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審決分類 |
審判 査定不服 意7条一意匠一出願 取り消して登録 M0 |
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管理番号 | 1361520 |
審判番号 | 不服2019-4621 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-04-08 |
確定日 | 2020-02-17 |
意匠に係る物品 | アルミニウムインゴット梱包体 |
事件の表示 | 意願2018- 4031「アルミニウムインゴット梱包体」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成30年2月27日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 8月24日付け 拒絶理由通知書 平成30年10月 9日 意見書の提出 平成30年12月17日付け 拒絶査定 平成31年 4月 8日 審判請求書の提出 令和 元年 9月26日付け 審尋 令和 元年10月24日 回答書の提出 第2 本願意匠の願書及び添付図面の記載 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、その意匠は、意匠に係る物品を「アルミニウムインゴット梱包体」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。)、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を、「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙参照)。 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願が、経済産業省令で定める物品の区分又はそれと同程度の区分により意匠ごとにされているものとは認められないので、意匠法第7条に規定する要件を満たしていないというものであり、具体的には以下のとおりである。 「この意匠登録出願の意匠は、願書及び添付図面の記載によると、複数のアルミニウムインゴットと複数の結束バンドの意匠が表されており、意匠ごとに出願されたものとは認められません。」 第4 請求人の主張と審尋への回答 1 審判請求書における主張 請求人は、審判請求書において、おおむね以下のとおり主張した。 本願意匠に係る物品は、販売後、使用、すなわち、溶解炉で溶解されるために工場に搬送されるが(甲第1号証乃至甲第5号証)、工場に搬送後、本物品は梱包体のままフォークリフトに載せられ(甲第1号証)、さらに台車に載せられて(甲第2号証)、タワー型の溶解炉(タワーを昇降可能な投入装置によって溶解対象物をタワーの上方の投入口まで搬送した上で投入するタイプの溶解炉)の投入装置入口まで搬送され(甲第3号証)、梱包体のまま投入装置によってタワー上方の投入口まで搬送されて、梱包体のまま投入口から投入されるものである(甲第4号証、甲第5号証)。 すなわち本願意匠であるアルミニウムインゴット梱包体は、使用時においても結束バンドは取り除かれず、個々のアルミニウムインゴットに分解されることなく梱包体のままの状態で使用(溶解炉に投入)されるものであるから、流通、販売時のみならず、使用時の形態でもあり、常に一体的に実施されるものであり、社会通念上、一意匠として認められるものである。 2 審尋と回答 合議体は、上記1の請求人の主張に関して審尋を行い、本願意匠に係る物品である「アルミニウムインゴット梱包体」を構成する「結束バンド」が、インゴットと同じ素材である、あるいは、ポリプロピレン等のプラスチック製の結束バンドをそのまま溶解炉に投入しても問題がないなど、使用時(溶解炉投入時)に結束バンドを取り除く必要がないことについての合理的説明を、請求人に求めた。 これに対して、請求人は、回答書を提出して、本願に係る梱包体の結束バンドは、ポリプロピレン製であり、そのまま溶解炉に投入しても問題ないため、使用時(溶解炉投入時)に結束バンドを取り除く必要はない旨回答した。 第5 当審の判断 1 意匠法第7条における一意匠について 意匠登録出願が、意匠法第7条の要件を満たすには、当該出願が、(1)一物品について、(2)一形態としてなされていることが必要とされる。 (1)物品の単一性 本願意匠は、意匠に係る物品を「アルミニウムインゴット梱包体」とするものであり、その構成を、同じ形態のアルミニウムインゴットを複数段積みし、4本の結束バンドによってまとめ、全体として1つの「梱包体」としたもののうち、正面視下方に設けられた3列の台部の中央を本願部分として意匠登録を受けようとするものである。 そして、各インゴットには溝が設けられており、段積みされた後にその溝に結束バンドを通すことで全体のバランスをとりつつ強固に結束されるよう設計されているものと認められ、また、下方には正面視3列の台部により、設置面と底面の間に空間が生じ、この空間に運搬時のフォークリフトのフォークが差し込まれることが理解できる。 これらから、本願意匠は、各インゴット単位ではなく、「梱包体」の単位で流通し、取引されるものと認められ、審尋による回答書も参酌すれば、使用時において、結束バンドで束ねた「梱包体」を、結束バンドをはずすことなく、そのまま溶解炉に投入するものであると認められる。 したがって、本願意匠に係る物品である「アルミニウムインゴット梱包体」は、社会通念上、1つの特定の用途及び機能を有する一物品であると認められる。 (2)形態の単一性 本願の願書に添付された図面には、各アルミインゴットが段積みとなり、結束バンドで結束され、一塊になった状態のものが表されており、2以上の形態を併記したとはいえない。 また、本願部分は、アルミインゴットが2つ上下に重なり、1つのまとまりを形成している。 したがって、本願意匠に係る形態は、単一と認められる。 2 小括 上記のとおり、本願は、一物品について、一形態としてなされているもの、つまり、一意匠に係る出願である。 第6 むすび 以上のとおり、本願は、意匠法第7条に規定する要件を満たすものであり、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-01-31 |
出願番号 | 意願2018-4031(D2018-4031) |
審決分類 |
D
1
8・
52-
WY
(M0)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 八重田 季江 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
北代 真一 正田 毅 |
登録日 | 2020-03-16 |
登録番号 | 意匠登録第1656468号(D1656468) |
代理人 | 関根 正好 |
代理人 | 金山 慎太郎 |
代理人 | 金子 彩子 |
代理人 | 千葉 絢子 |
代理人 | 折居 章 |
代理人 | 白鹿 智久 |
代理人 | 大森 純一 |
代理人 | 中村 哲平 |
代理人 | 高橋 満 |