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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L6 |
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管理番号 | 1347718 |
審判番号 | 不服2018-10772 |
総通号数 | 230 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2019-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-08-07 |
確定日 | 2018-12-12 |
意匠に係る物品 | 建築用壁板 |
事件の表示 | 意願2017-5323「建築用壁板」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成29年(2017年)3月16日の意匠登録出願であって,同年12月25日付けの拒絶理由の通知に対し,平成30年2月27日に意見書が提出されたが,同年4月13日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年8月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面(図面代用写真)によれば,意匠に係る物品を「建築用壁板」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を,以下「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1009424号 (意匠に係る物品,建築用壁板)の意匠 第4 対比 1.意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は「建築用壁板」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「建築用壁板」である。 2.両意匠の形態の対比 両意匠の形態を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (1)共通点について ア.全体は,上下辺に接続部を有する横長長方形の壁板である点。 イ.壁板の表面に,横長長方形のブロックを上下左右に配し,各ブロックの境界として,縦横の格子状に目地が生じている点。 ウ.ブロックの表面には,岩肌を模した凹凸が形成されている点。 エ.板全体の縦横比を約1:6にしている点。 (2)相違点について ア.正面におけるブロックの段数と列数につき,本願意匠は,上下に12段,左右に12列としているのに対して,引用意匠は,9段,14列である点。 イ.各ブロックの縦横比につき,本願意匠は,約1:8であるのに対して,引用意匠は,約1:5である点。 ウ.ブロックの形態につき,本願意匠は,ブロックの表面に,凹凸から成る石肌状のもの,平行な右上がりの筋彫りが複数あるもの,平行な右下がりの筋彫りが複数あるものの3種類を有するのに対して,引用意匠は,ブロックの上下辺に段差を設けており,表面に,左右方向に直線状の筋彫りを有する点。 第5 判断 1.意匠に係る物品に対する判断 意匠に係る物品は,両意匠共に「建築用壁板」であるから,一致している。 2.両意匠における形態の評価 (1)共通点 共通点ア.については,建築用壁板としては,その全体形状を横長長方形とすることも,上下辺に接続部を設けることも,ごくありふれたものであるから,両意匠の類否判断に与える影響は,ほとんど無い。 共通点イ.については,この種物品分野においては,自然石を積み上げたように模したものや,色々な形状・大きさのブロックを不規則に配したようなものなど,様々なものが多種多様に見受けられるところ,1種類のブロックを規則正しく格子状に配していることから,両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度認められる。 共通点ウ.については,ブロックの表面を概括的に捉えたものであって,このような概括的に捉えた範ちゅうでは,この種物品分野においては,数多くのものが存在しており,両意匠のみの特徴とは認められず,この点によって,両意匠の類否判断を決することはできない。 共通点エ.については,この種物品分野においては,各種様々な比率のものが存在しているとはいえ,この比率のものも数多く存在していることから,この点が,両意匠の類否判断に与える影響は,小さいといえる。 (2)相違点について 相違点ア.は,相違点イ.と相まって,本願意匠は,横により細長いブロックが多数段並んでおり,シャープで軽快な印象を生じさせているのに対して,引用意匠は,相対的にやや太いブロックが並んでおり,重い印象を生じさせているものであるから,両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度認められる。 相違点ウ.については,本願意匠は,ブロックの表面が変化に富み,全体に動きのある軽快な印象を与えるのに対して,引用意匠は横方向の印象のみが生じているものであって,この相違点は,両意匠の類否判断に与える影響は,非常に大きい。 (3)両意匠における形態の類否判断 以上のとおり,共通点ア.ないしエ.は,いずれも両意匠の類否判断に与える影響が大きいものとは認められず,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点ア.は,相違点イ.と相まって,需要者に若干の別異の印象を起こさせ,なおかつ,相違点ウ.によって,需要者に非常に大きな別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。 よって,本願意匠の形態と引用意匠の形態は,類似しないと認められる。 3.両意匠における類否判断 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形態は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠とは類似しない。 第6 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-11-06 |
出願番号 | 意願2017-5323(D2017-5323) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 富永 亘 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2018-12-28 |
登録番号 | 意匠登録第1622949号(D1622949) |