を呈しているものであって,本件登録意匠とイ号意匠との類否判断を決定づけている。 (カ)小括 以上のとおり,本件登録意匠とイ号意匠は,その形態において,相違点が共通点を凌駕し,意匠全体として観察した場合に,全く異なる美感を醸し出しているものである。 なお,請求人は,「全体としてイ号意匠は,本件登録意匠と登録第1381994号意匠を組み合わせた意匠に類似する」(判定請求書6頁最下行から7頁1行)と主張するが,請求人のこの主張は,請求の趣旨(判定請求書2頁8行)を逸脱するものである。 また,請求人は,甲第8号証において,正面図と記載した上で,1381993(本件登録意匠),1381994,及び1381993を組み合わせて,イ号意匠と対比している。 請求人のこの主張も,請求の趣旨(判定請求書2頁8行)を逸脱するものである。 この判定においては,請求の趣旨のとおり,本件登録意匠とイ号意匠を対比すべきである(乙第3号証)。 (3)結論 よって,イ号意匠は,本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。 3 証拠方法 乙第1号証 フルサットのホームページ 乙第2号証 フルサット全景のイメージ及び平面図 乙第3号証 本件登録意匠とイ号意匠の参考比較図 第3 被請求人の答弁に対する請求人の弁駁 1 答弁書に対する弁駁 答弁書の記載の被請求人の主張につき,必要な範囲で反論する。 (1)イ号意匠が意匠法上の「物品」に該当すること ア そもそも,被請求人が主張する内容であるイ号意匠の要素としての「物品」を動産に限定することは,法律に明文の規定があるものではない(例えば,法2条1項などを参照。以下,意匠法につき「法」という。)。判定請求物であるイ号意匠には,一般に工業上利用可能性は要件とされない(法23条。)。工業上利用可能性が要件とされるのは,登録意匠となる意匠についてである(法3条1項柱書)。登録意匠のための要件として工業上利用可能性が必要とされていること(法3条1項)を先取りして意匠の登録要件としての「物品」を解釈する場合があるが,この解釈をイ号意匠の物品の解釈にまで拡大することは法解釈上無用である。 イ 仮に被請求人が主張するように工業的に量産することが可能であるとの判断をすることが判定請求上必要な要件であるとしても,本件におけるイ号意匠は,工業的に量産することが可能な物であり,要素としての物品性を有していると考えられる。そして,工業的に量産することが可能な物とは,反復再現可能な物であると換言することができるところ,生産者(「職人」であるか否か)や生産場所は問わないというべきである。 本件におけるイ号意匠は,被請求人が言うように現地で一部がくみ上げられたものであるとしても,コンテナを基本要素として配置し,付随的にありふれた形態の屋根などを組みつけたものであり,その形態は,全体として反復再現可能な形態である。 したがって,本件におけるイ号意匠は,工業的に量産することが可能なものである。 ウ 以上からすれば,本件におけるイ号意匠が「物品」に該当するかを判定請求上判断することは不要であるが,もし必要であるとしても,イ号意匠が「物品」に該当することは明らかである。 (2)特定されるイ号意匠 ア 被請求人は,「イ号意匠は,全体が扇型を呈する,不動産である本施設の一部分である(乙第2号証)。すなわち,イ号意匠と隣接する建築部分は,屋根で物理的に一体となっていることが,甲第6号証の2の『右側図』及び『背面』の写真版,及び,乙第2号証の「フルサット 平面図」から,明らかである。以上のとおり,イ号意匠は,『その物品を破壊することなしには分離できないもの(途中,省略)は,それのみで通常の取引状態において独立の製品として取引されるものではないことから,物品とは認められない。』との,意匠審査基準21.1.1.1(2)丸4に該当するものである。」と主張している。 しかし,意匠審査基準の上記該当箇所(以下,単に「審査基準」として引用する)には,「その物品を破壊することなしには分離できないもの,例えば,『靴下』の一部である『靴下のかかと』は,それのみで通常の取引状態において独立の製品として取引されるものではないことから,物品とは認められない。ただし,完成品の中の一部を構成する部品(部分品)は,それが互換性を有しており,かつ通常の取引状態において独立の製品として取り引きされている場合には,物品と認められる。」と記載されており,仮にイ号意匠が上記ただし書にいう「それが互換性を有しており,かつ通常の取引状態において独立の製品として取り引きされている場合」にあたるのであれば,イ号意匠は物品にあたることとなる。 イ そこで検討するに,イ号意匠は,被請求人自身が認めているように,左側店舗部分である40フィートコンテナと,右側店舗部分である20フィートコンテナという2つのコンテナから形成されているものであると認められる。 40フィートコンテナや20フィートコンテナが量産可能な独立の製品として取引されているものであることは,請求人の商品サイト(URL:https://www.dvlp.jp/product/lineup.html)に当該商品が掲載されていること(甲第9号証)からも明らかである。