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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 H6 |
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管理番号 | 1353233 |
審判番号 | 不服2019-2569 |
総通号数 | 236 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2019-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-02-26 |
確定日 | 2019-07-09 |
意匠に係る物品 | 車載用自動精算機 |
事件の表示 | 意願2018- 7738「車載用自動精算機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成30年4月9日の意匠登録出願であって、平成30年9月13日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年10月24日に意見書が提出されたが、平成30年12月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成31年2月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとし、本意匠の出願番号を意願2018-7733(意匠登録第1619265号)とする関連意匠の意匠登録出願であり、その意匠は、意匠に係る物品を「車載用自動精算機」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で、それ以外の部分を破線で表している。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、願書記載の本意匠に類似する意匠とは認められないので、意匠法第10条第1項の規定に該当せず、意匠登録を受けることができないというものである。 第4 本意匠 本意匠に係る出願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、本願の出願日と同日の平成30年4月9日の意匠登録出願(意願2018-7733)であって、平成30年11月9日に意匠登録の設定(意匠登録第1619265号)がなされ、平成30年12月3日に意匠公報が発行されたものであり、その意匠は、意匠に係る物品を「車載用自動精算機」とし、その形態を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で、それ以外の部分を破線で表している。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下「本意匠部分」という。)としたものである(別紙第2参照)。 第5 当審の判断 本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)の対比を行った上で、両意匠について類否判断をし、原査定の適否についての判断を行う。 1 意匠に係る物品の対比 両意匠の意匠に係る物品は、いずれも「車載用自動精算機」であり、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。 2 本願部分と本意匠部分の用途及び機能の対比 本願部分と本意匠部分(以下「両部分」という。)は、いずれも車載用自動精算機の自動精算用カードを取り出すために用いられる操作ボタンとその周縁の部分であって用途及び機能が共通する。 3 両部分の位置、大きさ及び範囲の対比 両部分は、いずれも車載用自動精算機を正面から見て、筐体の左下隅のカード挿入口近傍の位置に、筐体の高さの約5分の1の大きさの正方形状の操作ボタンを配したものであって、位置及び大きさが一致するが、操作ボタン周縁の範囲については相違する。 4 両部分の形態の対比 (1)両部分の形態の共通点 (共通点1)両部分は、部分全体の形状が、四角柱から成る操作ボタンと、これと接する略同幅の凹部から成る点で共通する。 (共通点2)両部分は、操作ボタンの形状が、正面視して正方形状の四角柱で、筐体表面からの高さは操作ボタンの幅の約5分の2であって、正面の縁部を細幅にR面取りしたものである点で共通する。 (共通点3)両部分は、凹部の形状が、筐体表面からの深さを、操作ボタンの幅の約5分の1とし、操作ボタンと同幅で、操作ボタンの約5分の1の幅の範囲とした点で共通する。 (2)両部分の形態の相違点 (相違点1)本願部分の範囲が、操作ボタンの下側に延長されたものであるのに対し、本意匠部分が、操作ボタンの左側に延長されたものである点で、両部分は相違する。 5 判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 (2)両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は、同一である。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価 両部分の位置、大きさ及び範囲は、範囲に相違が見られるものの、物品全体の形態の中においては、極僅かな範囲の相違であるから、物品全体の形態の中における位置、大きさ及び範囲は、近似する。 (4)両部分の形態の共通点及び相違点の評価 (ア)両部分の形態の共通点 共通点1は、両部分の全体形状に係るものであって、操作ボタンに隣接する凹部が、操作ボタンに接する一方向の筐体表面を操作ボタンと同幅に切り欠いた、一つながりの凹凸形状である視覚的印象をもたらしており、共通点1が部分全体の美感に及ぼす影響は大きい。 共通点2における操作ボタンの形状は、使用時に注目される部位であるものの、操作ボタンを四角柱とすることや、縁部にR面取りを施すことは、この種物品分野に限らず、操作ボタンの形状としてはごく一般的であるから、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず、共通点2が部分全体の美感に与える影響は一定程度にとどまる。 共通点3に係る凹部の形状は、操作ボタンと隣接し、操作時には手に触れる部位であって、使用時に注意を引く位置に形成されたものであることから、共通点3が部分全体の美感に与える影響は大きい。 (イ)両部分の形態の相違点 相違点1の範囲は、操作ボタンと隣接する凹部が下側か左側かの相違であって、凹部の範囲のみに注目すれば、その位置が異なるものであるが、当該凹部の範囲は、操作ボタンの約5分の1の幅であって、物品全体の形態の中においては、極僅かな範囲の相違といわざるを得ないものであるから、相違点1が部分全体の美感に与える影響は限定的である。 (5)両意匠の類否判断 両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、隣接した操作ボタンと凹部から成る形状がもたらす視覚的印象が、両部分に共通する美感をもたらしており、範囲が異なることを考慮しても、意匠全体として観察した際には共通する美感を起こさせるものといえる。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品と両部分の用途及び機能が同一で、両部分の位置、大きさ及び範囲が近似し、その形態においても、需要者に共通する美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似する。 6 小括 上記のとおり、本願意匠は本意匠に類似するものであり、本意匠の意匠権について専用実施権が設定されておらず、意匠法第10条第1項の条件規定である同法同条第2項の要件を充足し、かつ、本意匠の意匠権者と本願意匠の出願人とは同一の者であるから、本意匠については出願人の自己の登録意匠であると認められ、なおかつ、本願意匠の意匠登録出願の日が、その本意匠の意匠登録出願の日以後であって、その本意匠の意匠公報の発行の日前であるので、意匠法第10条第1項の要件を充足しているものである。 よって、本願意匠は、意願2018-7733(意匠登録第1619265号)の意匠を本意匠とする関連意匠として意匠登録を受けることができるものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願意匠は、本意匠に類似し、意匠法第10条第1項の規定に該当するものであるから、原査定の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2019-06-25 |
出願番号 | 意願2018-7738(D2018-7738) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(H6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 前畑 さおり |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
温品 博康 佐々木 朝康 |
登録日 | 2019-07-19 |
登録番号 | 意匠登録第1639062号(D1639062) |
代理人 | 松井 重明 |
代理人 | 倉谷 泰孝 |
代理人 | 村上 加奈子 |