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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B4 |
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管理番号 | 1339228 |
審判番号 | 不服2017-14356 |
総通号数 | 221 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-09-28 |
確定日 | 2018-03-02 |
意匠に係る物品 | かばん用装飾金具 |
事件の表示 | 意願2017- 626「かばん用装飾金具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成29年(2017年)1月17日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「かばん用装飾金具」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付された写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由および引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は,特許庁総合情報館が2000年1月21日に受け入れた雑誌「ジェイ・ジェイ」2000年3月1日発行の第3号第162頁所載のかばん用の「装飾金具」(かばん略中央の半円状の装飾金具)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA12019280号)であって,その形態は,同頁に掲載された写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,両意匠は,いずれも,かばんの蓋部の正面の左右中央にはめ込まれて使用される,かばん用の「装飾金具」であるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。 (1)共通点 (A)全体を,略半円形状の枠状の装飾金具とし,正面側の表面において等幅の帯状で直線状の部分と円弧状の部分から形成されている点, (B)表面全体を金色とした点, において主に共通する。 (2)差異点 (ア)円弧状の部分の位置について,本願意匠は,円弧状の部分が下側で直線状の部分が上側にあるのに対して,引用意匠は,円弧状の部分が上側で直線状の部分が下側にある点, (イ)正面視した縦横比について,本願意匠は,約1:2であるのに対して,引用意匠は,約1:3で本願意匠より横長で縦が短い点, (ウ)側面の態様と奥行きについて,本願意匠は,略H字状に表側と裏側の面が突出した側面の態様が見え,表側が裏側より厚く形成され,内側の奥行きも視認できるのに対して,引用意匠は,側面の態様や奥行きが不明である点, (エ)文字部について,本願意匠は,表面の直線状の部分の中央部に文字部があるのに対して,引用意匠は,表面に文字部がない点, (オ)背面の態様について,本願意匠は,背面側にビス留め用の小円孔が円弧状の部分に5個で直線状の部分に3個,合計8個設けられているのに対して,引用意匠は,背面側の態様が視認できない点, において主な差異が認められる。 4.類否判断 (1)共通点 そこで検討するに,共通点(A)については,全体を,略半円形状の枠状の装飾金具とし,正面側の表面において等幅の帯状で直線状の部分と円弧状の部分から形成された態様は,全体の構成が共通するものではあるが,この種の物品分野においては,両意匠以外にも既に見られる,ありふれた態様といえるものであり,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,全体の構成が共通している点のみでは両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。 また,共通点(B)についても,表面全体を金色とした態様が共通しているが,両意匠と同様のものは,他にも見られるありふれた態様といえるものであり,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 そうすると,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 (2)差異点 これに対して,差異点に係る態様が相まって生じる視覚的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。 すなわち,まず,差異点(ア)の円弧状の部分が上にあるか下にあるかの差異について,本願意匠は,文字の向きに合わせれば人の口が開いた様な形で用いられるもので,上下が逆の形で用いられる引用意匠の態様とは,見た目の印象が明確に異なるものであり,この種の物品分野の需要者は,その点に着目するものであるから,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。 次に,差異点(イ)の縦横比の差異について,ほぼ半円形状である本願意匠の態様は,ゆったりした丸い印象を与えるものといえ,横長で縦が短い引用意匠は,シャープで鋭い印象を与えるものといえ,本願意匠の態様とは,視覚的な印象を異ならせるものであるから,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。 また,差異点(ウ)の側面の態様と奥行きについて,本願意匠は,側面の態様が見え,表側が裏側より厚く形成され,内側の奥行きも視認できるため,装飾金具としての全体形状が明確であるのに対して,引用意匠は,正面側のみの態様であるため,その全体の態様が不明であり,共通点が相まって醸成する態様のみでは,両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。 そして,差異点(エ)の文字部の有無については,表面に商標などの文字を付すことは,この種のかばんの装飾金具の分野においては,ありふれた態様といえるものであるが,表面に表れている差異であるから,その差異を無視することができず,本願意匠は,表面に文字部のない引用意匠とは,明確に異なるもので,その差異は,両意匠の類否判断に僅かではあるが影響を与えるものといえる。 さらに,差異点(オ)のビス留め用の小円孔の有無については,背面側の機能的な部分に係る態様といえるものではあるが,この種のかばんの装飾金具の分野においては,他に同様のビス留め用の小円孔を設けた態様が見当たらず,8個のビス留め用の小円孔を設けた本願意匠の態様は,細部ながら特徴があるといえるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に僅かに影響を与えるものといえる。 (3)小括 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-02-19 |
出願番号 | 意願2017-626(D2017-626) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田村 佳孝 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
正田 毅 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2018-04-13 |
登録番号 | 意匠登録第1603509号(D1603509) |
代理人 | 福田 伸一 |
代理人 | 高橋 克宗 |
代理人 | 水崎 慎 |