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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C4 |
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管理番号 | 1344894 |
審判番号 | 不服2018-4916 |
総通号数 | 227 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-04-10 |
確定日 | 2018-09-25 |
意匠に係る物品 | 衛生マスク |
事件の表示 | 意願2017- 11505「衛生マスク」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成29年(2017年)5月30日の意匠登録出願であって,その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年10月31日付け 拒絶理由の通知 平成29年12月15日 意見書提出 平成30年 2月 5日付け 拒絶査定 平成30年 4月10日 審判請求 第2 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「衛生マスク」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した写真に現わされたとおりとし,「青色に着色した部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。各参考図は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分を破線で描いたものである。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁が平成22年1月12日に発行した意匠公報記載の意匠登録第1377307号の「衛生マスク」の意匠(以下「引用意匠」といい,本願部分に相当する部分を「引用部分」という。)であり,その形態を同公報に掲載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。 第4 対比 1.両意匠の意匠に係る物品 本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,どちらも「衛生マスク」である。 2.両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能は,どちらも衛生マスクにおける左右一対の耳掛け部として,マスク本体を保持するものであり,両部分の位置,大きさ及び範囲については,本願部分が,マスク本体の正面側において左右両端の上下両端寄りに接合されたものであって,耳掛け部の全体を範囲としたものであり,引用部分が,マスク本体の左右両端面の上下両端寄りに接合されたものであって,耳掛け部の全体を範囲としたものである。 3.両部分の形態 両部分の形態には,主に以下の共通点及び相違点が認められる。 (1)共通点 (a)左右対称の略倒U字状としたものである。 (b)同幅の扁平な紐状としたものである。 (2)相違点 (ア)断面の形態について,本願部分は,扁平略楕円形としたものであるのに対して,引用部分は,素材が不織布であることから,扁平略角丸長方形と推認されるものである。 (イ)表面の形態について,本願部分は,やや毛羽だったループパイル状としたものであるのに対して,引用部分は,平坦面状としたものである。 第5 判断 1.両意匠の意匠に係る物品について 両意匠の意匠に係る物品は,共に「衛生マスク」であるから,同一である。 2.両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲について 両部分の用途及び機能は,どちらも衛生マスクにおける左右一対の耳掛け部として,マスク本体を保持するものであるから,同一である。 両部分の位置,大きさ及び範囲は,耳掛け部の全体を範囲としたものであるから,範囲は同一であり,大きさも同一であるといえ,位置については,本願部分の両端部が,マスク本体の正面側において左右両端の上下両端寄りに接合されたものであるのに対して,引用部分の両端部が,マスク本体の左右両端面の上下両端寄りに接合されたものであり,耳掛け部の両端部の位置が相違するが,共に,ありふれた範囲内であるといえる。 3.両部分の形態について (1)共通点の評価 共通点(a)及び共通点(b)は,いずれも部分全体を概括したに過ぎないものであり,この種物品においては,ごく普通に見られる形態であるから,両部分のみの特徴とは認められず,部分全体について需要者にもたらす共通感は弱いといえるから,これらの共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 (2)相違点の評価 相違点(ア)及び相違点(イ)は,いずれも耳掛け部の全長にわたる具体的な形態の相違であり,本願部分に扁平としつつも膨らみのある形態であることを特徴付け,見た目に軟らかくて肌に優しいイメージを与え,他方の引用部分に単なる平べったい形態であることを特徴付け,見た目にシンプルなイメージを与え,両部分について視覚的に異なる印象を需要者にもたらすものであるから,これらの相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 4.類否 両部分について部分全体として総合的に観察した場合,上述の両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づけば,共通点(a)及び共通点(b)は,いずれも両部分の類否判断に及ぼす影響が小さいものであるのに対して,相違点(ア)及び相違点(イ)は,両部分の類否判断に及ぼす影響が大きいものであるから,これらの相違点は,両部分の類否判断を決するものといえる。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品が同一であり,両部分の用途及び機能,並びに大きさ及び範囲も同一であり,両部分の位置はありふれた範囲内のものであるが,両部分の形態において需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。 第6 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-09-11 |
出願番号 | 意願2017-11505(D2017-11505) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 桐野 あい |
特許庁審判長 |
温品 博康 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2018-10-26 |
登録番号 | 意匠登録第1618417号(D1618417) |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 伊東 忠彦 |