また,当該サイトにも掲載されているように,通常の取引において,これらコンテナをカスタマイズしてイ号意匠のような形態としたものを取引対象として量産できることも明らかである。 特に,イ号意匠に関しては,判定請求書甲第5号証として提出済みの「請求人と中野一敏氏とのメール」において示したとおり,請求人と被請求人の一人である中野一敏氏との間で,40フィートコンテナ及び20フィートコンテナを対象として,請求人が中野一敏氏の要望に応じてカスタマイズしたものを製造する場合の費用見積もりなどに関するやりとりが行われていたという経緯がある。そして,かかる経緯から,両者の間で,当然このカスタマイズされたコンテナが販売対象であることが前提とされていたといえる。したがって,イ号意匠にかかる物品の取引という具体的なケースに関しても,中野一敏氏の要望に応じてカスタマイズされたコンテナとして,請求人が製造し,取引することが可能であったことが明らかである。 また,このような40フィートコンテナや20フィートコンテナ,あるいはこれらをカスタマイズしたイ号意匠のような製品は,これを量産することが可能であることから,これらは互換性を有するものであるといえる。 以上より,イ号意匠は,被請求人のいう「本施設」(審査基準にいう「完成品」)の中の一部を構成する部品(部分品)であって,互換性を有しており,かつ通常の取引状態において独立の製品として取り引きされているものであるから,物品と認められ,一の意匠として認定されるものである。 ウ なお,被請求人は,イ号意匠が物品とは認められない理由として,イ号意匠は審査基準にいう「その物品を破壊することなしには分離できないもの」にあたるということも挙げている。この点に関しては,審査基準に「その物品を破壊することなしには分離できないもの,例えば,『靴下』の一部である『靴下のかかと』は,それのみで通常の取引状態において独立の製品として取り引きされるものではないことから,物品とは認められない。」とあるように,「その物品を破壊することなしには分離できないもの」は「それのみで通常の取引状態において独立の製品として取り引きされるものではない」のであるから,上述のように独立の製品として取引対象となるイ号意匠が「その物品を破壊することなしには分離できないもの」にあたらないことは明らかである。したがって,この点についても被請求人の主張は妥当ではない。 (3)イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠範囲に属すること ア 請求書で述べたとおり,イ号意匠の構成態様は,左右に本件登録意匠の全部に相当する構成部分(以下「左右意匠」と称する)を配置するとともに,これらと連結して中央に登録第1381994号意匠の全部に相当する構成部分(以下「中央意匠」と称する)を配置した態様を有するものであり,しかもこれらをありふれた手法で並べたものにすぎない。そして,請求書で述べたとおり,これらの登録意匠の出願当時から,本件登録意匠と登録第1381994号意匠を組み合わせて用いることは想定されていたものであり,本件登録意匠若しくはこれに類似する意匠と登録第1381994号意匠もしくはこれに類似する意匠とをありふれた手法により組み合わせて用いることは当業者であれば容易になし得ることである。 このように,イ号意匠には,本件登録意匠の全部に相当する部分が用いられているのであるが,これはまさに本件登録する意匠に類似する形態を用いて視覚的を通じて本件登録意匠と同様の美感を起こさせる行為であるといえ,意匠の「実施」中の「使用」(法第2条第3項)に該当する行為であるといえる。 ところで,中央意匠は請求人の創作にかかるものであり,これに類似する範囲の意匠を権原のないものが実施する場合にはその部分には創作性は認められない。すなわち,中央意匠に被請求人の創作性は認められない。(なお,中央意匠については,別途請求を行っている意匠登録第1381994号判定請求事件に係る判定請求書参照)。 このことから明らかなように,本件登録意匠と直接比較すべき対象は,イ号意匠のうち左右意匠のそれぞれであって,イ号意匠全体ではない。しかるに,被請求人は,本件登録意匠とイ号意匠全体の比較を行うのみで本件登録意匠と左右意匠のそれぞれとの比較を行っていない。なお,同一または類似する意匠を多少の距離を離間して並べて実施することによって登録意匠の類似範囲外となることはない。ありふれた手法による構成要素の単位数や配置の変更にあたるからである。 本件登録意匠は,その基本的構成態様として「正面方向から見て左端部分に室外に張り出した屋根で覆われている空間が設けられている」点に支配的な特徴がある。 しかし,被請求人はこの本件登録意匠とイ号意匠全体の比較においてすら,何ら具体的な比較評価を行っていない。 即ち,被請求人は,本件登録意匠とイ号意匠全体の形態の共通点として,単に「両意匠の全体形状が,略横長直方体状である」と述べた上で,両者の構成態様である1)コンテナの大きさの違いとか,2)屋根の形状といった細部的な比較を行っているにすぎない(なお,3)空間部分についてはイ号意匠についての言及がないため比較の意味が不明である)。 しかし,被請求人が差異点として挙げている点は,上述のように要部が共通するにもかかわらず,この特徴点を凌駕するようなものではないと言える。