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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1331272 |
審判番号 | 不服2013-17836 |
総通号数 | 213 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2017-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-09-17 |
確定日 | 2014-07-28 |
意匠に係る物品 | 蓄電池 |
事件の表示 | 意願2012-13287「蓄電池」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成24年(2012年)6月5日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「蓄電池」とし,その形態は,願書の記載及び願書添付の図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。部分意匠として登録を受けようとする部分は,正面のうち,右側の約5分の1の領域と左側の約5分の2の領域を除いた矩形領域から,さらに,右端の端子の左上隅及び左下隅並びに右から2番目の端子の右上隅並びに右下隅を含む矩形一点鎖線領域と,右から2番目の端子の左上隅及び左下隅並びに右から3番目の端子の右上隅及び右下隅を含む一点鎖線矩形領域とを除いた部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由および引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁意匠課が平成24年(2012年)6月8日に受け入れた,電気通信回線の種類 インターネット,掲載確認日(公知日)2012年6月4日,掲載者W.W.Grainger,Inc.の「Adobe Scene7 Zoom」(掲載ページのアドレス http://productimages.grainger.com/s7viewers/dhtml/genericZoomMobile.html?serverUrl=http://productimages.grainger.com/is/image/&style=Grainger%2FCSS%2FbasicZoomMobile%2Ecss&contentRoot=http://productim)に掲載された「バッテリー」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ24009500号)において,本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する,端子が設けられた面の1箇所の端子とその両側の端子の一部が含まれた面の部分の意匠(以下,引用意匠において本願意匠の本願実線部分に相当する部分を「引用相当部分」という。)であって,その部分の形態は,同ページに掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品 両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「蓄電池」で,引用意匠は,「バッテリー」であるが,両意匠は,いずれもカメラなどに用いられる充電可能な蓄電池であり,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 (2)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願実線部分と引用相当部分(以下,「両部分」という。)は,偏平な略直方体形状の蓄電池の正面の端子のあるパネル部分(以下,「パネル部」という。)のうち,端子が設けられた面の1箇所の端子とその両側の端子の一部が含まれた面の部分に係るものであり,引用相当部分もほぼ同様であるから,両部分の意匠の用途及び機能は共通する。 位置,大きさ及び範囲については,本願実線部分は,パネル部の右側の約5分の1の領域と左側の約5分の2の領域を除いた矩形領域部分から,さらに,右端の端子の左上隅及び左下隅並びに右から2番目の端子の右上隅並びに右下隅を含む矩形一点鎖線領域と,右から2番目の端子の左上隅及び左下隅並びに右から3番目の端子の右上隅及び右下隅を含む一点鎖線矩形領域とを除いた部分に係るものであるのに対して,引用相当部分は,中央の端子の位置を基準とすると,パネル部の右側の約10分の1の領域と左側の約2分の1の領域を除いた矩形領域部分からなり,本願実線部分の一点鎖線領域に相当する部分であり,本願実線部分より正面視右側寄りで位置が異なるが,大きさ及び範囲は,共通する。 (3)形態 両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。 なお,両部分の意匠を同じ方向から対比するため,引用意匠を本願意匠の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定・対比する。 (3-1)形態の共通点 (A)部分全体を正面パネル部の右側寄りの上下一杯までとし,正面パネル部の正面視上方寄りに接続用の端子部(以下,「端子部」という。)を設け,中央の端子を挟んで,その両側の端子の中央端子寄りの一部を左右対称に配し,それぞれの端子部の間の縦の辺を除いた部分としている点, (B)端子部において略長方形状の端子窓部(以下,「端子窓部」という。)を全て同じ高さに配している点, において主に共通する。 (3-2)形態の差異点 (ア)端子窓部の下辺の高さについて本願実線部分は,正面パネルの略2分の1の高さに下辺が設けられているのに対して,引用相当部分は,正面パネルの略2.5分の1の高さで,本願実線部分よりやや高い位置に下辺が設けられている点, (イ)端子窓部の実線部分の縦の長さについて,本願実線部分は,端子窓部の実線部分の縦が長いのに対して,引用相当部分は,端子窓部の縦が短い点, (ウ)各端子窓部の上下辺の周縁部について,本願実線部分は,各端子窓部の上下辺の周縁部に正面からも視認できる傾斜面を有しているのに対して,引用相当部分は,各端子窓部の上下辺の周縁部にはっきりとした傾斜面は認識できない点, において主な差異が認められる。 4.類否判断 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は共通する。 (2)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 両部分の意匠の用途及び機能並びに大きさ及び範囲は共通する。 両部分の位置が異なる点については,端子部の位置は,使用時に需要者が大きな関心を持つ部位に係るもので,本願実線部分の領域に端子部を配した態様は,他の蓄電池には見られないもので,端子部が右側寄りの引用相当部分とは需要者に別異な印象を与えるものであり,その差異は,両部分の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。 (3)形態 (3-1)共通点の評価 そこで検討するに,共通点(A)については,部分全体の基本構成であるが,正面パネル部の正面視上方寄りに接続用の端子部を設けた態様は,この種の物品分野においては他にも見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。 また,共通点(B)は,端子部において略長方形状の端子窓部を全て同じ高さに配している態様について共通しているが,さほど特徴のないもので,両意匠のみに共通する態様とはいえず,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。 そして,共通点全体として両部分の意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両部分の意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 (3-2)差異点の評価 これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両部分の意匠の類否判断を決定付けるものである。 すなわち,差異点(ア)については,端子窓部の下辺の高さの差異は,端子窓部が正面パネルに占める大きさが異なるものであって,端子窓部が占める割合が大きい本願実線部分の態様は,端子窓部が占める割合が小さい引用相当部分とでは,需要者に与える印象が異なり,端子窓部については,使用時に需要者が注意を払う部位に係るものであるから,その差異は,両部分の意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。 また,差異点(イ)についても,端子窓部の縦の長さの差異は,細部に係るものではあるが,使用時に需要者が注意を払う部位に係るもので,端子窓部が縦長の本願実線部分の態様は,端子窓部の長さが短い引用相当部分とは,上記差異点(ア)と相俟って,両意匠に異なる印象を与えるものであるから,その差異は,両部分の意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。 さらに,差異点(ウ)についても,傾斜面の有無については,いずれもありふれた態様といえるものではあるが,傾斜面の有無によって,使用時に需要者が注意を払う端子窓部の印象に影響を与える差異であることから,その差異は,両意匠の類否判断に僅かではあるが影響を与えるものといえる。 (4)小括 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の意匠の用途及び機能並びに大きさ及び範囲が共通するものであるが,両部分の位置が異なっており,両部分の形態においても,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-07-15 |
出願番号 | 意願2012-13287(D2012-13287) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 江塚 尚弘、内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
綿貫 浩一 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2014-08-15 |
登録番号 | 意匠登録第1507034号(D1507034) |
代理人 | 折居 章 |
代理人 | 金子 彩子 |
代理人 | 吉田 望 |
代理人 | 中村 哲平 |
代理人 | 金山 慎太郎 |
代理人 | 大森 純一 |