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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7 |
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管理番号 | 1367037 |
審判番号 | 不服2020-1646 |
総通号数 | 251 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-02-06 |
確定日 | 2020-10-28 |
意匠に係る物品 | マッサージ器 |
事件の表示 | 意願2019- 4508「マッサージ器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成31(2019年)年3月5日に出願された意匠登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和1年(2019年) 8月20日付け:原審の拒絶理由の通知(起案日) 令和1年(2019年)10月 7日 :意見書及び手続補正書の提出 令和1年(2019年)10月31日付け:拒絶の査定(起案日) 令和2年(2020年) 2月 6日 :拒絶査定不服審判の請求 令和2年(2020年) 6月30日付け:当審の拒絶理由の通知(起案日) 令和2年(2020年) 8月 5日 :意見書の提出 第2 本願意匠の願書及び添付図面の記載 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、その意匠は、意匠に係る物品を「マッサージ器」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面のとおりとしたものである(以下「本願意匠」という。)そして、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を、「緑色に着色された部分以外の部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。すなわち、二股部分を含む持ち手部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 第3 当審の拒絶の理由及び引用意匠 当審の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 拒絶の理由に引用した意匠は、大韓民国意匠商標公報(発行日:2019年(平成31年)2月13日)に掲載された、「美容用ローラー」(登録番号30-0992-8110002 特許庁意匠課公知資料番号第HH31401319号)の意匠(以下「引用意匠」という。)における本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)であって、その形態は、同意匠商標公報に記載されたとおりとするものである(別紙第2参照。)。 第4 対比 1 意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は「マッサージ器」であり、引用意匠の意匠に係る物品は「美容用ローラー」であるが、いずれも一対のローラーを顔や手足等に押し当ててローラー部を回転させることによってマッサージを行うためのものであるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、共通する。 2 本願部分と引用部分の用途及び機能の対比 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれも先端に設けられた2つのローラー部を支持する機能及び手で握る把持機能を有する点で共通する。 3 両部分の位置、大きさ及び範囲の対比 両部分は、いずれもローラー部を除くローラー支持部及び把持部であり、位置、大きさ及び範囲が共通する。 4 両部分の形態の対比 両部分の形態を対比すると、その形態には、以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。 なお、本願意匠の図面の向きに合わせて引用意匠の向きを認定する。 (1)形態の共通点 ア 平面視の態様 (共通点1)全体構成 (ア)把持部の先端を略Y字状に分岐させ、ローラー支持部とする点。 (イ)最もくびれた部分をY字状分岐部寄りに設け、そこから右端側を略細長アーモンド状とし、その最も膨らんだ部分を全体中央より右端寄りとした点。 (共通点2)ローラー支持部 ローラー支持部の長さについて、左右の支持部の中心軸が交わる箇所からローラーまでの長さを把持部の長さの約1/10とする点。 (共通点3)把持部 最も膨らんだ部分の幅(縦幅)を、把持部の長さに対して約1/5とする点。 イ 正面視の態様 (共通点4)全体構成 ローラー部寄りに頂部を有する略「へ」の字状とする点。 (共通点5)ローラー支持部 ローラー部へ向かってすぼまる態様とする点。 (共通点6)把持部 最も膨らんだ部分の幅(縦幅)を、把持部の長さに対して約1/5とする点。 (2)形態の相違点 ア 平面視の態様 (相違点1)ローラー支持部 ローラー支持部の把持部に対する角度を、本願部分は約45度とするのに対し、引用部分は約60度とする点。 (相違点2)把持部 (ア)本願部分は、最もくびれた部分の幅(縦幅)を、把持部の長さに対して約11/100とするのに対し、引用部分は、約15/100とする点。 (イ)本番部分は、最も膨らんだ部分を把持部の長さに対して右端から約2/5の位置とするのに対し、引用部分は同約1/3とする点。 イ 正面視の態様 (相違点3)略「へ」の字状の頂部の態様 本願部分は、把持部に対して支持部を約150度とするなだらかな態様とするのに対し、引用部分は、同約120度とし、より角度がついた態様とする点。 第5 判断 1 両意匠の意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 2 両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は、同一である。 3 両部分の位置、大きさ及び範囲の評価 両部分の位置、大きさ及び範囲は同一である。 4 両部分の形態の類否判断 (1)共通点及び相違点の評価 両意匠は、いずれも一対のローラーを顔や手足等に押し当ててローラー部を回転させることによってマッサージを行うためのものであるから、需要者は、使用する者に該当し、ローラー部を支持する支持部の角度、手に握る把持部の形態、そして全体から受ける印象についても注視するものということができる。 ア 共通点の評価 平面視の態様における(共通点1)(ア)は、この種物品分野においては、既によく知られた態様であり、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい。 また、(共通点1)(イ)も、本願出願前より公知となっており、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい(参考意匠参照)。 (共通点2)及び(共通点3)も、参考意匠にあらわれた態様と同程度であり、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい。 正面視の態様における(共通点4)は、この種物品分野においては、既によく知られた態様であり、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい。 (共通点5)及び(共通点6)も、参考意匠にあらわれた態様と同程度であり、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい。 参考意匠(別紙第3参照) 日本国意匠公報(発行日:2018年(平成30年)7月9日)に掲載された「美容用ローラー」(意匠登録第1608847号)の意匠 イ 相違点の評価 平面視の態様における(相違点1)は、マッサージを行うローラー部分につながる部分であり、需要者が着目する部分であることから、両部分の形態の類否判断に対して一定程度の影響を及ぼすものと認められる。 また、(相違点2)(ア)は、需要者に本願部分は細身の印象を、引用部分にずんぐりとした印象を与え、(相違点2)(イ)も同様の印象を与えると共に、本願部分の最も膨らんだ部分が把持部の中央寄りにあることから、右端に向かってすぼまる態様がより強調され、需要者が全体から受ける印象を異なるものとすることから、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は大きい。 正面視の態様における(相違点3)も、角度の違いは大きなものではないが、本願部分を細身の印象、引用部分をずんぐりとした印象とするものであり、両部分の形態の類否判断に一定の影響を及ぼしている。 (2)総合評価に基づく両部分の形態の類否判断 両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、両部分の形態全体を総合的に観察し、判断する。 上記(1)アに示したとおり、共通点はいずれも両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい。 それに対し、上記(1)イで示したように、(相違点2)が両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は大きく、また、一定の影響を及ぼす(相違点1)及び(相違点3)とあいまって、これら相違点は、需要者が注視する全体から受ける印象を異なるものとするものであり、両部分の形態全体を総合的に観察した場合、両部分の形態は、相違点が及ぼす影響の方が大きいといわざるを得ない。 よって、両部分の形態は類似しない。 (3)小括 両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能、さらには位置、大きさ及び範囲も同一であるが、両部分の形態は類似しない。 したがって、両意匠は類似しない。 第6 むすび 以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、当審が通知した拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-10-07 |
出願番号 | 意願2019-4508(D2019-4508) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(J7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石坂 陽子 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
正田 毅 北代 真一 |
登録日 | 2020-11-11 |
登録番号 | 意匠登録第1673666号(D1673666) |
代理人 | ▲高▼山 嘉成 |