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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C3
管理番号 1336216 
審判番号 不服2017-11913
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-09 
確定日 2017-12-05 
意匠に係る物品 洗浄パッド 
事件の表示 意願2016- 15498「洗浄パッド」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2016年(平成28年)1月22日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,物品の部分について意匠登録を受けようとする平成28年(2016年)7月21日の意匠登録出願であって, その意匠は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「洗浄パッド」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本願部分」という。)。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶理由
原査定における拒絶理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって,拒絶理由で引用した意匠(以下,「引用意匠」といい,「本願意匠」とあわせて「両意匠」という。)は,本願出願前,日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠,すなわち,特許庁特許情報課が2005年10月13日に受け入れた2005年9月20日発行の米国特許商標公報に記載された意匠特許第 US D509935S号の「スポンジ」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH17518334号)の本願部分に相当する部分の意匠(以下,本願部分に相当する引用意匠の部分を「引用部分」といい,「本願部分」とあわせて「両部分」という。)に類似するとしたものである。(別紙第2参照)


第3 当審の判断
1.両意匠の対比
図の対比のため,引用意匠の「Fig.3」を本願意匠の「平面図」,「Fig.4」を「背面図」として,図面の平仄を合わせる。
(1)意匠に係る物品
いずれも,手にとって洗浄に用いるパッドであるから,本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は,共通する。
(2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本願部分は,薄型の洗浄パッドの表裏のうち片側の表面の全体(すなわち,洗浄する対象に当てる面,又は,手を押し当てる面であり,本願部分では平面部である。)を部分とし,引用部分は,本願部分に相当する同様の部分であるから,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。
(3)両部分の形態
両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
(3-1)共通点
全体を,平坦な面とし,平面視で,六角形状として,相対する対の二辺を平行にして該二辺を同長とし,3対のうち1対だけを他の2対の辺の長さより長くしている点。
(3-2)差異点
(ア)長さを異にしている1対の辺の長さを,本願部分は,他の2対より約1.8倍としているのに対し,引用部分は,約0.65倍としている点,
(イ)表面の模様について,本願部分は,無模様としているのに対し,引用部分は,多孔質材料と推認され,その細孔が模様状に表れている点。

2.類否判断
以上の共通点及び差異点が,両部分の類否判断に及ぼす影響を評価し,総合して,両部分の類否を意匠全体として検討し,判断する。
両意匠は,意匠に係る物品,部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が共通するが,形態については,以下のとおりである。
(1)共通点の評価
共通点として挙げた,全体を,平坦な面とし,平面視で,六角形状とした点については,それだけでは概括的な形状というしかなく,両部分の類否判断を左右するとは言いがたい。
(2)差異点の評価
これに対して,差異点の(ア)と(イ)は,両部分の平面視での全体の具体的な形状と模様に関わるものであり,これらがあいまって類否判断に与える影響は大きい。
(ア)の3対のうち1対の縦の辺の,他の2対の斜めの辺に対する長さの比の差異について,本願部分は約1.8倍であるのに対し,引用部分は0.65倍であることで,平面視で,本願部分が正六角形を縦方向にいわば引き延ばした形状であるのに対して引用部分が正六角形を縦方向にいわば縮めた形状であって,形状を大きく異にするものであって,この差異点は,形態の全体の大きな部分を占め、意匠的なまとまりを形成していて,両部分の類否判断に影響を与えるものである。
(イ)の模様の有無の差異については,本願部分が無模様とするのに対し,引用部分は模様を施しているところ,引用部分の模様がスポンジ等の多孔質材料に見られるものであって該パッドとして特徴的なものとはいえないとしても,模様を有さない本願部分と表面全体に模様を有する引用部分とは視覚的な印象が異なるから,両部分の類否判断に一定程度の影響を及ぼすものである。
(3)小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,共通するが,両部分の形態においては,共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるに至らないものであるのに対して,差異点が両部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,差異点の評価は,共通点の評価を凌駕しているから,両部分は類似せず,よって,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。


第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-11-22 
出願番号 意願2016-15498(D2016-15498) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 桐野 あい伊藤 宏幸 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 宮田 莊平
江塚 尚弘
登録日 2018-01-12 
登録番号 意匠登録第1596793号(D1596793) 
代理人 青木 篤 
代理人 水野 みな子 
代理人 三橋 真二 
代理人 川崎 典子 

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