被請求人は,上記の共通点が「概念的なもの」であって,「類否判断に全く影響を及ぼさない」としているが,「概念」と「美感」とがどのような関係であるとの前提に立ったうえでの主張であるか不明である。 イ 被請求人は,「請求人は『,「全体としてイ号意匠は,本件登録意匠と登録第1381994号意匠を組み合わせた意匠に類似する』と主張するが,請求人のこの主張は,請求の趣旨を逸脱するものである」,「請求人は,甲第8号証において,正面図と記載した上で,1381993(本件登録意匠),1381994,及び1381993を組み合わせて,イ号意匠と対比している。請求人のこの主張も,請求の趣旨を逸脱するものである。」,「この判定においては,請求の趣旨のとおり,本件登録意匠とイ号意匠を対比すべきである。」と主張している。 しかし,既に述べたように,請求人としては,イ号意匠は本件登録意匠の全部に相当する部分をその一部に用いているのであり,本件登録意匠と類似する意匠を実施していると考えている。そして,イ号意匠が本件登録意匠と類似する意匠を実施しているかどうかを論じるにあたっては,イ号意匠のうち本件登録意匠に相当する部分と本件登録意匠とを比較すべきであって,イ号意匠全体と本件登録意匠を比較すべきではない。 請求人は,イ号意匠のうち,本件登録意匠に相当する部分と本件登録意匠とを比較した上で,イ号意匠がその一部に本件登録意匠に類似する意匠を使用していることを明らかにすることによって,イ号意匠全体が本件登録意匠の実施にあたることを明らかにし,これにより,イ号意匠全体が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するとの判定を求めているのである。 このことから明らかなように,イ号意匠全体が,本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するかどうかを判断するうえで,中央意匠該当部分との比較は必要ではない。 現に本件登録意匠に係る判定請求書においては,イ号意匠と登録第1381994号との比較は行っていない(判定請求書6(4)イ(ウ),(エ)参照)。 また,判定請求書の甲第8号証において,イ号意匠の各構成部分と本件登録意匠との対比関係を示したのは,本件登録意匠及び登録意匠第1381994号意匠がはじめから互いに組み合わせて使用することを想定して創作されたものであることに照らし,イ号意匠の各構成部分が独立した製品として容易に分離可能であり,単なるありふれた組み合わせにすぎないことを示すためのものである。 また,判定請求書で「イ号意匠の各構成部分のうち,左側部及び右側部(注:「左右意匠」を指す)がそれぞれ本件意匠に類似し,かつ,中央部(注:「中央意匠」を指す)が登録第1381994号意匠に類似すれば,全体としてイ号意匠は本件登録意匠と登録第1381994号意匠を組み合わせた意匠に類似するものであるといえる。」と述べたのは,イ号意匠に特有の事情として,各構成部分のすべてがそれぞれ他人の登録意匠に類似しているとの事情が認められることから,イ号意匠が他人の登録意匠を実施する程度がいかに甚だしいかを強調するために述べたものにすぎない。 このように,請求人は,「全体としてイ号意匠は,本件登録意匠と登録第1381994号意匠を組み合わせた意匠に類似する」との判断を求めているわけではない。よって,被請求人の指摘する記載部分が請求の範囲を逸脱するとの主張は成り立たない。 なお,法においては,「物品」には「物品の部分」が含まれること(法第2条第1項)を前提として,物品の部分に係る形状等についても独創性が高く特徴ある創作が部分意匠として保護され,権原のない他人による当該部分意匠を含む意匠の実施に対しては,その部分意匠の意匠権の効力が及ぶところである。この点,イ号意匠は,その一部に本件登録意匠という独創的な創作を含むものであり,上に述べた部分意匠制度の趣旨に照らしても,このような本件登録意匠をその一部に取り込んだ意匠の実施が放置されるべきものではないことは明らかである。 2 証拠方法 甲第9号証 請求人の商品サイト(URL:https://www.dvlp.jp/product/lineup.html)の記事 第4 当審の判断 1 意匠の認定 (1)本件登録意匠 本件登録意匠は,平成21年(2009年)7月9日に出願され(意願2009-015645号),平成22年(2010年)2月5日に登録の設定(意匠登録第1381993号)がされたものであって,意匠に係る物品,及びその形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものであり(別紙第1参照),具体的には以下のとおりのものと認められる。 1)意匠に係る物品 本件登録意匠の意匠に係る物品は,物を収納するための「倉庫」である。 