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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1369039 |
審判番号 | 不服2017-10098 |
総通号数 | 253 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-07-06 |
確定日 | 2017-12-04 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 意願2016- 22520「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成28年(2016年)10月17日付けで意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」ともいう。)を,願書及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第2 原査定における拒絶の理由及び本意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,願書の「本意匠の表示」の欄に記載した意匠(以下「本意匠」という。)に類似する意匠とは認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しない,としたものであって,本意匠は,平成28年10月17日に意匠登録出願され,平成29年4月28日に意匠権の設定の登録がなされ,平成29年5月29日に意匠公報が発行された意匠登録第1577619号(意願2016-22518号)の意匠であり,同公報の記載によれば意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 第3 手続の経緯 原査定の拒絶の理由に対して,請求人は意見書を提出し,本願意匠は本意匠に類似する意匠であって,意匠法第10条第1項の規定に該当する旨主張したが,本願意匠は本意匠に類似しないとして,拒絶の査定がなされたため,同査定を不服として平成29年7月6日付けで審判を請求するとともに手続補正書を提出して,本願の願書に記載していた「本意匠の表示」の欄を削除した。 第4 当審の判断 以下,本願意匠が意匠法第10条第1項の規定に該当するものであるか否かを,本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が本意匠に類似するか否かについて検討し,判断する。 1.共通点及び相違点の認定 (1)共通点の認定 意匠に係る物品については,両意匠ともに「包装用容器」であるから,一致する。 そして,形態については,以下の(A)ないし(E)の点が主に共通する。 (A)全体は,周側面の水平断面形状を8角形としつつ上面及び底面を略正方形とし,周側面の上下両端寄りを傾斜させて少しすぼめた縦長(正面視縦横比が約2対1)の多面体としたものである。 (B)周側面のうち,中間の垂直面については,正面,背面及び4つの角面を縦長の長方形,左右両側面を上下両端が三角形に少し尖った縦長の略長方形とし,上下両端寄りの傾斜面については,正面及び背面を台形(上端寄りのものでいうと倒立台形),左右両側面を略台形(上端寄りのものでいうと下辺(上底)が山形にへこんだ略台形)とし,これら台形の各間の面(角面の4面)を二等辺三角形としたものである。 (C)全体的(底面を除く)に色彩を施したものであり,その各面(垂直部の正面及び背面を除く)が,異なる色彩で幾何学模様として表れている。 (D)正面とその片側の角面にわたり文字部を設け,角面の文字部の上部に植物の葉と柑橘系の果物の切断面の態様を連想させる線状模様を施したものである。 (E)上面の左右両端から突出した三角形の折り曲げ片(フラップのこと。)を下に折り曲げ,上面の正面寄りにストローの差し込み部を設けたものである。 (2)相違点の認定 形態について,以下の(ア)及び(イ)の点が主に相違する。 (ア)前述の共通点(C)において挙げた幾何学模様を,本願意匠は,上面を除き,主に長方形あるいは台形の組合せを基調とし,正面(及び背面)の周りを囲むように,各面を2分割の態様としたものであるのに対して,本意匠は,主に三角形の組合せを基調とし,各面(上下両端寄りの角面は除く。)を4分割の態様としたものである。 (イ)全体の色調を,本願意匠は,やや暗く,赤色系が目立つ色調としたものであるのに対して,本意匠は,明るく,黄色系が目立つ色調としたものである。 2.共通点及び相違点の評価 以下,共通点及び相違点が存在する形態について,その共通点及び相違点の評価を行う。 (1)共通点についての評価 共通点(A)は,全体の基本的な形状に係るものであるが,この物品分野においては,よく見られる態様の1つといえるものであり,両意匠のみに見られる特徴とはいえないから,これらの相違が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度に止まる。 共通点(B)は,周側面の態様に係るものであるが,垂直面については,各面を縦長の略長方形とし,上下両端寄りの傾斜面については,正面,背面,及び左右両側面の計4面を略台形(上端寄りのものでいうと倒立台形),これら台形の各間の面(角面の4面)を二等辺三角形としたものが,この物品分野において,本願出願前から既に見られるものであり,両意匠の態様もその範疇のものといえるから,これらの相違が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度に止まる。 共通点(C)は,色彩及び模様に係るものであるが,概括した態様にすぎず,この相違が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度に止まる。 共通点(D)は,文字部とその上部の模様に係るものであるが,どちらも大きく設けたものではなく,異なる色彩で幾何学模様が施された両意匠においては目立たないものであるから,この相違が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度に止まる。 共通点(E)は,ごく普通に見られる態様であるから,この相違が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 そうすると,共通点は,いずれも両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものではなく,これらの共通点が相まっても,両意匠の類否判断を決するものとはいえない。 (2)相違点についての評価 相異点(ア)は,幾何学模様の具体的な態様の相違であるが,特に,需要者が目にしやすい正面から見た場合,中央の長方形を,主に2分割の長方形あるいは台形模様からなる額縁状模様で囲まれ,上下及び左右への方向性を感じさせる態様と,主に4分割の三角形模様が無作為に施された印象の,方向性を感じさせない態様の相違は,目立つものであり,相違点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 相違点(イ)は,全体の色調の相違であるが,両意匠に対する異なる印象を強調するものであるから,相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。 そうすると,相違点(ア)及び共通点(イ)が相まって,本願意匠は,全体として落ち着いた印象を与えるものであるのに対して,本意匠は,全体として華やかな印象を与えるものであるから,両意匠に大きく異なる印象を与える。したがって,相違点(ア)及び共通点(イ)は両意匠の類否判断を決するものといえる。 3.類否判断 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は一致するものの,両意匠の形態に係る相違点が相まって生じる視覚的効果は,両意匠の共通点のそれを凌駕するものであって,需要者に異なる美感を起こさせるものである。 したがって,本願意匠は,本意匠に類似しないものと認められる。 第5 むすび 以上のとおりであり,本願意匠は,本意匠に類似するものとは認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないものであり,本意匠の関連意匠として意匠登録を受けることができないものではあるが,上記第3に記載のとおり,請求人が平成29年7月6日付けで提出した手続補正書によって,本願の願書に記載していた「本意匠の表示」の欄を削除する補正がなされているから,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2017-11-17 |
出願番号 | 意願2016-22520(D2016-22520) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 上島 靖範 |
特許庁審判長 |
温品 博康 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2018-01-12 |
登録番号 | 意匠登録第1596517号(D1596517) |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 佐藤 英二 |
代理人 | 野間 悠 |