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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1340182 |
審判番号 | 不服2014-23969 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-11-25 |
確定日 | 2015-05-22 |
意匠に係る物品 | 振動センサー |
事件の表示 | 意願2013- 30978「振動センサー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,本意匠を意願2013-30976号(意匠登録第1501784号)(以下,「本意匠」という。)とする関連意匠の意匠登録出願として,平成25年(2013年)12月27日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「振動センサー」としたものであり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分(参考斜視図において薄墨で表した部分)が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び本意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。 その理由として,本願意匠は,当該物品における意匠登録を受けようとする部分の形状が前記本意匠と顕著に相違する,としたものである。 本意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成25年(2013年)12月27日に出願されたものであって,平成26年(2014年)年6月6日に意匠権の設定の登録がなされた意願2013-30976号(意匠登録第1501784号)の意匠であって,その意匠は,意匠に係る物品が「振動センサー」であり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分(参考斜視図において薄墨で表した部分)が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本意匠において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本意匠実線部分」という。)としたものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 そこで,本願意匠が本意匠と類似するか否かについて,以下検討する。 (1)意匠に係る物品 両意匠を対比すると,両意匠は,いずれも,例えばテニスラッケットその他の運動用具に取り付け,球が当たった際などの振動の記録に用いられる振動を感知する「振動センサー」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品が一致する。 (2)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願実線部分と本意匠実線部分(以下,「両部分」という。)は,いずれも運動用具に取り付け,振動の記録に用いられる振動センサーの頭部であって,部分意匠としての用途及び機能が共通し,また,共に略きのこ形状の振動センサーの頭部部分(以下,「頭部部分」という。)を部分意匠として登録を受けようとする部分としたものであり,両部分の位置,大きさ及び範囲も共通する。 (3)形態 両部分の形態については,主として,以下の共通点及び差異点が認められる。 (3-1)共通点 (A)部分全体を偏平な略半球状のドーム形状とし,略放射状に,側面視した上辺が略水平状で平面視が略帯状で,ドーム形状の頭部部分の外周方向に突出している突起部(以下,「突起部」という。)を配している点, (B)突起部と突起部の間のドーム形状部分の中央寄りに,平面視略隅丸台形状のボタン状部分(以下,「ボタン状部分」という。)を2個配している点, において主に共通する。 (3-2)差異点 (ア)突起部の態様について,本願実線部分は,突起部が縦断面視略偏平隅丸三角形状で平面視ハの字状と逆ハの字状に,上下対称に2個ずつ計4個配され,突起部が小さめで,平面視して上面の略帯状部(以下,「略帯状部」という。)が頭部部分の輪郭線の内側までであるのに対して,本意匠実線部分は,縦断面視略偏平隅丸倒台形状で放射線状に3個配され,突起部が大きめで,平面視して上面の略帯状部が頭部部分の輪郭線の外側まではみ出している点, (イ)ボタン状部分の態様について,本願実線部分は,左右の辺が直線状で縦と横の長さがほぼ同じで,縁部の幅が極細いのに対して,本意匠実線部分は,左右の辺が凸円弧状で横長で,縁部の幅が中くらいである点, (ウ)本願実線部分は,平面視左右に全体の半径の約7/10程の径の円弧状ラインがあるのに対して,本意匠実線部分は,円弧状ラインがなく,ボタン状部分がない突起部と突起部の間に極小の円形を2つ並列させ,平面視左側のボタン状部分の下方寄りに逆正三角形状の小凹部を設けている点, において主な差異が認められる。 4.類否判断 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は一致する。 (2)両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 両部分の用途及び機能が共通し,その位置,大きさ及び範囲も共通する。 (3)形態 そこで両部分の形態について検討するに,前記共通点(A)については,この種物品において,両部分のように部分全体を偏平な略半球状のドーム形状の頭部部分とし,略放射状に,側面視した上辺が略水平状で平面視が略帯状の外周方向に突出している突起部を配している態様は,両意匠の出願前には見られなかった特徴的なものといえ,両部分の類否判断に大きな影響を与えるものであり,また,共通点(B)については,この種の振動センサーの需要者にとって,突起部と突起部の間に平面視略隅丸台形状のボタン状部分を2個配した態様が共通する両部分の意匠は,需要者に共通感を抱かせるものであって,両部分の類否判断に影響を与えるものである。そして,これらの共通点は,全体としてみても両部分の類否判断を決定付けているものというべきである。 これに対し,差異点(ア)の突起部の形状や数の差異や,頭部部分の輪郭線の内側までか否かの差異については,突起部自体に着目した場合には,その差異は確かに認められるものではあるが,前記した共通点(A)及び(B)の顕著な共通性と両部分の共通する位置,大きさ及び範囲を考慮して比較した場合には,他には見られない運動用具に取り付けられるドーム形状の振動センサーであって,略放射状に突起部を配し,ボタン状部分を中央寄りに配した両部分の強く共通する態様が醸成する印象に埋没してしまうものといえるから,これらの差異点が両部分の類否判断に与える影響は微弱なものに過ぎない。 また,差異点(イ)のボタン状部分の形状の差異についても,ボタン状部分の形状のみに着目した場合には,その形状の差異が認識できるものではあるが,共通する部分の共通する態様における軽微な差異といえるものであるから,その差異点が両部分の類否判断に与える影響は微弱なものに過ぎない。 そして,差異点(ウ)については,円弧状ラインの有無や,極小の円形の有無,逆正三角形状の小凹部の有無であって,いずれも付加的な部分であって,それぞれが小さく目立たない部分であって,両部分の共通する態様における,部分的で軽微な差異といえるものであるから,看者の注意を惹くものとはいえず,両部分の類否判断にあたって格別の評価をすることはできない。 そうすると,共通点は,両部分に独自で特徴的なものであり,需要者の注意を強く惹き,共通の美感を起こさせるものであるのに対し,差異点は,その視覚に訴える意匠的効果としては格別の評価ができないものであるから,共通点が差異点を凌駕し,両部分の意匠は,類似するものと認められる。 (4)小括 以上のとおり,本願意匠と本意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の部分意匠としての用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲が共通し,また,その形態についても,差異が認められるものではあるが,全体としては共通点が差異点を凌駕し,相互に類似するものであるから,本願意匠は,本意匠を意願2013-30976号(意匠登録第1501784号)とする関連意匠として意匠登録を受けることができるものである。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するので,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-04-28 |
出願番号 | 意願2013-30978(D2013-30978) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 内藤 弘樹、上島 靖範 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
斉藤 孝恵 江塚 尚弘 |
登録日 | 2015-06-12 |
登録番号 | 意匠登録第1528928号(D1528928) |
代理人 | 五味 飛鳥 |