2)形態 ア 基本的構成態様 本件登録意匠の基本的構成態様は,右側面に観音扉をもち,その扉の前に正面側から前後方向に貫通する外廊下を備え,柱および梁を含むフレームに屋根板,壁板,床板などを取り付けて構成されたものであり,具体的には,それぞれ2本ずつの同一の長さの基礎梁と基礎桁に平坦な横長長方形状の床板を張って,連結具によって四隅に同一の長さの柱を立て,その柱の端に同一の長さの梁と桁を連結具によってつなげてフレームを構成し,床板と同じ大きさの略長方形状の平坦な天井板をつけて屋根板とし,正面及び背面に同じ大きさの略長方形状の平坦な壁板と左側面には略正方形状の平坦な壁板を張り,右側面には平坦な観音扉を設け,全体は,横幅と高さ及び奥行きの比を,約5:2:2とする略横長直方体形状の倉庫としたものであって,右側面の柱と柱の間を全面開口させ,さらに,正面右端及び背面左端にも横幅約1/4,縦に全高の開口を設けて倉庫室内右端に平面視縦長長方形状の通路を構成したものである。 イ 具体的構成態様 本件登録意匠の具体的構成態様は,まず,(1)屋根板の形態を,平面視において,20個の略縦長長方形状の窪みを等間隔に設けた略横長長方形の平板状とし,(2)正面及び背面の壁板は,それぞれ略横長長方形状の平坦なものとし,左側面の壁板は略正方形状の平坦なものであって,(3)倉庫室内の床板は,倉庫を構成する床板をそのまま利用したものであって,平坦なものとなっている。 また,(4)倉庫の右側面に設けられた扉は,平坦な観音扉としている。 (2)イ号意匠 イ号意匠の意匠に係る物品,及びその形態は,請求人が判定請求書に添付した「イ号意匠並びにその説明書」の記載及び写真に現されたとおりのものであり(別紙第2参照),請求人は,平成28年9月12日付けの審尋に対する,平成28年9月27付けの回答書により,甲第6号証の2を提出し,判定の対象について,イ号製品の全体を赤線で囲い,1つのイ号意匠を特定している。 しかし,被請求人が平成28年11月11日付けで提出した判定請求答弁書に対して,請求人は,弁駁において,「イ号意匠が本件登録意匠と類似する意匠を実施しているかどうかを論じるにあたっては,イ号意匠のうち本件登録意匠に相当する部分と本件登録意匠とを比較すべきであって,イ号意匠全体と本件登録意匠を比較すべきではない。」とも主張している。 そこで,イ号意匠について検討すると,請求人が,審尋に対する回答書において提出した甲第6号証の2における赤線で囲んだ部分をイ号意匠とするならば,本判定請求は,1つのイ号意匠について成されたものとなり,イ号意匠を特定することができるものと認められる。 一方,判定請求書及び弁駁書でいう,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部及び右側部と本件登録意匠」との判定を求めるものであるとすれば,イ号意匠が複数あるものであって,イ号意匠を特定することができず,本来,本件登録意匠相当部分である左側部と右側部のそれぞれを判定請求する必要があるものである。 そこで,本判定請求においては,イ号意匠を特定することを求めた審尋に対し,請求人は,審尋に対する回答書において甲第6号証の2によって,イ号製品を赤線で囲んだ部分をイ号意匠としていることから,イ号意匠全体を判定対象の意匠に選定して判定を行うものとする。 当審において選定した判定対象とする意匠の認定は,具体的には以下のとおりのものと認められる。 1)意匠に係る物品 イ号意匠の意匠に係る物品は,複数のコンテナを組み合わせ,屋根を設けて商業施設として利用する「施設物」である。 なお,被請求人は,イ号意匠を乙第3号証で示す施設物全体を捉えた上で,「動産である複数のコンテナを利用して建設されたものではあるが,当該建設現場において,その場で,職人により,複数のコンテナに屋根など設置したもの」とし,「工業的に量産され,販売時に動産として取り扱われるもの,例えば,門,組立てバンガロー」(意匠審査基準21.1.1.1(2)丸1)に該当せず,意匠法の物品に該当しない不動産の一部であると主張する。 しかしながら,まず,コンテナそのものは,柱や梁及び桁材によってフレームを構成し,屋根板,壁板,床板などを組み込み,扉や窓枠及び窓を取り付けて組み立てることができる量産可能なものであり,この量産可能なイ号意匠は,コンテナを組み合わせて屋根を設けたものにすぎず,事実,被請求人が提出した乙第2号証には,「フルサット全景のイメージ図」や「フルサット 平面図」において,イ号意匠と同様の施設物が4つ示され,同じ施設物が造られてもいることからも,量産可能なものと認められる。 さらには,イ号意匠は,設置後に土地に定着して全く移動できないものでもないことから,不動産であるとはいえないものである。 これらのことから,イ号意匠は「工業的に量産され,販売時に動産として取り扱われるもの」と認められ,意匠法の物品に該当しない不動産の一部であるとの主張は認められない。 2)形態 ア 基本的構成態様 イ号意匠の基本的構成態様は,全体は,左右に奥行き幅の異なる横長略直方体形状の施設物を,間を空けて配置し切り妻屋根を設けたものであり,具体的には,正面視において,左側を横幅と高さ及び奥行きの比を約8:2:3とする略横長直方体形状の施設物とし,右側を横幅と高さ及び奥行きの比を約5:2:2とする略横長直方体形状の施設物として,左右の施設物の間を全横幅の約1/6の幅を空けて通路としたものであって,左右の施設物の上に,左の施設物と右の施設物では角度の異なる切り妻屋根を右端から左端まで葺き,かつ,左右の施設物の間の通路の上にも前後方向に切り妻屋根を葺いて,左右方向と前後方向の切り妻屋根を,谷を設けてつないだものであり,左側の施設物の左端を平面視略逆コ字状に平板木材で壁を構成して囲んだ空間を持つものである。 