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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 B4 |
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管理番号 | 1351480 |
審判番号 | 不服2018-17155 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-12-25 |
確定日 | 2019-04-19 |
意匠に係る物品 | かばん |
事件の表示 | 意願2017-22942「かばん」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとし,物品の部分について意匠登録を受けようとする,意願2017-22935号(意匠登録第1611131号)の意匠を本意匠とする関連意匠に係る,平成29年(2017年)10月17日の意匠登録出願であって,平成30年6月26日付けの拒絶理由の通知に対し,同年8月29日に意見書が提出されたが,同年9月25日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年12月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「かばん」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり「緑色に着色された部分を除く部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。拡大図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである(別紙第1参照)。 1 意匠に係る物品 本願意匠の,意匠に係る物品は「かばん」である。 2 本願部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,かばん本体の側面(以下「本体側面」ともいう。)における,馬の模様部分であり,本体側面の,上下方向中央の右端に位置する,高さが本体側面の約10分の1,横幅が本体側面の約10分の1の大きさ及び範囲であって,本体側面における馬の模様というかばんの装飾の用途及び機能を有している。 3 本願部分の形態 本願部分の形態は,前脚を上げ,後脚のみで立つ馬の横から見た姿であって,主に首の前,腹,後脚の一部及び尾の下側を濃い朱色とし,首の後,背及びその他を薄い朱色とし,顔部分,足の先及びその他の部分を白色とし,右前脚の一部を黒色としたものである。 第3 原査定における拒絶の理由及び本意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないから,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。 そして,本願の願書に記載した本意匠である意願2017-22935号(意匠登録第1611131号)は,部分意匠について意匠登録を受けようとして,平成29年10月17日に意匠登録出願され,その後,平成30年7月20日に意匠権の設定登録がされ,同年8月13日に意匠公報が発行されたものであって,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「かばん」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。 1 意匠に係る物品 本意匠の,意匠に係る物品は「かばん」である。 2 本意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 本意匠の意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本意匠部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は,かばん本体の側面(以下「本体側面」ともいう。)における,馬の模様部分であり,本体側面の,中心からやや左上方に位置する,高さが本体側面の約7分の1,横幅が本体側面(最大幅)の約13分の1の大きさ及び範囲であって,本体側面における馬の模様というかばんの装飾の用途及び機能を有している。 3 本意匠部分の形態 本意匠部分の形態は,前脚を上げ,後脚のみで立つ馬の横から見た姿であって,主に首の前,腹,後脚の一部及び尾の下側を濃い紫色とし,首の後,背及びその他を薄い紫色とし,顔部分,足の先及びその他の部分を白色とし,右前脚の一部を黒色としたものである。 第4 両意匠の対比 1 意匠に係る物品の対比 本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「かばん」である。 2 両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の対比 両部分は,いずれもかばん本体の側面における馬の模様部分であるから,かばんの装飾という用途及び機能を有している。 そして,その位置,大きさ及び範囲は,本願部分は,本体側面の,上下方向中央の右端に位置する,高さが本体側面の約10分の1,横幅が本体側面の約10分の1の大きさ及び範囲であるのに対して,本意匠部分は,本体側面の,中心からやや左上方に位置する,高さが本体側面の約7分の1,横幅が本体側面(最大幅)の約13分の1の大きさ及び範囲である。 3 両部分の形態の対比 両部分の形態を対比すると,以下に示す主な共通点及び相違点が認められる。 (1)共通点について ア 模様のモチーフにつき,前脚を上げ,後脚のみで立つ馬の横から見た姿とした点。 イ 模様の色の塗り分けにつき,主に首の前,腹,後脚の一部及び尾の下側を濃い赤系統の色とし,首の後,背及びその他を薄い赤系統の色とし,顔部分,足の先及びその他の部分を白色とし,右前脚の一部を黒色とした点。 (2)相違点について 模様に施した赤系統の色につき,本願部分は,朱色であるのに対して,本意匠部分は,紫色である点。 第5 判断 1 意匠に係る物品の類否判断 両意匠の,意匠に係る物品は,いずれも「かばん」であるから,一致している。 2 両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の評価 両部分は,いずれもかばん本体の側面における馬の模様部分であって,かばんの装飾という用途及び機能を有しているから,一致している。 そして,その位置,大きさ及び範囲は,いずれもかばんの模様部分として,特徴的なものではなく,ありふれた位置,大きさ及び範囲であると認められる。 3 両部分における形態の評価 (1)共通点について 共通点アについては,衣服やかばん,または布地においては,ありがちなモチーフといえるが,共通点イである,この模様の特徴的な色の塗り分け方と相まって,需要者にとって共通感を醸成させるものと認められるから,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 (2)相違点について 相違点については,若干色相が異なるが,共に赤系統の色といえるから,よく似た印象を醸し出し,両意匠の一致する特徴的な色の塗り分けの印象を覆すほどの相違とは認められず,両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。 (3)両部分における形態の類否判断 以上のとおり,共通点ア及び同イによって,両意匠の類否判断に与える影響は大きく,両意匠の類否判断を決するものといえるのに対して,相違点は,両意匠の類否判断に与える影響は限定的であり,この相違点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえない。 よって,本願部分の形態と本意匠部分の形態は,部分における全体観察においては類似していると認められる。 4 両意匠における類否判断 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の用途及び機能が一致し,両部分の位置,大きさ及び範囲はありふれた範囲内のものと認められ,両部分の形態は類似するものであるから,本願意匠と本意匠とは類似する。 また,本願は,その他,意匠法第10条第1項の要件を充足していると認められる。 第6 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するから,原審の拒絶理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2019-04-09 |
出願番号 | 意願2017-22942(D2017-22942) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(B4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田中 寛人 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2019-05-10 |
登録番号 | 意匠登録第1633305号(D1633305) |
代理人 | 藤本 昇 |
代理人 | 石井 隆明 |
代理人 | 野村 慎一 |