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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1358683 |
審判番号 | 不服2019-7567 |
総通号数 | 242 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-06-06 |
確定日 | 2019-12-24 |
意匠に係る物品 | ゴーグル用映像表示器 |
事件の表示 | 意願2018- 15442「ゴーグル用映像表示器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成30年7月12日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年12月 7日付け 拒絶理由通知書 平成31年 1月25日 意見書の提出 平成31年 3月27日付け 拒絶査定 令和 1年 6月 6日 審判請求書の提出 第2 本願意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、その意匠は、意匠に係る物品を「ゴーグル用映像表示器」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。)、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を、「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分と、その他の部分との境界のみを示す線である。「内部機構を省略したB-B部分におけるA-A線拡大断面図」、「B-B、C-C部分拡大図」を含めて、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 拒絶理由通知において引用された意匠は、以下のとおりである(以下「引用意匠」という。別紙第2参照。)。 「特許庁発行の公開特許公報記載 特開2005-230460 図26において表された「ゲーム装置」(ゲーム機)の意匠の、 本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分 (2つの画面間を区切る桟状部分)」 以下、本審決では、引用意匠において本願部分と対比、判断する部分、すなわち、本願部分に相当する部分を、「引用部分」という。 第4 対比 本願意匠と引用意匠を対比するにあたり、引用意匠が表されている図を本願意匠における正面図に相当するものとして、以下対比する。 1 意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は、願書の記載によれば、「ゴーグル用映像表示器」であり、VR(ヴァーチャルリアリティ)映像を見るためのゴーグル内部に保持する映像表示器である。具体的には、VR用ゴーグル内部に組み込む部品としての用途を有し、左目用、右目用の視差画像を表示して、VR映像を見せる機能を有している。一方、引用意匠の意匠に係る物品は、本体に操作ボタン等を有する完成体としての「ゲーム機」である。具体的には、ゲームプログラムを実行する用途を有し、操作ボタンによってゲームを遂行させる機能を有している。 本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、映像表示部を有する点で共通しているものの、その用途及び機能は異なる。 2 本願部分と引用部分の用途及び機能の対比 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、共に2つの表示用パネル部の間に間隔を持たせているものの、本願部分では左目用、右目用の視差画像を表示してVR映像を見せる用途を持つのに対して、引用意匠では別々のゲーム映像を表示する用途を持ち、また、本願部分が2つのパネル部を固定する機能を有しているのに対して、引用部分が同様の機能を有するかは不明である。 よって、両部分は、2つの表示用パネルに間隔を持たせる用途(目的)が異なり、また、パネル部を固定するか否かの点で機能も異なっている。 3 両部分の位置、大きさ及び範囲の対比 両部分の位置、大きさ及び範囲は、いずれも2つの表示用のパネル部の間、正面視における略中央に垂直状に設けられた桟部といった点で、共通するものの、以下の点で相違する。 (相違点1)正面視における高さ(縦)方向の位置 本願部分は、本体の高さ方向について、やや上側に位置し、本体の水平方向中心軸に対して上下非対象となっているに対し、引用部分は略中央に位置し、本体の水平方向の中心軸に対しておおむね上下対称となっている点。 (相違点2)正面視における高さ(縦)方向に占める大きさ 本願部分は、本体の全高を1とすると、高さ方向に占める大きさは約0.85であるのに対し、引用部分は、本体の全高を1とすると、高さ方向に占める大きさは約0.76と小さい点。 (相違点3)正面視における幅(横)方向に占める大きさ 本願部分は、本体の全幅を1とすると、幅方向に占める大きさは約0.03であるのに対し、引用部分は、本体の全幅を1とすると、幅方向に占める大きさは約0.016と小さい点。 4 両部分の形態の対比 両部分の形態を対比すると、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 (1)両部分の形態の共通点 (共通点1)桟部の正面部の態様 正面視において縦長長方形の桟状としている点。 (共通点2)上面の態様 本体の上面(正面図側を上に向けた上側の面)、と同じ高さとする平滑面としている点。 (2)両部分の形態の相違点 (相違点1)全体の構成 正面視において、本願部分は、高さ(縦):幅(横)を約1:0.07としているのに対し、引用部分は、約1:0.05で、引用部分の方が細い点。 (相違点2)桟部の側面部の態様 本願部分は、願書添付の「内部機構を省略したB-B部分におけるA-A線拡大断面図」に表れているとおり、2つのパネル部は左右に分断されており、その左右のパネル部が本体の上面に対して一段低い位置にあり、左右のパネル部を固定するため、本願部分の桟部には、本体の厚みを1とすると約0.12とする垂直面として表れる側面部を有しているのに対し、引用意匠は、正面図に相当する図しかなく、桟部の側面部の態様は不明である点。 第5 判断 1 意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は用途及び機能が異なるから、類似するとはいえない。 2 両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は、2つの表示用パネルに間隔を持たせる用途が異なり、また、パネル部を固定するか否かの点で機能も異なっていから、類似するとはいえない。 3 両部分の位置、大きさ及び範囲の評価 両部分の位置、大きさ及び範囲は、大略すれば共通しており、比率に関する相違点1ないし相違点3の両意匠の類否判断に与える影響は小さいと認められる。 4 両部分の形態の共通点及び相違点の評価 (1)共通点について (共通点1)は、両部分の全体の形態を概括的に捉えたものであるが、両部分の全体の基本構成に係るものであるから、この共通点が類否判断に与える影響は、一定程度認められる。 (共通点2)は、両部分独自の態様ということもなく、一般的によく見受けられる態様であり、この点が類否判断に与える影響は限定的である。 (2)相違点について (相違点1)の全体の構成における縦横比の差異は、数字的にはそれほど大きな違いではないが、両部分において最も目につきやすい部分であることから、類否判断にまったく影響がないとすることはできない。 (相違点2)は、本願部分についてはパネル部を固定するという用途及び機能が形態として表れた部分であるのに対し、引用部分はその点が不明となっており、両部分の類否判断に与える影響は大きい。 5 両部分の形態の類否判断 両部分の形態における共通点、相違点の評価に基づき、両部分を全体として観察する。 (共通点2)が両部分の類否判断に与える影響は限定手的ではあるものの、(共通点1)のそれは一定程度認められ、縦横比を具体的にみた(相違点1)の影響を吸収することはできても、(相違点2)が両部分の類否判断に与える影響は大きく、両部分を全体として観察した場合、その相違が与える影響は、(共通点1)の与えるそれよりも大きく、両部分の形態は類似するとはいえない。 6 両意匠の類否判断 両意匠の「意匠に係る物品」が類似しておらず、両部分の「用途及び機能」及び「形態」のいずれも類似していない。「位置、大きさ及び範囲」については共通するものの、これらを総合して判断すると、両意匠は、類似しない。 第6 むすび 以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2019-12-09 |
出願番号 | 意願2018-15442(D2018-15442) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 一柳 萌、中田 博康 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
正田 毅 北代 真一 |
登録日 | 2020-01-20 |
登録番号 | 意匠登録第1652354号(D1652354) |
代理人 | 特許業務法人酒井国際特許事務所 |