なお,請求人が弁駁書でいう,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠の基本的構成態様は,全体は,正面視において,横幅と高さ及び奥行きの比を約5:2:2とする略横長直方体形状の施設物とし,その施設物の上に,切り妻屋根を施設物の右端から左端まで葺き,かつ,背面に4枚のガラス引き戸を設け,施設物の左端に,複数の平板木材によって平面視略逆コ字状に構成して囲んだ空間を持ち,右端には観音扉をもつものである。 一方,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である右側部」の意匠の基本的構成態様は,全体は,正面視において,横幅と高さ及び奥行きの比を約5:2:2とする略横長直方体形状の施設物とし,その施設物の上に,切り妻屋根を施設物の右端から左端まで葺き,施設物の左端に観音扉を持つものである。 イ 具体的構成態様 イ号意匠の具体的構成態様は,(a)屋根の形態を,平面視において略十字形状を成すように左右方向と前後方向の切り妻屋根をつないだものとし,端部には破風板を設けており,屋根板は,略角波板状である。また,(b)それぞれの施設物の壁は,全体を略四角形状とし,いずれの壁板も略角波板状であって,左側の施設物の正面右寄りの壁面と背面左寄りの壁面には,縦長の4枚のガラス引き戸が設けられ,(c)左施設物と右施設物の間は,地面に設置した基礎土台を床とする通路としたものであって,(d)左側の施設物と右側の施設物が向かい合う面には,壁面とほぼ同じ大きさの観音扉が配されている。 なお,請求人が弁駁書でいう,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠の具体的構成態様は,(e)屋根の形態を,切り妻屋根とし,屋根板は略角波板状であって,屋根の端部には破風板を設けたものとしている。また,(f)施設物の正面及び背面の壁は略四角形状であって,いずれの壁板も略角波板状としたものである。 (g)施設物の左端に平面視略逆コ字状に平板木材で囲んだ空間の床は,施設物の床ではなく,施設物を接地するために地面に設けた基礎であって,また,(h)背面に4枚のガラス引き戸を設け,施設物の左端の平面視略逆コ字状に囲んだ壁には,人の行き来ができる出入口はなく,扉も設けられておらず,右端に観音扉をもつものである。 また,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である右側部」の意匠の具体的構成態様は,(j)屋根の形態を,切り妻屋根を葺き,それらの屋根板は略角波板状であって,屋根の端部には破風板を設けたものとしている。また,(k)施設物の正面,背面及び右側面の壁は略四角形状であって,いずれの壁板も略角波板状としたものであり,(l)施設物の右端に観音扉をもつものである。 2 本件登録意匠とイ号意匠(以下,「両意匠」という。)との対比 (1)意匠に係る物品 本件登録意匠の意匠に係る物品は,物を収納するための「倉庫」であって,イ号意匠の意匠に係る物品は,商業施設として利用するための「施設物」であるものの,いずれもコンテナを利用して組立てた量産可能な動産であって,用途が相違するものであったとしても,いずれも組立て建築物に類するものと認められることから,意匠に係る物品が共通する。 (2)形態 1)形態の共通点 両意匠は,正面視において,横長の施設物としているといった共通点がある。 なお,請求人が弁駁書でいう,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠と本件登録意匠を比較した場合は,横長の施設物としているといった共通点がある。 また,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠と本件登録意匠を比較した場合は,横幅と高さ及び奥行き幅の比を約5:2:2とする略横長直方体の部分を有するといった共通点がある。 2)形態の相違点 本件登録意匠の倉庫は,基本的構成態様を,横幅と高さ及び奥行きの比を,約5:2:2とする略横長直方体形状とし,平坦な屋根と右側面に観音扉と通路を持つ倉庫としているのに対し,イ号意匠の基本的構成態様は,横幅と高さ及び奥行き幅の比をそれぞれ約8:2:3,約5:2:2とする構成比率の異なる2つの略横長直方体を,通路の左右に配置し,それら2つの略横長直方体及び通路の上に,平面視において略十字形状を成すように切り妻屋根を設けたものであるから,基本的構成態様は相違する。 なお,請求人が弁駁書でいう,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠と本件登録意匠を比較した場合には,本件登録意匠の倉庫は,基本的構成態様を,横幅と高さ及び奥行きの比を,約5:2:2とする略横長直方体形状とし,平坦な屋根と右側面に観音扉と通路を持つ倉庫としているのに対し,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠の基本的構成態様は,横幅と高さ及び奥行きの比を約8:2:3とする略横長直方体形状の施設物とし,屋根に切り妻屋根を葺き,かつ,背面に4枚のガラス引き戸を設け,施設物の左端に平面視略逆コ字状に平板木材で壁を構成して囲んだ空間を持つが通路は存在しないものであるから,基本的構成態様は相違する。 