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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 A1 |
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管理番号 | 1342048 |
審判番号 | 不服2017-18778 |
総通号数 | 224 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-11-29 |
確定日 | 2018-06-16 |
意匠に係る物品 | 昆布巻き |
事件の表示 | 意願2016-25434「昆布巻き」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成28年(2016年)11月4日の意匠登録出願であって,同年12月6日付けの手続補正指令書(方式)に対し,同月26日付けで手続補正書(方式)によって補正をし,平成29年3月24日付けの拒絶理由の通知に対し,同年5月10日付けで意見書が提出されたが,同年8月30日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年11月29日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面代用写真によれば,意匠に係る物品を「昆布巻き」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様又は色彩の結合」を「形態」という。)を願書及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 すなわち,長方形の昆布で具材を三角形に包んで煮た昆布巻きであって,その形状は,相対的にやや肉厚の略直角二等辺三角形であって,正面と背面(願書に添付の図面(図面代用写真)においては「平面図」と「底面図」。)の中央部分は共にやや膨出した湾曲面としたものであり,その三角形の3辺(縁部)は,略半円弧状に丸まったものであって,その表面は,全体が艶やかな暗褐色である。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。 表題 お弁当におつまみに キャベツの三角春巻き 媒体のタイプ online 掲載年月日 2016年 3月22日 (更新日2016年4月6日) 検索日 2017年 3月 7日検索 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス https://cookpad.com/recipe/3764683 引用意匠 以下の,上記ウェブページの写し1枚目最上方の写真に表された「(写真中の皿上の左右略中央下方の他の春巻きの上にのった最も手前の)春巻き」の意匠 引用意匠の形状は,相対的にやや肉薄のものと推認できる略直角二等辺三角形であって,正面と背面の中央部分は共にやや膨出した湾曲面であり,その三角形の3辺の縁部は,略半円弧状に丸まっていると認められるものであって,その表面は,全体が小麦粉で作った薄皮のものを油で揚げたようなざらついたキツネ色である。 第4 対比 1.意匠に係る物品の対比 本願意匠に係る物品は「昆布巻き」であるのに対して,引用意匠に係る物品は「春巻き」である。 2.両意匠の形態の対比 両部分の形態を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (1)共通点について 基本的な形状として, ア.全体形状が,正面と背面の中央部分を共にやや膨出した湾曲面とした略直角二等辺三角形である点, が認められる。 具体的形状として, イ.三角形の3辺の縁部の形状は,略半円弧状に丸まっている点, が認められる。 (2)相違点について 具体的形態として, ア.厚みにつき,本願意匠は,相対的にやや肉厚のものであるのに対して,引用意匠は,やや肉薄のものである点, イ.表面全体の形態につき,本願意匠は,艶やかな暗褐色であるのに対して,引用意匠は,ざらついたキツネ色である点, が認められる。 第5 判断 1.意匠に係る物品の類否判断 本願意匠の「昆布巻き」は,一般に和食の一種として認識されるのに対して,引用意匠の「春巻き」は,中国料理として認識されるものであり,どちらも惣菜として用いられる製造食品であって,両意匠の意匠に係る物品は,類似する。 2.両意匠における形態の評価 (1)共通点 共通点ア.については,通常円柱形状や俵形にする「昆布巻き」においては,本願意匠は特徴的な形状と認識するものであるところ,その物品において特徴的な形状が,引用意匠と同様の略直角二等辺三角形であるから,概念的に似ているという感覚が生じるのであるから,類否判断に与える影響は一定程度認められる。 共通点イ.については,(ラビオリや餃子のように)前後のシート状食材を重ね合わせて貼り合わせる包み方など,中身の食材を食材で包む方法は色々あり,その結果端部形状が各種それぞれ異なるところ,両意匠は共に3辺の縁部形状が略半円弧状に丸まっているものであるから,類否判断に与える影響は一定程度認められる。 そして,中身の食材を食材で包んだ食品が数多く存在するところ,その多くは,略四角柱状,円柱状,球状のものであるから,当該共通点ア.と同イ.によって成す,略直角二等辺三角形の平板状で,3辺が半円弧状になっているものは,類否判断に与える影響は一定程度認められる。 (2)相違点 相違点ア.については,本願意匠は,視覚を通じてボリュームのある感じを生じさせるものであるのに対して,引用意匠は,視覚を通じて軽快感を生じさせるものであるから,両意匠の類否判断に与える影響を無視することはできない。 相違点イ.については,本願意匠は,昆布を煮たものと認識させる表面形態,すなわち,艶やかな暗褐色であるのに対して,引用意匠は,小麦粉で作った薄皮のものを油で揚げたものと認識させる表面形態,すなわち,ざらついたキツネ色であるから,類否判断に与える影響はとても大きい。 (3)両意匠における形状の類否判断 以上のとおり,共通点ア.ないしウ.によって,一定程度の共通感を生じさせてはいるが,限定的といえ,両意匠の類否判断を決するものとまではいえない。 それに対して,相違点ア.及び同イ.による形態の相違は,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。 4.両意匠における類否判断 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は類似するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形態は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠とは類似しない。 第6 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-05-29 |
出願番号 | 意願2016-25434(D2016-25434) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(A1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 下村 圭子 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2018-07-13 |
登録番号 | 意匠登録第1610404号(D1610404) |