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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 E3 |
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管理番号 | 1335202 |
審判番号 | 不服2017-11189 |
総通号数 | 217 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-01-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-07-27 |
確定日 | 2017-11-28 |
意匠に係る物品 | 野球用スイング練習具 |
事件の表示 | 意願2016- 17951「野球用スイング練習具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成28年(2016年)8月24日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「野球用スイング練習具」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面代用写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由および引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由として引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,以下のとおりであって,その形態は,同頁に掲載された写真に現されたとおりのものである。 引用意匠(別紙第2参照) ホームページの著作者 米国NPOインターネットアーカイブ (該当ページの著作者は elite grips) 表題 ISPEED ワンスピード 掲載箇所 添付のイメージ5/6ページ中,中央の白枠内上から3本目媒体のタイプ online 掲載年月日 2016年7月10日 検索日 2017年2月23日検索 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス URL:http://archive.org/web/web.php (該当ページのURLは http://www.elitegrips.com/grips/onespeed.html?lang=ja) 添付のイメージ5/6ページ中,中央白枠内上から3本目(オレンジ46inchと記載された)ゴルフ用スイング練習具の意匠 なお,添付のイメージ中,1枚目から3枚目は,該当ページまでのリンク状態を表したもので,矢印部をクリックしていくと,4枚目のページが表示され,下方にスクロールすると5枚目の該当ページが表示される。 また,6枚目は該当写真を拡大したものを参考のため添付したものである。 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「野球用スイング練習具」であり,引用意匠は,「ゴルフ用スイング練習具」であるが,いずれも球技用のスイング練習具であるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。 (1)共通点 (A)全体を,左右先端部の径を中央よりやや拡径した細長い略棒状とし,細長円筒形状のシャフト部(以下,「シャフト部」という。)の左右両端に同形状のグリップ部(以下,「グリップ部」という。)をはめ込んだものとした点, (B)シャフト部の長さをグリップ部の片側より長いものとした点, (C)グリップ部は,左右先端部を僅かに凸円弧状に膨出し,周側面を僅かに凹円弧状とし,先端部に向かって緩やかに拡径している点, において主に共通する。 (2)差異点 (ア)シャフト部の態様について,本願意匠は,シャフト部全体が中空の透明な部材であるのに対して,引用意匠は,不透明で全体が中空かどうか不明である点, (イ)シャフト部の径及びグリップ部の最大径と全体の横の長さとの比について,本願意匠は,シャフト部の径を1とすると,グリップ部の最大径と全体の横の長さとの比が約1:1.6:4.7であるのに対して,引用意匠は,約1:2:7.85で中央の径と最大径の差が大きく全体がやや細長い点, (ウ)全体の長さに占めるシャフト部の割合について,本願意匠は,約40%とし,グリップ部よりもやや短めであるのに対して,引用意匠は,約55%とし,グリップ部よりもやや長めである点, において主な差異が認められる。 4.類否判断 (1)共通点 そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成ではあるが,全体を,左右先端部の径を中央よりやや拡径した細長い略棒状とし,細長円筒形状のシャフト部の左右両端に同形状のグリップ部をはめ込んだものとした態様は,全体の構成が共通するものではあるが,この種の物品分野においては,両意匠以外にも既に見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,全体の構成が共通している点のみでは両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。 次に,共通点(B)についても,シャフト部の長さをグリップ部の片側の長さより長いものとした態様が共通しているが,この種の物品分野においては,両意匠以外にも既に多数見られる,ありふれた態様といえるものであるから,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 また,共通点(C)についても,グリップ部の左右先端部を僅かに凸円弧状に膨出し,周側面を僅かに凹円弧状とし,先端部に向かって緩やかに拡径した態様が共通しているが,この種の物品分野においては,グリップ部の左右先端部を僅かに凸円弧状に膨出させ,周側面を僅かに凹円弧状とし,先端部に向かって緩やかに拡径した態様も既に見られる態様で,本願意匠の態様に特徴があるものとはいえないのであるから,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 そして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 (2)差異点 これに対して,差異点に係る態様が相まって生じる視覚的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。 すなわち,まず,差異点(ア)のシャフト部全体が中空の透明な部材であるか否かについて,本願意匠は,シャフト部全体が中空の透明な部材であるため,部材の厚みと中空であることが外から視認できるのに対して,引用意匠は,不透明で全体が中空かどうか不明で,本願意匠のシャフト部の態様とは,見た目の印象が明確に異なるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。 次に,差異点(イ)のシャフト部の径及びグリップ部の最大径と全体の横の長さとの比について,中央の径と最大径の差が小さく全体がやや短い本願意匠の態様は,すっきりした印象を与えるものといえ,中央の径と最大径の差が大きく全体がやや細長い引用意匠の態様とは,視覚的な印象を異ならせるものであり,全体の比率については,使用時に需要者の関心を惹く部分であるから,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。 また,差異点(ウ)の全体の長さに占めるシャフト部の割合について,シャフト部の長さをグリップ部の片側より長いものとした共通する態様の中での部分的な差異ではあるが,シャフト部の割合が約40%でグリップ部よりもやや短めである本願意匠の態様は,コンパクトな印象を与え特徴的なものといえ,シャフト部の割合の差異により両意匠の使用時の印象が異なるもので,その差異は,両意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。 (3)小括 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2017-11-14 |
出願番号 | 意願2016-17951(D2016-17951) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(E3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 下村 圭子 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
正田 毅 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2017-12-15 |
登録番号 | 意匠登録第1594865号(D1594865) |
代理人 | 仲 晃一 |