また,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である右側部」の意匠と本件登録意匠を比較した場合には,本件登録意匠の倉庫は,略横長直方体形状とし,平坦な屋根と右側面に観音扉と通路を持つものであるのに対し,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である右側部」の意匠の基本的構成態様は,全体は,略横長直方体形状の施設物に,切り妻屋根を施設物の右端から左端まで葺き,施設物の左端に観音扉はあるが通路は存在しないものであるから,基本的構成態様は相違する。 また,両意匠の主な具体的構成態様として, (a)本件登録意匠の屋根は,略横長直方体形状の倉庫の平坦な天井板を屋根板とし,20個の縦長略長方形状の窪みを等間隔に設けた平板状であるのに対し,イ号意匠の屋根は,左右の施設物の天井とは別に正面視において左右方向に切り妻屋根を葺いており,さらには左側の施設物と右側の施設物の間の通路の上に前後方向にも切り妻屋根を葺いて,それらの屋根を谷でつないだものであって,屋根板は略角波板状であって,屋根の端部に破風板を設けている点, (b)本件登録意匠の壁板は,平坦なものとしているのに対し,イ号意匠の壁板は,略角波板状である点, (c)本件登録意匠は,右側面の観音扉の前に,倉庫を構成する床板をそのまま利用した平坦な平面視略縦長長方形状の倉庫横幅約1/4の通路が形成されているのに対し,イ号意匠には,正面左側に平面視略逆コ字状に平板木材で囲んだ空間はあるものの,通路はなく,正面右側にも通路は存在しない点, (d)本件登録意匠は右側面に観音扉が設けられているのに対し,イ号意匠には,左側の施設物と右側の施設物が向かい合う面に,観音扉があるものの,施設物の左右どちらの面にも観音扉は設けられていない点 において相違する。 なお,請求人が弁駁書でいう,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠と形態を比較した場合には,両意匠の具体的構成態様は, (e)本件登録意匠の屋根は,略横長直方体形状の倉庫の平坦な天井板を屋根板とし,20個の縦長略長方形状の窪みを等間隔に設けた平板状であるのに対し,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠の屋根は,略横長直方体形状の施設物の天井とは別に切り妻屋根を葺き,屋根板は略角波板状であって,屋根の端部に破風板を設けている点, (f)本件登録意匠の壁板は,平坦なものとしているのに対し,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠の壁板は,略角波板状である点, (g)本件登録意匠は,右側面の観音扉の前に,倉庫を構成する床板をそのまま利用した平面視略縦長長方形状の倉庫横幅約1/4の通路が形成されているのに対し,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠には,平面視略逆コ字状に平板木材囲んだ空間はあるものの,通路はない点, (h)本件登録意匠は右側面に観音扉が設けられているのに対し,判定対象の意匠には,背面に4枚のガラス引き戸はあるものの,扉は設けられていない点, において相違する。 また,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である右側部」の意匠と形態を比較した場合には,両意匠の具体的構成態様は, (j)本件登録意匠の屋根は,略横長直方体形状の倉庫の平坦な天井板を屋根板とし,20個の略縦長長方形状の窪みを等間隔に設けた平板状であるのに対し,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である右側部」の意匠の屋根は,略横長直方体形状の施設物の天井とは別に切り妻屋根を葺き,屋根板は略角波板状であって,屋根の端部に破風板を設けている点, (k)本件登録意匠の壁板は,平坦なものとしているのに対し,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である右側部」の意匠の壁板は,略角波板状である点, (l)本件登録意匠は,右側面の観音扉の前に倉庫を構成する床板をそのまま利用した平面視略縦長長方形状の倉庫横幅約1/4の通路が形成されているのに対し,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である右側部」の意匠には,通路はない点, において相違する。 3 類否判断 (1)形態の共通点の評価 両意匠が,正面視において,横長の施設物としているといった共通点は,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから,両意匠の類否判断に影響を及ぼすものではなく,類否判断を決定づけるものでもない。 