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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B4
管理番号 1352355 
審判番号 不服2018-11454
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-08-07 
確定日 2019-05-11 
意匠に係る物品 袋もの用提げ手 
事件の表示 意願2017- 18437「袋もの用提げ手」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年(2017年)8月9日の意匠登録出願であって、平成30年(2018年)2月5日付けの拒絶理由の通知に対し、同年3月16日付けで意見書が提出されたが、同年4月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月7日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願の意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「袋もの用提げ手」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠
特許庁意匠課が2005年11月11日に受け入れた
月刊いちご新聞No.453 2005年10月10日 第21頁所載
ハンドバックの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC17048121号)(別紙第2参照)

第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、紙袋等に取り付けて提げ手として用いる「袋もの用提げ手」であるのに対し、引用意匠の意匠に係る物品は、「ハンドバック」であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、相違するものである。

(2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下、「引用部分」といい、本願部分と引用部分を「両部分」という。)の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲については、共に帯状の提げ手の一部であって、提げ手の両端に位置する付け根に設けられた飾り部であるから一致する。

(3)両部分の形態
両部分の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、当審において、本願部分は、使用状態を示す参考図のように、破線で表された提げ手部を正面視、逆U字状に湾曲させ、本願部分を正面図の位置から下向きに90度回転させ、引用部分の向きに合わせて意匠を認定する。

ア 共通点
両部分は、左右の飾り部を正面視、略ハート形の薄板とし(以下「ハート飾り部」という。)、左側の飾り部は、ハート飾り部の上に、正面視、蝶結びリボン状の立体飾り(以下「リボン飾り部」という。)を取り付けている。

イ 相違点
(イ-1)左右の飾り部の構成について、本願部分は、右側の飾り部は、左側の飾り部と同一であるのに対し、引用部分は、右側の飾り部は、ハート飾り部のみで、リボン飾り部は取り付けていない。
(イー2)リボン飾り部について、本願部分は、プラスチック等の固い材質であると推認され、ハート飾り部と一体状に形成したものであって、正面視において、ハート飾り部の中央やや上側に、略隅丸矩形状の結び目(以下、結び目を「結び部」という。)を配置しその両端部に略蝶羽形のループ(以下、ループを「ループ部」という。)を左右がハート飾り部から若干はみ出るように形成し、その内側端部中央に略倒なみだ形の形状線と上下の稜線の近くに略倒八字状の形状線を形成し、結び部の下端部両隅から斜め外方向に内側にやや湾曲した略弧状のリボンの先端(以下、リボンの先端を「リボン先端部」という。)をハート飾り部から若干はみ出して形成しているのに対し、引用部分は、合成皮革等の柔らかい材質で立体状に形成したものであって、正面視において、ハート飾り部の上端部中央に略矩形状の結び部を配置し、その両端部に結び部と縦幅を揃えて内側に横長のディンプルを設けた略横長長方形状のループ部を左右がハート飾り部からはみ出るように形成し、ループ部の後方斜め外方向に、端部を略V字状に切り欠いた短太帯状のリボン先端部をハート飾り部から大きくはみ出るように形成している。
(イ-3)本願部分は、色彩は施していないのに対し、引用部分は、ハート飾り部は白色で、リボン飾り部は淡いピンク色に着色している。

2 類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、相違するものであるから、非類似である。

(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は、一致している。

(3)両部分の形態
以下、両部分の形態について検討する。

ア 共通点の評価
本願意匠の物品の分野及び引用意匠の物品の分野において、提げ手の付け根にハート形や蝶結びのリボン飾りをあしらったものが、両意匠の他にも見受けられるものであることから、この共通するとした態様は、両部分のみに共通するものとはいえず、この共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。

イ 相違点の評価
まず、相違点(イ-1)について、本願部分は、左右同一の飾り部としているのに対し、引用部分は、左側の飾り部のみハート飾り部の上にリボン飾り部を重ねたものとし、右側の飾り部はハート飾り部のみとしたものであるが、引用部分は、この態様によってハンドバッグのなかでも目につきやすい提げ手の付け根箇所において、特に左側の付け根にのみリボン飾りを設けることで、ハンドバッグ全体のアクセントとなって、需要者の注意を集める効果をもたらしているものであるといえ、両部分のこの態様は、需要者に異なる美感を与えるものであることから、相違点(イ-1)が両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
次に、相違点(イ-2)について、両部分のループ部及びリボン先端部の形状とリボン先端部の配置態様は、一見してその違いが顕著である。すなわち、本願部分は、ループ部が上下に開いて大きいのに比べ、その下端部に配されるリボン先端部は小さく控え目である。また、いずれもハート飾り部の外形から若干はみ出る程度であって、飾り部全体としてみると一体にまとまった印象であるのに対し、引用部分は、横長で、特にリボン先端部はループ部よりも大きく張り出して、ハート飾り部の左右を覆い隠していることから、リボン飾り部のみが際立って飾り部全体としてのまとまり感は乏しく、材質による固さの違いと相まって、需要者に異なる視覚的印象を与えるものといえ、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
一方、相違点(イ-3)については、本願部分は、形状のみの意匠で色彩は施していないものであるのに対し、引用部分は、形状と色彩が結合した意匠であるが、色彩の有無については、その差異のみによって、両部分を別異のものとする程の大きな相違であるとはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。
以上のとおり、相違点のうち、(イ-3)が両部分の類否判断に与える影響は小さいものの、(イ-1)及び(イ-2)が両部分の類否判断に与える影響は大きいものであるから、相違点全体が相まって両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。

3 小括
したがって、両意匠は、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は一致するものであるが、両意匠の意匠に係る物品は非類似であり、形態においても、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、視覚的印象を異にするというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2019-04-09 
出願番号 意願2017-18437(D2017-18437) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田中 寛人 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 内藤 弘樹
渡邉 久美
登録日 2019-06-21 
登録番号 意匠登録第1636169号(D1636169) 

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