なお,仮に請求人が弁駁書でいう,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」及び「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である右側部」のいずれの意匠との比較であっても,イ号意匠全体と比較した場合と同様の評価であって,共通点はいずれの意匠も横長の施設物としているものであって,この共通点は形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎず,両意匠の類否判断に影響を及ぼすものではない。 (2)形態の相違点の評価 基本的構成態様は,意匠の類否判断を行う上で骨格を成す要素であり,この相違が需要者にとって別異な意匠とする印象を極めて強くもたらすものである。 そこで,両意匠の基本的構成態様の相違を評価すると,両意匠の基本的構成態様の大きな要素である全体構成比率の違いや施設物そのものの形態及び屋根,通路の構成態様の相違は,明らかに両意匠を別異の意匠とする印象を需要者にもたらす十分な相違であって,両意匠の類否判断を決定づけるものである。 なお,仮に請求人が弁駁書でいう,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠と比較した場合には,全体の施設物そのものの形態及び屋根,通路といった基本的構成態様が大きく相違し,両意匠を別異の意匠とする印象を需要者にもたらす十分な相違であって,両意匠の類否判断を決定づけるものである。 また,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である右側部」の意匠との比較においても,全体の施設物そのものの形態及び屋根,通路といった基本的構成態様が大きく相違し,両意匠を別異の意匠とする印象を需要者にもたらす十分な相違であって,両意匠の類否判断を決定づけるものである。 次に,両意匠の具体的構成態様の相違を評価すると, 本件登録意匠が平坦な屋根であって,窪みを持つ屋根板としているのに対し,イ号意匠の屋根が切り妻屋根を葺き,屋根板を角波板状としている相違点(a)については,倉庫の天井をそのまま屋根としたものと,施設物の天井とは別に切り妻屋根を葺いたものとでは,通常では,本件登録意匠が利用者から屋根が見えないのに対して,イ号意匠は屋根が見えるものとなっており,明らかに建物の立体感を印象づけ,形態の見た目の差異となって表れ,さらに,建築物の分野において,いずれも一般的にありふれている形状ではあるものの,屋根板の形状が,窪みであるか略角波状であるかの形状の相違も相俟って,需要者の意匠を別異なものとするに十分な印象をもたらすことから,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 また,壁板を平坦なものとしているか,略角波板状としているかの相違点(b)についても,建築物の分野において,いずれも一般的にありふれている形状ではあるが,本件登録意匠が,需要者が目にする面のほとんどが平坦な面であってシンプルな印象を与えるのに対して,イ号意匠のように,コンテナの壁をそのまま利用して凹凸があるものとでは,目につきやすい部分であることから,需要者に異なる視覚的印象を与え,この相違点(b)が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 そして,本件登録意匠には観音扉の前に通路があり,イ号意匠には通路がないことの相違点(c),観音扉が右側面に設けられているか否かの相違点(d)については,人の行き来を目的とする出入口を側面に設けている本件登録意匠に対して,イ号意匠の左側面は何らかのものを置いて保管するために設けた空間とし,右側面には通路も扉もないものとでは,いずれも形状が大きく異なることから,両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きい。 なお,仮に請求人が弁駁書でいう,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠と比較した場合には,具体的構成態様は大きく異なり,具体的には,窪みを持つ屋根板とし平坦な屋根の本件登録意匠と,屋根板を角波板状とし,切り妻屋根をもつものとでは,通常では,本件登録意匠が需要者から屋根が見えないのに対して,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠は,屋根が見えるものとなっており,明らかに建物の立体感を印象づけ,屋根板の形状も違い,見た目の印象が大きく異なるものであることから,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 また,壁板についても,窪みがある平坦なものと,略角波板状のものとでは,建築物の分野において,いずれも一般的にありふれている形状ではあるとはいえ,需要者が目にする面のほとんどが平坦な面であってシンプルな印象を与えるのに対して,コンテナの壁をそのまま利用して凹凸があるものとでは,目につきやすい部分であることから,需要者に異なる視覚的印象を与え,この相違点が類否判断に与える影響は大きい。 その他,正面と背面に壁面に4枚のガラス引き戸があるか否かの相違や平面視略逆コ字状に平板木材囲んだ空間があるかないか,通路の有無といった相違もあって,いずれの相違も形状が大きく異なることから,両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きい。 また,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である右側部」の意匠と比較した場合にも,具体的構成態様は大きく異なり,具体的には,窪みを持つ屋根板とし平坦な屋根の本件登録意匠と,屋根板を角波板状とし切り妻屋根をもつものとでは,通常では,本件登録意匠が利用者から屋根が見えないのに対して,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である右側部」の意匠は,屋根が見えるものとなっており,建物としての立体感を印象づけ,屋根板の形状も違い,見た目の印象が大きく異なるものであることから,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 また,壁板についても,窪みがある平坦なものと,略角波板状のものとでは,建築物の分野において,いずれも一般的にありふれている形状ではあるとはいえ,需要者が目にする面のほとんどが平坦な面であってシンプルな印象を与えるのに対して,コンテナの壁をそのまま利用して凹凸があるものとでは,目につきやすい部分であることから,需要者に異なる視覚的印象を与え,この相違点が類否判断に与える影響は大きい。 その他,通路があるかないかといった相違についても,大きく形状が異なり,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 なお,請求人は,本件登録意匠と意匠登録第1381994号意匠とを組み合わせてイ号意匠を作ることは,当業者であれば容易な創作であるから,それらはイ号意匠と実質的に一致している旨を主張するが,意匠法第3条第2項の規定は,「当業者が公然知られた形状,模様若しくは色彩またはこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができた意匠」は,意匠登録を受けることができないことを規定しているものであって,意匠が類似することを規定しているわけではない。 したがって,この請求人の主張は認められない。 (3)総合判断 上記のとおり,これらの基本的構成態様と具体的構成態様の相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいというべきである。そして,相違点(a)ないし(d)のそれぞれが需要者にもたらす視覚的効果の相違を考慮すると,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕して,両意匠は,意匠全体として意匠を別異なものとするというべきである。 なお,請求人が弁駁書でいう,「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である左側部」の意匠及び「イ号意匠を構成する本件登録意匠相当部分である右側部」の意匠について判断した場合も,イ号意匠全体と比べた場合と同様であり,基本的構成態様と具体的構成態様の相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいというべきであり,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両意匠は,意匠全体として意匠を別異なものとするというべきである。 第5 むすび 以上のとおりであるから,イ号意匠は,本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。 よって,結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2017-03-10 |
出願番号 | 意願2009-15645(D2009-15645) |
審決分類 |
D
1
2・
1-
ZB
(L3)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 木村 智加、菊地 拓哉 |
特許庁審判長 |
温品 博康 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 山田 繁和 |
登録日 | 2010-02-05 |
登録番号 | 意匠登録第1381993号(D1381993) |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 鶴谷 裕二 |
代理人 | 川崎 芳孝 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 佐々木 定雄 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 工藤 一郎 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 近藤 洋 |
代理人 | 川崎 芳孝 |
代理人 | 吉原 崇晃 |
代理人 | 佐々木 定雄 |
代理人 | 鶴谷 裕二 |